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【映像】UE5を使用したプロジェクトで困ったこと

Last updated at Posted at 2023-12-11

自己紹介

はじめまして、GlitzVisualsという小さなCG会社の代表の江口です。
元々はMVやCMのCG制作を行っておりましたが、ご縁がありゲーム業界入り。
ライティングアーティストとして何本かコンシューマゲームの開発に携わり、映像案件もやりたくなり2022年の4月に起業。
現在10数名の小規模なCG会社を経営しています。
会社の売上はゲーム関連のプロジェクトが7割、CMやMV、ドラマなどが3割で、2030年までに100名規模のデベロッパーになることを目標としています。
これでバズりました。

はじめに

弊社で映像案件を行って来た中で、各社ごとにワークフローにばらつきがあって苦しむことが多かったのでその時々の後悔を雑に書いていきます。

1. バージョン管理ソフトアレルギー

バージョン管理(リビジョンコントロール)とは、複数人で同一のプロジェクトにアクセスし全員のローカルにあるプロジェクトデータを共通にすることです。
弊社ではSVN、Git、Perforceを使うことが多いです。
リビジョンコントロールについてはAlche代表の川さんがこちらに詳しく書いてくださっています。

ゲーム開発だとGitは非常に強力なツールですが"映像プロジェクト"においてのリビジョンコントロールは個人的にSVNかPerforceをおすすめします。
理由は色々あるのですが、Gitはエンジニア向けでアーティストには開発ワークフローを理解するのに少々難易度が高いからです。
コストが許してくれるのであればPerforceが非常に簡単で使いやすかったです。
とはいえなかなかな値段がするので弊社ではSVNを選ぶことが多いです。

とある映像案件のときに弊社含めた4社間でUEのプロジェクトを共有する事がありました。
日本の映像業界では、新しいソフトに対するスピードが比較的遅いです。
UEのMRQも2020年ころから出ているのにも関わらず浸透してきたのは最近です。
従来はプロジェクトデータをFTPでタイムスタンプをつけて毎日更新するという方法が一般的でした。
実際Mayaなどのプロジェクトはそのように管理されていると思います。
Mayaや連番、テクスチャやモデルなどのデータはFTP管理が楽で弊社も利用しています。FTP技術を攻撃しているわけではありません。

しかし、Ueのプロジェクトをそのように管理してしまうと、企業間でプロジェクト構造が独自化、MRQの設定もインポート手順もバラバラとなってしまう上に、データ量だけ肥大化していき毎度プロジェクトを開くときにシェーダーコンパイルが走ります。
ゲーム業界には当たり前のように浸透しているバージョン管理ですが、実際に上記のような地獄の苦しみを味わっている映像プロジェクトが未だに走っていると思います。
弊社はバージョン管理の重要性をうまくクライアントに伝えることができず、実際に上記の方法でプロジェクトを完走しましたが結果として工数が跳ね上がり、大赤字。

これでは全く生産性がなく、誰も幸せにならない案件だったので今後このようなことが無いよう、各社のProducer様にバージョンコントロールの重要性をアーティストサイドから強く説明する必要があると思いました。

実務上で困ったことはシーケンサー、レベルは程よく細分化し、チェックアウトの競合が起きないようにすること。サブシーケンサーはFX CH LIT ANIMくらいあってもいいかもしれないです。

2. パフォーマンスの最適化

UE5は美しいグラフィックスを提供しますが、高度なグラフィックスはパフォーマンスに影響を与えることがあります。
映像案件だからといってすべてのライトをMoveableで置いた事を後悔した事が多かったです。
諸悪の根源はLumenでした。

LumenとはUE5から導入されたライトのシステムです。
簡単に説明すると、UE4ではライトビルドしないと得れなかった結果をリアルタイムに、しかも質を高く描写するで~という機能です。(かなりざっくりです、有識者の方々すみません)
実際触ってみた感想は「すげ~」って感じですが、実務上ではバグだらけでコンポジターの方々に迷惑をかけました。
また、負荷もProbeに焼きつけるより上がるのでGPUの負荷が高くなりがちでプロジェクトの序盤に
「この案件は映像なのでライトビルドなんかしなくてもレンダリングさえできればいいから」
なんて言っていたのを後悔しています。
ライトプローブってなんぞやという人向けの記事をヒストリア様が書いてくださっています。

映像だからMRQでEXRが出てくればいい、だからパフォーマンスを気にせずライト置きまくるというのはナンセンスです。プリレンダー的な考えはそうなのですが、なんのためにリアルタイムエンジンを採用しているのかをもう一度考えながらプロジェクトを構成するべきでした。

3. リアルタイムレンダリングの活用

UE5はリアルタイムレンダリングに優れています。これを利用することでZoomなどのオンラインMTGで直接監督にレンダリングビューを見ていただけます。
修正もその場でできてしまうので非常に便利です。
MRQのレンダリングプリセットは必ずチーム全体で共有しましょう。
各々の設定で始まると後で色々面倒になります。

4. 常に最新情報の追跡

UE5は進化し続けています。新しいアップデートや機能に常に注意を払い、プロジェクトに取り入れるべきものがあれば迅速に導入しましょう。

UE5を使用した映像制作は素晴らしい経験ですが、上記のポイントに留意することでプロジェクトの品質と効率を向上させることができます。成功をお祈りしています!

さいごに(宣伝)

UEを使用した色々な映像案件をしていきたいのでなにかお手伝いできることありましたらお気軽にお声がけください!

また、弊社は型にとらわれないスタイルで今後さらに拡大していきます!
その拡大を手伝っていただけるCGプロデューサーとCGディレクターを募集しています。

興味を持っていただけた方は、下記のメアドに飲みの誘いでも話を聞いてみたいなんでもいいので送ってください!
info@glitzvisuals.com

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