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市民開発者の母数を増やしていくためには

Last updated at Posted at 2023-03-14

はじめに

市民開発を推進していくにあたって、最初の段階では、アーリーアダプター、アンバサダー的なターゲットを決めたり、既にアプリや自動化フローを作成している人を発見し巻き込んだりしていくようなアプローチが考えられますが、そこから、市民開発者の母数を増やしていくことについて課題に感じている方もいると思います。

個人的な経験上、母数を増やしていくためには、以下のようなサイクルをどんどん回していくが良いかなと考えています。

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今回は、上記サイクルについて、それぞれのポイントなどを説明いたします。

説明会

説明会のゴールは、「身近に感じてもらう」 ことだと思っています。

感情的には、参加した人が、「私にもできるかも」、「なんか面白そう」、「こういう業務を改善できるかも」 みたいな感情を持ってもらう感じでしょうか。
もっと端的に言うと、ワクワクしてもらうことかなと思います。

そちらのゴールを踏まえると、マイクロソフトが出している他社事例などだけでなく、自社内で開発、IT 経験のない身近な人が作ったアプリやその成功体験を紹介したり、そのような開発、IT 経験のない人に登壇いただいてお話いただいたりするのが良いかともいます。

また、紹介するアプリやフローについて、難しすぎるもの、デザインや機能面で完成度が高すぎるものばかり紹介する必要はなく、むしろ、例えば、数ステップくらいのシンプルなクラウドフローなど、非常に簡単なものも紹介する方が、自分にもできそうと感じてもらえると思います。

それ以外にも、自社内で活用できそうなことの案についてアンケートを取り、沢山出た案について紹介したりすると、身近に感じてもらえるかもしれないと思います。

ハンズオン

説明会だけではイメージが湧かないというケースもあるため、実際に手を動かすハンズオントレーニングを実施します。講義を聞くだけではなく、手順に沿ってアプリやフローを作成し、実際に体験することで、「どのように業務に活かせるか」をより具体的にイメージできるようになります。

そして、個人的に、ハンズオン (トレーニング) のゴールは、誰一人取り残さないことだと思っています。ここで躓いてしまうと、「私にはやっぱり難しかった」ということで、今後市民開発者になっていく可能性が途絶えてしまう可能性があります。

参加者の IT バックグラウンドは様々ですし、簡単ではないと思いますが (特にオンラインで実施する際は)、講師がフォローできる人数に絞り、手厚くフォローするのが良いかと思っています。

もちろん、沢山の人に参加してもらう形を取っても良いですが、チャットサポートなど、フォロー体制は強化しておいた方がいいと思います。

また、あとから自習できるようコンテンツを共有することや、アフターフォローをすることも大切だと思います。

ハッカソン

残念ながら、ハンズオンをしただけだと、「何かトレーニング受けたな?」で終わってしまうケースもあります。

そのため、ハンズオンで実施したことを忘れないうちにハッカソンなどのイベントを実施することをお勧めします。

ハンズオンを受けた後、どんな業務に活かせそうか、案を考えてもらいます。簡単な設計書のテンプレートを共有してもよいかと思います。

そして、ハッカソンのゴールは、最低限必要な機能に絞り、動くものを作成することと思っています (もちろん、それ以上のものが出来るにこしたことはないですが)。そのため、事前に案を出してもらい、実現可否を確認しておくと良いかと思います。

また、個人的な経験上、オンサイトでの実施をお勧めします。間違いなくその方が盛り上がりますし、講師としてもフォローしやすいです。

最後に発表会を設け、経営層、参加者の上司など、様々な人を巻き込み、イベントそのものや参加者が作成したアプリについてコメントしてもらうのが良いかと思います。
参加者のモチベーションアップにつながると思います。

また、発表会は参加者以外も参加可能にするのがよいかと思います。同僚ににもとても参考になると思いますし、結果的に活動の認知度アップにつながります。

人材部門やトレーニング部門と連携していない場合は、イベントにお誘いして、今後、それらの部門と連携して継続的な活動にしてくというアプローチも考えられます。

また、イベント後、何らかの大きな会議で結果の共有や報告をしたり、社内報に乗せたりするなど、今後に向けてイベントを PR するのも良いかと思います。

そして、作成したものを早めにリリースしてもらうことも重要です。
アプリをリリースするのが怖い、もっと完成度を上げてからリリースしたいと感じる人もいると思います。

そのような方がいらっしゃる場合は、こちらの記事を参考までにご紹介ください。
もちろん、勇気を出してリリースしたアプリについて、認知度が上がるよう大きく紹介し、賞賛し、建設的なフィードバックをしましょう。

アフターフォロー

もちろん、イベント後のアフターフォローも重要です。
ポイントは、成功体験を得るまでです。

個人的に、イベント後に、市民開発コミュニティに参加いただくのが良いかと思います。

コミュニティ内で、相互で教え合う状態になるのが理想ですが、すぐにはそのような状態にならないと思います。
それまでは、継続的な投資が必要と思います。例えば、地道に個別フォローをしたり、市民開発向けの相談会を定期的に開いたりするのが良いと思います。

また、一緒に学ぶ人がいるとモチベーションも上がると思いますし、もくもく会のようなものもあっても良いかと思います。

市民開発コミュニティ参加誘導

市民開発は一朝一夕で習得できるものではなく、継続することが重要です。しかし、一人で取り組んでいると、分からないことを調べるのに時間がかかり、最悪の場合、挫折してしまうこともあります。

継続のためには、以下のような要素が欠かせません。

  • 仲間との助け合い
  • ノウハウやベストプラクティスの共有
  • 新たな刺激やインプット・アウトプットの機会
  • サポート体制

こうした環境を提供する手段の一つが、市民開発コミュニティの運営です。

ハッカソン後はもちろん、説明会やハンズオン、各種イベントなど、さまざまな活動の場で市民開発コミュニティを紹介し、参加を促すことが効果的でしょう。

コミュニティの活性化についてはさまざまな方法が考えられますが、まずは各種活動で生まれた接点を最大限活かし、継続的な関わりにつなげることが重要です。

フィードバック

最後に、それぞれの活動について、フィードバックを求めることも大切と思います。
個人的にこの辺は最低限伺いたいところです。結果を踏まえ、それぞれブラッシュアップしていくのが重要だと思います。

  • 良かった点、改善点
  • 身近に感じてもらえたか
  • 自分でもできそうと思えたか
  • 今後どんな業務改善に活かせそうか
  • 難しい点はなかったか
  • 今後どんなトレーニング、支援があると嬉しいか

イベント形式以外のサポート

当たり前ですが、上記のようなイベント形式以外のサポートも重要です。例えば、自己学習用コンテンツやサンプル、テンプレートのアプリなど用意することが考えられますが、それ以外の方法について、以下の記事で紹介しているため、参考にしていただければ幸いです。

まとめ

市民開発者の母数を増やしていくためのアプローチについて、私の考えを述べました。
もちろん、様々なアプローチがあると思いますが、一つの考えとして参考になれば幸いです。

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