この記事は DevRel Advent Calendar 2018 の、12日目の記事です。
10年以上前、縁があって、とあるオープンソースプロジェクトの日本語化に参加していました。
その際に
「これからインターネットの世界で仕事をするには、英語を学んだほうが良いのでは」
と痛感。35歳を過ぎてから英語を本格的に勉強を開始しました。それまではあまり英語が得意ではなかったのですが、どうにか仕事で使える程度にはなりました。
ここでは、自分の経験から、30代後半から英語を学ぼうとしている方へ向けて
- こんな勉強方法が効果的だ
- こういう順番で進めたほうが効率が良い
などを、個人的な経験則を元に書いてみます。DevRel 担当者は英語に触れる機会が多いと思いますが、何かの役に立てば幸いです。
(自分の英語力についてはこちらをご覧ください。)
英会話レッスンは後回しで良い
「英語の勉強」というと、英会話教室を思い浮かべる人は多いと思います。
個人的には「英会話より先に、文章ベースで英語を学んだほうが良い」と考えています。
これは
- ボキャブラリーがある程度できていないと、会話の組み立ては難しい
- 技術関連で英語に触れる機会は「会話」よりも「ドキュメントの読み込み」や「メール」など、文章関連のほうが多い
などが理由となります。
技術関連の業務を行っている場合、一般的には
- メール
- ドキュメント
- Bug Tracking System
など、英語の「文章」が中心の方が多いのではないでしょうか。
英会話は、頭にある英単語や表現を、瞬発的に使ってコミュニケーションを行う技術です。
リアルタイムのコミュニケーションが必要な場合、英会話レッスンはとても効果がありますが、大多数の場合、先に文章で英語の勉強をしたほうが、効率が良いと感じました。
「難しい英語」ではなく「やさしい英語」に「たくさん」ふれる
英語の勉強をしながら、英語力が伸び悩んでいるときに、伊藤サムさんの「英語はやさしくたくさん」を読む機会があり、目から鱗が落ちた覚えがあります。
伊藤サムさんは、英字新聞の「Japan Times」で編集局長だった方です。英語は「難しい英語」ではなく「やさしい英語にたくさん触れる」方が、結果的に運用力が伸びる、という内容がわかりやすく書かれていました。
自分はこの本を読むまで、英字新聞や小説のような、難しい文章を中心に勉強していましたが、伸び悩んでいました。
この本を読了後、NHKラジオの「基礎英語」「ラジオ英会話」や、中学・高校レベルの教材に切り替えたところ、リスニング力や英作文能力がぐんぐん上がっていく実感がありました。
一見遠回りのように見えますが、「やさしく、たくさん」が、一番効果があります。
一にも二にもボキャブラリー、最初はボキャブラリービルディングを意識する
英語の運用力は、かなりの割合でボキャブラリー (語彙数) に依存します。英単語、英熟語のボキャブラリーが増えていくと、それに応じて英語の運用力が上がります。現在は「iknow」などのすぐれたボキャブラリービルディングサービスがあるため、ネットサービスを活用すると良いでしょう。
「世間の評価が高い」教材ではなく、自分が「面白い」と感じる教材を探す
英語の勉強は、自分にあった教材が見つけられるかどうか、で勉強効率が著しく違います。続けられる教材を見つけると、英語の勉強が楽しく思えて、それに応じて運用力も上がります。
英語を勉強している人の間で評価が高い「Duo」という教材があります。
自分も買って試したことがあるのですが、内容にあまり興味を惹かれず、自分にとっては効果がありませんでした。
いろいろと教材探しを続けて、最終的に自分がたどりついたのは
- NHKラジオの英語講座
- 日本のマンガを英訳した英語版コミック
- 同じく、日本のアニメの英語版
の3つでした。
実際に買った漫画・アニメで良かったものを上げると
などなど。
「鋼の錬金術師」は、荒川弘さんのベストセラーコミックです。当時、まだ読んだことがなかったため、「英語の勉強がてら、英語版を買って読んでみよう」と思いたち、アメリカの amazon.com (amazon.co.jp じゃないほう)で注文して入手。英語辞典を使いながら、通勤電車の中で読了しました。かなり難しい英単語が多かったのですが、なにせ漫画自体がとても面白く、続きが早く見たい!という一心で夢中になって読み進めた結果、かなりボキャブラリーが増えた実感があります。
同様に、アニメシリーズも1,2期ともにすべて英語版で見終わりました。英語のDVDでは、聴力障害者のために「Subtitles」と呼ばれる、英語字幕が含まれるものが多いのです。このため、聞き取りにくい英語も、字幕を有効にすると視覚・聴覚の両方で英語にふれることができるため、効率が良いです。
(※ただし、日本版のアニメDVDをそのまま使っている場合、英語の字幕が元の日本語のセリフを訳しているケースが有り、英語のセリフと合わないものも存在します)
もちろん、アニメに限らず海外の映画なども、英語学習にはもってこいです。ハリウッド映画のDVD、ブルーレイには、Subtitlesが含まれているものが多いため、英語の字幕を表示しながら鑑賞すると効果抜群です。
英語の音声、英語の文章(+対訳となる日本語)が揃っている教材を探す
英語の音声を聞いている際、聞き取れない単語や表現が出てきた場合、元になる文章がないと、なんと言っていたのか、永遠に分かりません。
逆に、文章だけの英語では、実際の発音やアクセントなどがわからない場合があります。
このため、リスニング教材の場合は、元の文章があったほうが良いでしょう。同様の理由で、文章を中心とした教材の場合、その音声版があると効率が良いでしょう。
さらに言えば、対訳となる日本語もあると、教材としては完璧だと思います。
英作文の練習をする
短くても良いから、英語で文章を書く練習をすると、結果的に英会話の能力も上がります。
英会話は
- 相手の言っていることを理解する
- 自分の思っていることを言葉にする
の繰り返しで成立するコミュニケーションです。
自分が思っていることを言葉にするためには、考えを文章にまとめる能力が必要です。このため、英語で文章を書く練習をすると、言葉による英語の運用能力も上がります。
「英語の文章なんて、書いたことがない」という方は、「英語の文章を書き写す」ことをおすすめします。写経のような学習方法ですが、かなり効果があります。
英語の文章を作成する練習はなかなか難しいですが
- もととなる日本語を書く
- 短文で、英訳してみる
- 英語ができる知人にチェックしてもらう、もしくは、Google 翻訳などを使った結果と見比べてみる
などの方法で、ちょっとずつ英語を書く練習をすると良いかと思います。
自分が書いた英文をチェックしてくれるオンラインサービスもあるので、そのようなサービスを利用するのも良いでしょう。
おすすめ教材のご紹介
最後に、比較的入手しやすい・利用しやすい教材を、いくつかご紹介します。
NHKのラジオ語学講座
「なにか一つ」と言われたら、迷わずNHKラジオの語学講座をおすすめします。レベル別の難易度に応じた教材、「やさしくたくさん」を実践できるボリューム、継続して勉強ができる仕組み、各種リファレンスなど、数え上げたらキリがないくらいメリットが多いです。最近はネットによるストリーミングサービスや電子書籍も提供れています。
テレビの語学講座も悪くないですが、「どこでも手軽に利用できる」という点で、ラジオ講座のほうが使いやすいです。
BBCのウェブサイト
イギリスの国営放送「BBC」には、「Learning English」というウェブサイトがあり、英語学習者にとって有益なコンテンツが多いです。
特に、「6 minutes English」というポッドキャストは、時事的に面白いネタを取り上げることが多く、英語音声のトランスクリプションが揃っているため、英語教材として非常に完成されています。
Voice Of America
アメリカ合衆国が運営する、英語学習者向けコンテンツです。略称「VOA」。VOAは、1500語程度の頻出単語に限定したコンテンツ作成を行っており、英語初学者にとって読みやすく、聞きやすい内容が揃っています。ただし、コンテンツの内容がアメリカ中心のため、アメリカという国自体に興味がない人には若干退屈かもしれません。
The Japan News
オンラインの英語メディアは数多いですが、おすすめしたいのが「The Japan News」。読売新聞を元に英訳しているため、コンテンツの内容が理解しやすい。読売新聞やヨミウリオンラインを同時に読むと、さらに利便性が高い。
The Japan Times Alpha もおすすめ。
その他
数年前になりますが、会社のオウンドメディアにもう少し詳しい英語学習経験談を寄稿しています。興味がありましたら下記も御覧ください。
https://blog.sixapart.jp/2014-02/english-at-work.html
https://blog.sixapart.jp/2014-03/english-at-work-reading.html
https://blog.sixapart.jp/2014-05/english-at-work-listening.html.html
https://blog.sixapart.jp/2014-07/english-at-work-writing.html