はじめに
Power Apps で作成したアプリの利用率を上げることについて考えてみたいと思います。
当たり前ですが、あなたが市民開発者であれば、作成したアプリ、沢山の人に利用されると嬉しいと思います。
また、あなたがクラウドサービスや市民開発者が作成したアプリの利活用を推進する立場であれば、市民開発者の方が作成したアプリの利用率が上がると嬉しいと思います。
また、あなたがマネージメント層の方であれば、市民開発者によって業務を改善、効率化するアプリがどんどん生み出され、その利用率が上がり、会社全体の業務が改善、効率化されると嬉しいと思います。
しかし、アプリへの到達容易性 (アプリへのアクセスのしやすさ) が低いと、「あのアプリどうやてアクセスするんだっけ?」、「探すの面倒なので従来どおりの方法でいいや」みたいな感じで、せっかく作ったアプリが利用されない、利用率が上がらない可能性があります。
私の経験上、そのようなことになってしまうことを避け、アプリの利用率を上げるためには、利活用推進者や市民開発者自身がアプリへアクセスする複数の方法を知り、複数の導線を引き、必要に応じてそのためのプラットフォームを用意し、アプリ自体および複数のアクセス方法についても、定期的に周知、広報することが有効と考えます。
そのため、今回は、Power Apps で作成したアプリへのアクセス方法やその特徴等について整理してみました。作成したアプリの利用率を上げるための参考になれば幸いです。
Power Apps で作成したアプリへのアクセス方法
今回は、以下の Power Apps で作成したアプリへのアクセス方法について説明していきます。
- ブラウザーのお気に入りからアクセスする
- SharePoint ポータルサイトからアクセスする
- Teams のチャネルのタブへ追加してアクセスする
- Teams の左メニューへピン留めしてアクセスする
- アプリカタログを介してアクセスする
- モバイルデバイスからアクセスする
ブラウザーのお気に入りからアクセスする
これは、Power Apps で作成したアプリに関わらず、昔から使われてきた方法かと思います。そのため、利用者の方にアクセス方法を教える必要はない点はメリットと思います。
しかし、何らかの方法でアプリのリンクを共有する必要があり、例えば、広報したタイミングでアクセスしてお気に入り登録していない場合、URL がどこに行ったか探す必要があると思います。
例えば、埋もれたメールを探す必要があり、上手くすぐに見つからない場合もあると思います。
また、お気に入りに沢山のサイトを登録している場合 (長年仕事をしているとお気に入りも相当あると思います)、登録しても、探すのに時間を要す可能性もあります。
もちろん、市民開発者が増え、Power Apps で作成したアプリが増えるとその分お気に入りの数も増えます。
そのため、この方法だけでアプリの利用率を上げるのは不十分と思います。
SharePoint ポータルサイトからアクセスする
社内に SharePoint のポータルサイトが浸透している場合、そちらに作成したアプリのリンクを貼るという方法です。
例えば、元々何かのお問い合わせ方法や何かの予約方法 (例えば、メーリングリストの宛先や旧システムのリンク) を案内していた場合、そちらと作成したアプリのリンクお置き換える方法があります。
この場合、元々 SharePoint のポータルサイトを介してお問い合わせや予約がされていたのであれば、そのアプリの利用率も上がると思います。
しかし、上記のようなコンセプトと違うアプリ、例えば、私が社内で作成し運用している、日程調整を効率化するアプリや勤務状況をシェアするアプリの場合、アプリの趣旨と合う SharePoint ポータルがない、利用頻度も高く、いちいち SharePoint のポータルサイトを介してアクセスするのが面倒と思います。
そのため、全てのコンセプトのアプリの利用率をこちらの方法で上げるのは難しく、他の方法も用意しておいた方が良いと思います。
Teams のチャネルのタブへ追加してアクセスする
ご存じの方も多いと思いますが、Power Apps で作成したアプリ、Teams のチャネルのタブに追加をすることができます。
例えば、以下のように、チーム内で勤務状況をシェアするようなアプリの場合、チームのチャネルに追加しておくと利用しやすいと思います。また、誰かがチームのタブに追加すればチームに参加している他の人もアプリを利用できるため、この点については、こちらの方法のメリットと思います。
しかし、チームの外の人にもアプリを利用させたい汎用的なアプリの場合、多数のチームのチャネルのタブにアプリを追加するのは現実的ではなく、また、Power Apps で作成したアプリ以外含め、チャネルに追加しているアプリが増えてくると、アプリが見つけにくくなるという懸念もあります。
そのため、アプリの用途が合えば Teams のチャネルのタブにアプリの導線を引いておくのもありと思いますが、あくまで一つの方法と捉えておいた方が良いと思います。
Teams の左メニューへピン留めしてアクセスする
Power Apps で作成したアプリ、Teams の左メニューへのピン留めすることもできます。
Teams が業務のコミュニケーション基盤となっている場合、また、利用頻度が非常に高いアプリの場合、こちらにピン留めしておくのもよいかと思います。
実際、私も、例えば、上記の日程調整アプリなど、利用頻度が非常に高いアプリについてはこちらの方法で利用をしており、オススメしています。
Teams の左メニューにアプリを追加する方法について、いくつかあるため紹介しておきます。
アプリ利用者として追加する方法
まず、アプリ利用者として追加する方法です。
以下のように、ブラウザーでアプリを起動した際に Teams のアイコンをクリックすると、アプリを Teams に追加するためのポップアップが出てきて追加をすることができます。
意外と知られていない方法なので、アプリ共有時、こちらの方法も合わせて紹介するのも良いかもしれません。
管理者として追加する方法
管理者として、アプリを Teams に追加することも可能です。
この場合、以下の箇所に追加してアプリを見つけやすくしたり(アプリをクリックすると左ペインに追加することができます)、左メニューに強制的にピン留めすることなどができます。
市民開発者が作成したアプリの利活用を推進する立場の場合は、汎用性の高い、全社的に使わせたいアプリについてはこのような方法でピン留めして展開するのもありかと思います。
なお、[Power Platform で構築] には、自分が作成したアプリや共有されたアプリ等が表示されます。表示されるアプリの条件については以下に記載がございます。個人的には、グループを介して共有したアプリは表示されない認識のため、あくまで補完的な方法と思います。
アプリカタログを介してアクセスする
こちらのイベントを介して紹介した、Power Apps で作成したアプリカタログのようなアプリを使って、Power Apps で作成した沢山のアプリをカタログ化して利用する方法があります。
こちらのアプリ、例えば、以下のようなメリットがあります。また、Power Appsアプリの数が増えてきた場合、こちらのアプリのメリットをより感じることができると思います。
- 市民開発者の方が、IT 管理者を介さずに自分で利用を広めたいアプリを登録できる (自走できる)
- このアプリ自体 Teams の左メニューにピン留めして利用できるため、このアプリを介して他のアプリを起動できる
そのため、私自身も、このアプリに新しく作成したアプリを登録し、また、このアプリを Teams の左メニューにピン留めして、その中でよく使うアプリについても Teams の左メニューにピン留めし、それ以外の少し利用頻度が低いアプリはこちらのアプリカタログを介して使うようにしています。
個人的に、アプリの利用率を上げるための一つの導線としてこのようなアプリを活用するのは有効と思っています。
モバイルデバイスからアクセスする
もちろん、Power Apps で作成したアプリ、モバイルからもアクセスできます。
一つ目は、Power Apps モバイルアプリを使う方法です。
こちらのアプリを介して、よく利用するアプリについては、お気に入りやショートカットを利用するのが良いと思います。
二つ目は、以下の方法で、ネイティブアプリのように使わせる方法です。
全てのアプリに対して実施するのは現実的ではないですが、あなたが利活用を推進する立場の方で、特に利用させたいアプリがある場合、必要に応じてモバイルデバイスの管理者と連携して、こちらの方法にチャレンジするという手もあるかもしれません。
なお、Teams でピン留めしているアプリについて、モバイルからもアクセスできるため、こちらも方法の一つとして紹介しておいてもよいかと思います。
定期的な周知、広報
最後に、定期的な周知、広報の観点について補足します。
まず、利用率を上げたい汎用性の高いアプリの場合、説明したような、アプリへアクセスするための導線を複数引いた上で、アプリを定期的に周知、広報することが必要になってくると思います。
一般的には、社内広報に載せたり、イベント、社内コミュニティ等で紹介する方法がありますが、それ以外にも、従来の方法を利用している人がいる際に案内する方法もあるかと思います。例えば、お問い合わせを管理するアプリの場合、新しく作成したアプリを利用せず、従来の方法で問い合わせをしてきた際に、回答と合わせてアプリを利用する方法を案内するみたいな感じです。
私も、日程調整をするアプリを作成した後、従来の方法で日程調整をしている人がいた場合、都度、「日程調整大変じゃないですか?このようなアプリを使ったほうが楽ですよー。良かったらお使いくださいー。」見たいな感じでアプリを紹介したりしてきました。個人的にこの方法効果的と思っています。
最後に、組織全体や他部署の方にもアプリを共有する場合は、例えば、信頼関係を築けている同僚にアンバサダー的な役割になっていただき、広報してもらうとうのもありと思います。
例えば、私の場合、出社予定や出社状況をシェアするアプリについて、色々な部署の方に使ってもらうことでアプリの価値がより高まるため、信頼関係を築けている様々な方を介して広げていただきました。言うまでもなく、色々な方と仕事で信頼関係を築けていればいるほど、効果が大きくなると思います。