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Microsoft Copilot Studio をユーザー部門向けに開放する際、考慮、検討、実施すること

Last updated at Posted at 2024-03-17

はじめに

Microsoft AI Tour の影響もあり、Microsoft Copilot Studio (以降 Copilot Studio) の需要が高まっていると感じています。

ユーザー部門から Copilot Studio を使いたいというリクエストをいただいている組織もあると思いますが、何をしたらいいか分からない、何からしたらいいか分からないというケースもあると思います。

また、そのような組織の中には、そもそも Power Platform 自体開放されていない、利用は可能だが (Microsoft 365 や Office 365 の範囲内で)、 セキュリティガバナンスの設計、運用が行われていないというケースもあるかもしれません。個人的には、AI ブームの影響もあり、Power Platform を利用していない方々からも Copilot Studio の利用を希望する問い合わせが多くあると思っています。

そのため、今回は、管理者、利活用促進をする方が、ユーザー部門向けに Microsoft Copilot Studio を開放する際、考慮、検討、実施すること等について整理をしてみたいと思います。

Copilot Studio を開放する際に考慮、検討、実施すること

Copilot Studio について知る

まず、管理する人、活用促進する人等が、Copilot Studio で何ができるのか、どのようなシナリオで使えそうか、他の生成 AI チャットとの違いは何か、理解することが必要と考えます。 入口次第では、Power Platform 自体、特に、旧 Power Virtual Agents、Power Automate 等の知識習得も少なからず必要になると考えます。

端的に言うと、こんな感じですが、体系的なトレーニングを受けるなどして全体像を把握することが必要と考えます。一応、弊社でも Copilot Studio のハンズオントレーニングを用意しています。

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また、以前から、Microsoft Dataverse for Teams という Teams のライセンスで利用できる機能があるのですが、こちらでも、Power Virtual Agents を利用することが出来ました (製品版の Power Virtual Agents の方が機能は豊富でした)。

こちらの Power Virtual Agents についても名前が変更となり、(Microsoft Teams プランの) Microsoft Copilot Studio となっています。しかし、こちらは従来から特に変わっておらず、生成 AI 機能の利用やサービスの Copilot (Microsoft Copilot for Microsoft 365 等) の拡張は出来ず、従来型のチャットボットの作成が可能となります。そのため、こちらの違いについても把握しておき、作成したいものの要件が、こちらの従来型のチャットボットで事足りるのかを見極めることも必要と考えます。

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Copilot Studio のライセンスについて知る

もちろんですが、ライセンス体系についても知る必要があります。

ライセンスは以下から確認可能ですが、Copilot Studio を利用する場合、上述の (Microsoft Teams プランの) Microsoft Copilot Studio を除き、追加のライセンスが必要になる点を抑えておく必要があります。つまり、Microsoft 365、Office 365、Power Apps Premium 等のライセンスのみでは、例えば、生成 AI 機能を利用したカスタム Copilot を作成して展開することは出来ません。

そして、例えば、利用者がカスタムの Copilot とどの程度やり取りをするかにより、必要なライセンス数は増えます。つまり、カスタムの Copilot が増えれば増えるほど、やり取りが増えれば増えるほど追加でライセンスが必要になります。

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ライセンスは容量ベースであり、追加のメッセージを購入可能です。課金対象メッセージは、コパイロット/ボットに送信されてアクションや応答をトリガーする要求またはメッセージです。掲載されている価格情報はマーケティングのみを目的としており、通貨、国、地域のさまざまな要因を反映した実際の価格とは異なる場合があります。お客様のチェックアウト時には実際の価格が反映されます。

こちらを踏まえると、組織内の全ユーザーが、管理者の把握なしに、 Copilot Studio を利用して自由に Copilot の作成、展開を可能にするのは、現実的ではないと考えられ、少なからず申請、承認などは必要になると考えます。

また、Copilot Studio で作成をするユーザー向けのライセンスもあります。こちら自体については、追加の費用は掛かからない認識ですが、購入をして、Copilot Studio で作成をするユーザーごとにライセンスを割り当てる必要があるため、全ユーザー分購入してあらかじめ割り当てる、申請のあったユーザーに対して割り当てるなどの対応が必要と考えます。

個人的には、申請ベースで個々のユーザーごとに割り当てるのは面倒なので、あらかじめグループに対してライセンスを割り当てて、申請のあったユーザーをグループに追加するのが良いと思います。

Power Platform セキュリティ・ガバナンスについて知り、設計、設定する

まず、Copilot Studio を通じて Power Platform について知った場合、Power Platform について、組織でセキュリティ、ガバナンスの設計、設定が行われていない場合、Copilot Studio 利用開始にあたってこれらについて知り、設計の上、最低限の設定を行う必要もあります。

具体的には、環境、セキュリティロール、DLP ポリシー等について、まず知る必要があると考えます。

また、Power Apps や Power Automate 等を通じて市民開発が行われており、セキュリティ・ガバナンスに関する設定も既に行っており、運用されている場合においても、Copilot Studio の開放にあたって、少なからず追加の設定、具体的には、環境の作成や DLP ポリシーの追加等が必要になると考えます。

以下は、Copilot Studio 向けの DLP ポリシーです。これらのコネクタの設定を、既存のポリシーの設定を踏まえて、変更したり、ポリシー自体の追加したりする必要があると考えます。

利用案内、ルールの作成

ユーザー部門向けに、Copilot Studio で何ができるのか、どのようなシナリオなら使えるのか、他の生成 AI チャットとの違いは何か、お金はかかるのか、利用したい場合どういったプロセスとなるかなどを知るための情報を整理して公開する必要があると考えます。

例えば、SharePoint サイトなど、社内サイト等で案内する感じです。周知するイベントを実施してみても良いかと思います。既に社内に Power Platform のコミュニティがあるのであればそちらを通じて公開、周知するのでもいいと思います。

また、その際、組織で利用可能な機能、組織で利用可能なチャットボットの展開先 (チャネル) 等について決める必要があると考えます。

例えば、カスタムの Copilot の作成は OK だが、Microsoft Copilot for Microsoft 365 のライセンスは現状ないため、Copilot の拡張は一旦許可しない、カスタム Copilot の展開先としては、一旦 Teams は許可するが、外部向け Web サイトの場合は個別相談とする、といった感じです。

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Copilot Studio 用の環境の用意

Copilot Studio は、Power Platform の環境内にカスタムの Copilot やプラグイン等を作成します。

そのため、まず、評価、開発する段階と、実際に本番利用を開始する段階において、ワンクッション置くか、環境を分けるかなどの検討が必要と考えます。

上述した通り、Copilot Studio で作成したカスタム Copilot を展開した場合、実際にどの程度利用者がカスタム Copilot とやり取りするかにより、ライセンス数が変わるため、個人的には、評価、開発段階と本番利用開始段階でワンクッション置いた方が良いかもしれないと考えます。テスト的に作成する、とりえあず評価をしてみたものの、本番利用には至らないケースもあるかもしれないためです。

更に、用意する環境についても、申請ごとに分けるのか (環境を作成するのか)、共通の環境を設け、原則そちらで評価、開発、本番利用するのかなどについても検討が必要と考えます。

申請、承認ワークフローの作成

ユーザー部門向けに開放する場合、リクエスト数にもよりますが、何らかの申請、承認ワークフローを作成した方が効率的と考えます。

例えば、申請向けのアプリを Power Apps で用意して、承認ワークフローを Power Automate で回すという感じです。せっかくなので、Power Platform で作るのが良いと思います。

この際、環境に対するアクセス権の付与、環境の作成 (申請ごとに個別に環境を払い出す場合) なども組み込むと、管理者側の負担がより軽減されると思います。

以下は、私の方でサンプルとして作成した、申請アプリ、承認ワークフローの一部の画面ショットです。こういったものを作ることで、管理者側の負担を軽減できると思います。

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トレーニング資料の作成

ユーザー部門向けに開放する場合、何らかの事前トレーニングの用意も検討した方が良いと思います。どんなものを作りたいかにもよりますが、広く使われる可能性のある機能について、最低限の学習教材はあった方が、結果的に管理者部門、利活用促進部門への問い合わせは少なくて済むと思います。

例えば、生成 AI 機能を利用する際の作成の仕方、制限事項、公開、展開方法についての知識は必要と思います。

また、評価、開発用と本番利用用で Power Platform の環境を分ける場合は、ソリューションについても最低限の知識が必要になると思います。

カスタム Copilot 展開、サービスの Copilot 拡張時の支援

どの機能を組織で利用可能にするかにもよりますが、例えば、カスタム Copilot の展開先次第では、認証の設定が必要になります。こちらは、Microsoft Entra ID にアプリ登録が必要になり、ユーザー部門だけで対応が難しいため、支援が必要になると考えます。この際は、申請するための運用を別途検討する必要があると考えます。

サービスの Copilot 拡張についても、管理者側での作業が必要になります。
個人的には、この辺についてはまだ細やかな制御ができないように見受けられます。今後の機能拡張次第では、管理者側で実施する作業が増えると思います。

まとめ

Microsoft Copilot Studio をユーザー部門向けに開放する際、考慮、検討、実施すること等について整理しました。今後、Copilot Studio を利用していきたいという方の参考になれば幸いです。また、より具体的な点について支援することも可能なため、その場合は気軽にご相談、お問合せいただけると幸いです。

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