まえがき
この記事は奈良高専 Advent Calendar 2022の11日目の記事です。カレンダーについての詳しいことはあとがきに書きます。
概要
高専に入学したときにはホームポジションすら知らなかった僕がタイピング大会で優勝するくらいになったのでその過程を書いていきたいと思います。
記憶が曖昧なことと執筆者の深夜テンションによる,誇張や誤りが含まれているかもしれません。
高専入学前
僕は小学生の頃にPCでタイピングゲームを触る機会があり,そのときにもホームポジションや各キーを押す指の説明がありました。しかし,全部のキーの押し方を一度に教えられたので「こんなの覚えられるわけがない」と思い,ブラウザを閉じてしまいました。
中学生になるとiPadを貸し与えられました。iPadではローマ字タイピングをしていましたが,小学生のときに見た説明などはすっかり忘れ,寝転がりながらポチポチとタイピングしていました1。
はじまりの日
奈良高専では1年生のカリキュラムに「情報リテラシー」という,パソコン教室のような授業があります2。その第1回授業の初めにやらされたのが,タイピングです。
先生はタイピング指南としてはよくある「手元ではなく画面を見る(ブラインドタッチ)」「ホームポジションを覚える」といった話をした後,後で出てくるようなタイピングサイトをいくつか出してきました。
そんな話を聞いているうちに,小学生のときに見たものの記憶がうっすらと蘇ってきました。しかし,そのときに受けた「面倒くさそう」という印象まで思い出し,乗り気にはなれませんでした。
そのとき...
ガガガガガガガガガガガガガ
と凄まじい音が隣から聞こえてきます。見ると,隣の人の指が目にも止まらぬ速さで躍動し,キーボードは荒波の如く上下し,画面に映るタイピングゲームは小テスト直前の単語帳のようなペースで遷移していきます。
僕は驚きました。と同時に焦りを感じました。焦りのあまり周りが見えなくなりました。周りから感じられるものは他の40人あまりのタイピング音だけです。タイピングというものは不思議で,タイピング音をパッと聞いた感じは凄く速そうなのに実際はそれほど速くない,ということがあります。40人分の音が交じっていれば尚更判断しづらいです。
こうして僕は,周りが見えないがために勘違いをしてしまいました。
このクラスでは隣の人ぐらいタイピングが速いのが普通
と。
しかし,まだ自分がクラスの中で抜けて劣っていると決まったわけではありません。僕の頭の中にはこんな考えが浮かびました。
「実は僕もこれぐらいの速度出せるんじゃね?」
周りをよく見るという発想の前にこれが出てくるのがもうおかしいのですが,変に自信と不安が混じった状態の人間はこんなことにもなりそうです。
そのとき隣の人がやっていたのはe-typingというサイトで,結果は下から「E-」「E」「E+」「D-」…「A+」…とランク付けされます。「A+」の1つ上が「S」でそこから上は「Good!」「Fast」というように規則性の無い名前のランクが付きます3。
隣の人はその時点で規則性の無い名前の領域にまで達していました4。
僕も同じくe-typingをやりました。ポチポチと懸命にキーボードを叩きました。「手元を見るな」と言われていたので最初は頑張って画面を見ていましたが,途中から諦めました。結果は「E+」でした。「まさかそんなはずは」と思ってもう一度やったら「D-」まで上がりました。
今の僕なら心をボッキボキに折られてしまいそうなものですが,入学当初の僕は向上心があったので「タイピング,やるしかない」と心に決めました。
修行
出会い
はじまりの日の後,僕は例の隣の人にタイピングを教えてもらいました。そのときはホームポジションと,どのキーをどの指で押すかの大まかな法則性だけ教えてもらいました。教えてもらったことを活かそうとe-typingをやってみましたが,どのキーをどの指で押すかが分かってもどのキーにどの文字が割り振られているかが覚えられません。なんだか小学生の頃の自分のようですが,このときの僕は勘違いをしたままでモチベーションたっぷりなので諦めず別な方法を探しました。
そんなとき出会ったのが,情報リテラシーの先生が教えてくれたTypist on Browserというタイピング練習サイトです。このサイトの特徴は「全くブラインドタッチができない状態からほぼ完全にブラインドタッチができる状態まで成長できる」というところで,このときの自分にぴったりでした。
Typist on Browserにはいくつか「コース」があって,標準コースでは「j」「f」といった各キーの押し方や練習用テキストを1キーごとに用意してくれています。まだコース中で教わっていないキーが練習用テキストに出てこないのがありがたかったです。
練習用テキストには強制やり直し機能が付いていて,初めてのチャレンジでは1回でもミスするとやり直し,2回目のチャレンジでは2回以上ミスするとやり直し,…と結構厳しかったです。あまりに厳しいのでちょくちょく台パンしそうになりながら頑張りました。
夏休み
情報リテラシーの初回授業で犯した勘違いは夏休みになっても正されることはありませんでした。
情報リテラシーでは夏休みに「e-typingのスコアを『C-』まで上げてくる」という課題が出されていました。この課題を見てクラスの標準レベルを察せれば良かったのですが,僕は「自分のようにタイピングが遅い学生のために最低ラインを設けているんだろう」と思ってしまいました。そして僕は,例の隣の人を目標に夏休み中毎日1時間タイピング練習をやりました。Typist on Browserを50分,e-typingを10分のセットでやってました。
「D-」だったe-typingのスコアは夏休み終わりには「A+」か「S」あたりまで上昇しました。
気付き
僕が1年生の時はコロナ禍前でTeamsなんてものは無いに等しく,またTwitterもやってなかったので,夏休み中の他の学生との繋がりといえばLINEぐらいでした。しかしクラスLINEには必要事項ぐらいしか流れてこず,そのとき仲の良い人といえば例の隣の人ぐらいしかいなかったので,夏休みが明けるまで例の勘違いは続きました。
しかしそんな日々は突如終わりを迎えます。夏休みが明けたある日,僕は情報リテラシーの夏休みの課題についての話を耳にしました。そこで聞こえてきた単語は「C+」「B-」「C-」といったものでした。課題の基準を下回る「D+」「D」というのもあった気がします。
そのときは「流石にレアケースだろう」と思っていたのですが,この瞬間,入学以来ずっと抱いていた勘違いに初めて疑念が生じました。
一度疑いが生じてから勘違いが解けるまで,そう長くはありませんでした。
空白
勘違いによって,ブラインドタッチすら知らなかった僕がタイピングが得意と言える手前のところまで来てしまいました。
実は,これ以降この記事に書くようなことはあまりありません。
毎日やっていたタイピング練習もほとんどやらなくなりました。強いて言えば1年生の夏休みに終わらなかったTypist on Browserのかな入力系以外のコースを全部終わらせたぐらいでしょうか。
キーの押し方はガッチリ固まっているので,わざわざ練習せずとも日常的なPC使用で少しずつ速くなっていった,ということです。
タイピング大会
今年の春季・秋季に1回ずつタイピング大会があり,春季の方は優勝しました。
ちなみに主催者は例の隣の人で,主催者は参加しないことになってました。秋季の方では主催者が他の人に代わり,例の隣の人が優勝しました。
あとがき
この記事は1つの記事として独立させたいのでずっと「例の隣の人」という表記を使ってきましたが,ここはあとがきなので以後「たなか」と呼びます。
感想
上記のようなことがあって僕は今のタイピング速度を得たわけですが,今となってはタイピング練習しておいて良かったなと思います。
この記事の投稿日時と奈良高専 Advent Calendar 2022を照らし合わせれば分かることですが,僕は締め切りギリッギリを攻めてしまうタイプです。これまで幾度となく徹夜でレポートを書いてきました。締め切り寸前の作業においてタイピング速度は重要です。もしはじまりの日が無かったらと考えると…ゾッとしますね。
あと,タイピング大会の景品で貰った購買券の9割はお菓子につぎ込んだんですが,そのお菓子のおかげでこんな深夜の執筆作業にも耐えられます。
奈良高専 Advent Calendarについて
罪滅ぼし
まず最初に,投稿が遅れて申し訳ありません。
このカレンダーは僕と同じクラスの人が作ってくれました。こんなに身近な人が学校の名前背負ったものを作って,しかも25日分しっかり埋められる,ということに驚きました。
次の記事
さて,次の記事の投稿者を見てみると…
なんと例の隣の人,たなかです。
実のところ,元々僕は当日12/11まで別のテーマで記事を書こうと思っていました。しかし書いている途中で詰まり,どうしようかと悩んでいる間に日付が変わってたなかの記事が投稿されてしまいました。それを見てタイピングの話を思い出し,急いでこの記事を書きました。
皮肉なことに,タイピングだけでなくこの記事自体もたなかの後を追ったものになってしまいました。