はじめに
Power Platform などのローコードプラットフォームのおかげで、様々な人が、アプリ、自動化フロー、チャットボットなどを作成できるようになりました。
これらのローコードプラットフォームを利用して、これから、組織に市民開発者を増やしていくという取り組みをされている方から、市民開発者が増えてきた際、サポートできるのか、リソースが足らなくなるのではないか、サポートを効率化するにはどうしたらいいかといった相談をいただくことがあります。
個人的に、ポイントは、段階的にはなるとは思いますが、相談先を増やすことと、自走できることを増やすこととだと思っています。今回は、この観点での私の考えを述べたいと思います。
市民開発者コミュニティで相互に学び合う
こちらについては、聞いたことがあるという人もいると思います。
まず、沢山の市民開発者からの多種多様な質問、相談を特定の部門や人のみでサポートすることは現実的ではありません。そのため、市民開発者コミュニティを作成し、相互に学び合う (特定の誰かが一方的に教えるのではなく) 環境を醸成することが一つの手段となります。
もちろん、いきなり相互に学び合うようなコミュニティとはならない場合もあるかと思います (むしろその方が多いかと思います)。
その場合、最初のうちは、アーリーアダプターの方に盛り上げ役として協力してもらう方法があります。 例えば、事前にお願いをしておき、誰かが投稿をしたらリアクションしてもらう、質問が上がったら、回答をしてもらう、といった感じです。
誰が沢山のアプリやフローを作成しているか分からない場合は、 Power Platform 管理センターや CoE スターターキットで確認するのが良いかと思います。
■Power Platform 管理センター (過去 28 日間)
■CoE スターターキットの Power BI レポート (長い期間にわたって確認できます)
もちろん、協力いただくアーリーアダプターの方には、何かしらのベネフィットを与えることも重要です。
例えば、以下のようなものが考えられます。
- 人事評価に反映する、協力者のマネージャーにも貢献を共有する
- 社内表彰する、バッジなど、社内認定制度がある場合は認定する
- サービスリクエストの発行権を付与する (マイクロソフトのサポート契約がある場合)
- 有償ライセンスを付与する (ある場合)
外部の情報を活用する
恐らく、市民開発者コミュニティを立ち上げた際、自己学習用コンテンツやサンプル、テンプレートのアプリなどを用意するかと思います。
もちろん、これらの情報を定期的にアップデートしていくということも必要ですが、それなりに労力がいると思います。
そのため、コミュニティを盛り上げる意味でも、市民開発者の方のサポートを効率化するという意味でも、外部の情報をどんどん活用するのが良いかと思います。
現在、私もそうですが、様々な方が Power Platform に関する情報発信をしています。
技術ブログ、ユーザーコミュニティでの勉強会のコンテンツ、Youtube などに上がっている動画など、良いと思ったものは定期的にコミュニティで紹介しても良いかと思います。
自作する必要がないため、情報発信を効率化できると思います。また、紹介した内容で市民開発者の方が新たな知見を得ることはもちろん、市民開発者の方が外部の情報源を知ることで、自走できる可能性が高くなると考えます。
最終的に、様々な方が、自らアプリや自動化フローなどを作成した際に学んだことはもちろん、こういった外部の情報含めコミュニティに発信できるようになるようになるのが理想的かと思います。
その他相談先
サービスリクエストの発行権を付与する (マイクロソフトのサポート契約がある場合)
上述しましたが、一定のスキルレベルに達したなどの基準を設け、サービスリクエストの発行権を付与することで、少なくとも一問一答形式で解決する疑問点や作成時に発生したちょっとしたエラーについては、マイクロソフトの製品サポートに問い合わせをすることで解決できる可能性があります。
こちらについては、どのようなことが問合せできるのか、どのようにお問い合わせをすると良いのかなど、以下の情報も参考にしつつ、社内で一定のプロセス、ルールを決めて必要に応じて発行権を与えるのが良いと考えます。
AI を活用する
ご存じの方もいると思いますが、現在、自然言語を用いて、やりたいことを書くと、推奨フローを提案してくれたり、式を使用してデータ書式を提案してくれたりするなどの機能が出てきております。
例えば、こちらの時間のフォーマットの変更などは、慣れない方からすると (慣れても繊細なため結構躓くかも)、結構難しいと思いますが、以下のように、現在の値と希望する出力を入れるだけで式を提案してくれるため、かなり助かると思います。
そして、今話題の ChatGPT を利用することでも、やりたいことをベースに、式を提案してくれたり、ソースにコメントを追加してくれたりすることが出来ます。
また、試してみたところ、以下のようにエラーがある式を (わざと、カッコの数を多くしたり、関数を一部小文字にしてみました) 修正してと依頼したところ、上手く修正してくれました。
私の仕事が減るかもしれませんが (笑い)、今後、この辺も利活用していくことで、市民開発者の方のサポートの効率化が図れると考えます。