8月も終わり。
残暑はあるけれども、「秋風」をにおわせる微風は夏の終わりを感じさせるには強烈な風となって僕に吹いてきます。ここでは、今年の夏も日本の多くの小学生が乱獲したであろう「カブトムシ」をテーマに記事を書いています。特にカブトムシの「卵期」、「幼虫期」、「蛹期」について紹介していきます。
「えー?黒光りした成虫についてじゃないのかよ!(# ゚Д゚)」とはならず、ぜひ最後まで見てくだされ。
①カブトムシの分布
カブトムシは東南アジア諸国の多くの国々で見ることができます。そんな中で、日本は最北端のカブトムシ生息国となっています。今後、地球温暖化が進むにつれてその生息域は北上する可能性がありますが、日本の北海道でもカブトムシは採取できます。カブトムシは、温暖で湿潤な気候を好みます。日本には、多くのカブトムシが生息しております。私も子供の頃に夜の栗林でカブトムシ採取に熱中した夏があり、鮮明に覚えています。(栗の木におそらく蛾か何かの「成人の前腕サイズの幼虫」がいたことが印象的でした。)また、子供の頃にカブトムシを採取していて気づくこととして、各個体の大きさが異なるということです。虫かごいっぱいにカブトムシを採取してきて大きさが異なるのです。さて、このカブトムシの大きさの差異はなぜ生じるのか。興味深いですな。
②カブトムシの幼虫期に大きさの差異の原因があるらしい
結論から言います。カブトムシの大きさは以下の2つの事柄が大きく影響しています。
[1]幼虫が住んでいる場所のえさの質
[2]母親の大きさ(サイズ)
[1]についてですが、カブトムシの幼虫は土の中の微生物を好んで食べます。腐葉土の土の下に幼虫が多くみられるのはそのためです。また、幼虫の驚くべき生体機能として「二酸化炭素の匂いを感知する」があります。二酸化炭素に反応して行動する有名な虫として蚊が知られています。カブトムシの幼虫が二酸化炭素に反応することを裏付ける実験として、透明で四角いプラスチック容器の一か所の角にストローを差しこんでおきます。そのプラスチック容器にカブトムシマットを敷き詰めて、容器の中央部の中に幼虫を入れ実験準備完了。ストローに人間の呼気を吹き付けると、それに反応して中央部にいた幼虫が角っちょに移動していったという実験です。これは、微生物も生きていくうえで呼吸をしており、酸素を吸って二酸化炭素を出しています。このことから、幼虫は二酸化炭素の匂いを感知してその方向に動くことができているのです。当然、この微生物が少ない場所の幼虫は十分な栄養を摂取できず、サイズの小さな成虫になることになります。
[2]についてですが、これは哺乳類に顕著にみられる「母性効果」がカブトムシの幼虫前の状態、つまり卵の状態においても影響していることが知られています。(「父性効果」は大きく影響しにくいのが一般的です)この「母性効果」を示す有名な実験として、次のようなものがあります。まず、オスのカブトムシ1匹と様々なサイズのメスカブトムシとを交尾させて産卵させます。その卵のサイズを計測したところ、サイズの大きなメスのカブトムシの卵は大きな卵であり、サイズの小さなメスのカブトムシの卵が小さな卵であることが分かったというのです。最もサイズの大きな個体が生んだ卵の重さは「33mg」、最もサイズの小さな個体が生んだ卵の重さは「43mg」であったのです。カブトムシには母乳はありませんが、ほ乳類では母親が子供に母乳を与える際に、母親の母乳が多いほど子供に栄養がいきわたります。これは、カブトムシにおきかえると卵の中の栄養素の量に置き換えられ、卵のサイズにかかわってきます。生存競争を生き抜くためには、偉大なる母の影響が大きくあることはカブトムシ界においても同じことのようです。
③終わりに
さて、カブトムシの幼虫期、卵期について示してきました。小学生たちの自由研究につながる良いキーワードがたくさん出てきているかと思います。大好きなカブトムシを来年の自由研究につなげるためにも、勝負は始まっています。さあ、秋から冬にかけては幼虫は冬眠をします。その冬眠をしている幼虫を見つけて研究してみてはいかがでしょうか。
他の面白い既存の研究テーマとしては、「同エリア内の幼虫は同時期に蛹になる傾向がある(同調蛹化 現象)」、「幼虫は白色で成虫はなぜ黒いのか」などがあります。
末筆ですが以上になります。(もう少し国語力が必要ですね。。。)