今から5年以上前になるかと思いますが、RAM2GB, ROM32GBといった構成にWindowsを載せたマシンが発売され「データはクラウドで運用」などという言葉とともにそれなりに売れていたかと思います。今回は、当時のこのような構成のマシンで、現在のLinux(64ビット版)を実用的に使えるかということを検証してみます。
なお「実用的」という言葉は多様に解釈できますが、ここでは(それでは物足りないという意見も多いかと思いますが)Webブラウジングが実用的な速度でできること、ととりあえずさせていただきます。
#検証に用いるPCのスペック
型名:HP Stream11-r000
RAM:2GB
ROM:32GB(eMMC)
CPU:Celeron N2840
その他:11.6型、64ビット版Windows搭載
#どのディストリビューションを使うかという問題
現在のLinuxディストリは豊富で、今回はデスクトップユースを念頭に置いた選択をしますが、それでも主要なものでも多数存在し、それぞれ特徴があります。UbuntuやFedoraを選択するのが無難ですが、今回はあえてDebianを選択します。UbuntuやFedoraはインストール直後からあまり手を加えずに利用しやすい環境が得られる半面、GNOMEというヘビーなデスクトップ環境を採用していること、またその他今回想定するようなWebブラウジングという用途には不要なアプリケーションも多数含まれていることから、最終的に選択肢から外しています。
#ディストリビューションのインストールと環境設定
Debian公式サイトから最新安定版リリース(10, Buster)のISOイメージをダウンロードし、適切なメディアにフラッシュした上で、インストールメディアから起動し、手順に従ってインストールします。この流れは通常のインストール作業と同じですが、今回はnetinstall用のイメージではなく、Xfce環境が含まれているイメージを利用してインストールしました。また、Debianなのでプロプライエタリなドライバが含まれていない問題があり、実際今回もWiFiがインストール直後には機能しませんでしたが、別途Non-FreeレポジトリからWiFiドライバのパッケージをダウンロードしてインストールした結果、正常に機能しました。
Webブラウジングに使うブラウザとしては、今回はGoogle Chromeを選択します。デフォルトで含まれているのはFirefoxですが、数字的な意味でのリソースの使用量はともかく、体感的にFirefoxよりもChromeのほうがスムーズに動作するような感じがあります。Chromeのパッケージを公式サイトよりダウンロードしてインストールし、利用します。また「実用的」という意味では日本語インプットメソッドも必要かと思いますので、IBusとMozcもインストールしておきます。
#実用的に使えるか?パフォーマンスはどうか?
以上の作業で最低限の環境は整いますので、実際にどれくらい実用的に使えるを試してみます。
とりあえず、free -h
コマンドでメモリの使用量を確認します。状況としては、ブラウザのタブを3枚開き、QiitaとSNSサイト(Twitter)およびStream11のメーカーの製品情報ページを開いています。
結果としてはtotal 1.8Gi
中used 854Mi
となりました。想像よりもメモリ消費量が少ないようです。動作としても、ページ読み込み時に多少待たされますが、その後はフォームへのテキストの入力なども含め、実用的な速度で動作します。ブラウザのタブを3つ開いた状態、ということで最低限の使用状況ではありますが、メモリの空きなどを見ると若干の余裕を持ちつつ利用できそうです。
#結論
非常に簡単な検証ではありましたが、結論としては、シンプルにWebブラウジングをするくらいであれば、RAM2GBのマシンでもそこそこ実用的に使えそうな感じです。今回、Debian+Xfceという選択をしたので、ブラウザ以外のソフトウェアの選択が省メモリだったのが効いているのかもしれません。GNOMEを使ったり、タブの開く枚数を増やしたりすると状況は変わってきそうです。また開発環境として、特にIDEの使用についてはかなり厳しそうな感じがしますが、他日機会があれば検証してみたいと思います。