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金融系法規制まとめ(銀行系)①

Last updated at Posted at 2019-01-17

最近、金融法務系の知識が試される機会があったので、備忘録というか、知識の散逸を防ぐという意味合いでちょっとだけ纏めておきます。
最近の動向を確認しきれてないので、若干情報が古いかもしれませんが。。。
現在のお仕事でも金融法務に苦戦してる方もいると思うので、そんな方の足掛かりになれば。
量多いので分割して投稿します。

約款

簡単に言えば銀行とお客様が取引するときに、「~という条件で契約を結びますよ」ということを示したものです。
銀行に限らず、多くの契約には付随しているものなので馴染みは深いんじゃないかなと思います。
約款は銀行側が作成するのですが、お客様に不利にならないように以下のことが定められています。

・作成者(銀行)不利の原則・・・約款に不明瞭なところがあった場合は作成者(銀行)側に不利になるように解釈されます。
・制限的解釈の原則・・・免責約款など作成者(銀行)側に有利になるような規則について明白でない部分がある場合は、制限的に解釈される。
・合理的解釈の原則・・・作成者(銀行)の権利の確保や免責に関して恣意的に取引先を不当に不利益な地位に陥れるような事項が記載されている場合、その効力は合理的な範囲に限定される。

以上は作成者有利のルールにならないように定められた原則になります。
簡単に言えば、何か小賢しいことをしようとしたら、争いで不利にするからなということです。
なかなか約款を見る機会はないと思いますが、おそらく銀行で口座開設などした場合は受け取っているのではないでしょうか。
最近はネットでも口座開設が完結するように法改正されたようですが、約款などは開設後に届け出住所に送付されているはずです。

口座開設時の本人確認、ネットで完結 11月30日から(日経新聞)

金融商品取引法(通称:金商法)

内容は簡単に言えないほど幅が広いです。
もともとは証券取引法という名称でしたが平成19年に現在の名称に変わりました。
企業の開示規制だったり、インサイダーを防止するものでったあったりも含みますが、今回は銀行系に内容絞っていきます。

適合性原則(40条)

簡単にまとめれば無暗にリスク商品を売りつけてはいけません。という内容です。
リスク商品とは元本が割れる可能性の存在する金融商品だと思ってください(投資信託とか仕組み預金とか)。

そもそも投資信託とは?(投資信託協会)
リスクのある仕組預金(新型預金)の怖さ(Money Lifehack)
※個人的にはどちらの商品も資産運用商品として魅力的だと思っています。

さて適合性原則で定められているのは
顧客の知識、経験、財産の状況、投資目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って顧客保護に欠けることのないように行わなければならないということです。

つまりは
・初心者にリスクの高いものは勧めるな
・資産が少ない奴にはリスクが高いものは勧めるな
・意思のない人にリスクが高いものは勧めるな
ということです。

よく銀行で投資経験や、年収、総資産、リスクの許容度を聞かれるのは、上記を満たさないと勧誘ができないからなんですね。
多くの金融機関は自分たちが販売する金融商品をリスクの度合いに応じて分類していて、お客様が選択した投資経験や年収などから販売できる金融商品を提案しているはずです。

詳しくは以下レポート読んでください。
適合性の原則(金融商品取引法研究会)

虚偽告知や断定的判断などの禁止行為(38,39条)

簡単に言えばウソついたり、断言したりしてお客様をだましたらいけませんということです。
虚偽はもちろんダメ、ゼッタイなので分かりやすいのですが、断定的判断というのは、将来のこと(不確実なこと)を「絶対」とか「間違いなく」とかいう修飾語を使って説明してはいけないということです。
一般に社会的信用力の高い銀行員に「将来必ず儲かります」とか言われたら買っちゃいそうになるじゃないですか。
それ禁止です。ということ。

なので銀行員や証券マンは「おそらく~」とか「~になる可能性が高い」とかいう表現してるはずです。
逆に言えば、お客様に「どっちがいいの?」って聞かれても断言できないので苦しい立場なんです。
やめてあげましょう。

(必ず)儲かると勧誘され購入したケース(断定的判断の提供) (川合晋太郎法律事務所)

書面の交付義務(37条)

これは簡単、書面渡せよってことです。
具体的には「契約締結前交付書面」「目論見書」などが該当します。
これらは金融商品によって渡さないといけないものが決まってます。
なかには交付しなくてもいい場合ってのもあるっちゃあるんですが、渡しておいたほうが何事においても無難なので、銀行員は意地でも渡してくると思います。
おとなしく受け取ってあげてください。

契約締結時等の書面交付 (大和総研)

以上の3つは営業支援システムとかでは、説明したかとかのチェックボックスがあったりします(私のいたところは文面で記載でしたが)。
わざわざチェックボックス面倒だなぁとか思ってた人は、「銀行員、どんまい」って思ってあげるように心変わりしてください。

金融商品販売法(通称:金販)

先の取引法に似てますよね。
販売法の方が少し古い法律で、取引法と同じように適合性原則や、虚偽・断定的告知の禁止、リスクの内容などの説明義務などが定められてます。
特徴としては違反した際の損害賠償額が規定されている点でしょうか(民法の特則)

消費者契約法

これは銀行にかかわらず耳にする法律だと思います。
ただの口座開設や普通の預入も立派な契約の一つなので、この法律の対象になります。

基本的には
・虚偽告知等による契約締結の場合の取消権
・消費者に一方的に不利な条項などの無効
を定めてます。

なおここで「無効」という単語と「取消」という単語が出てきましたので軽く説明を(法学を学んでたわけではないので間違ってるかもしれないけれど…参考程度に)

無効

「無効」はその効力が最初から生じていないと判断すること。
なので元からそんな契約がなかったよとする。
そして、、、
・元から契約なんてなかった

・そんな事象存在しない

・存在しない事象の当事者なんて存在しない

・誰でも主張できる
意味が分かんなくなりそうですけど、要は誰でも主張できるって話です。
魔法少女まどかマギカで例えれば、キュゥべえと鹿目まどかとの契約は無効だって(一方的に不利な条項を指摘できれば)暁美ほむらが主張しても問題ないよってことです(分かり難いかな)

取消

他方、「取消」はその効力は一応有効に発動されたけれども不当な行為に基づくので、後から遡って効力を消すよという意味です。
なので上でも「取消"権"」という権利的な書き方をしています。
無効の例に合わせれば
・契約は一応成立した

・なので契約の当事者はいる

・主張できるのは当事者だけ
ということ。
そして一応でも成立はしているので、取消権を行使しない限り、契約は存続するということにも注意が必要です。
魔法少女まどかマギカで例えれば、キュゥべぇによる虚偽告知によって魔法少女になったため、この契約は取消ができるはずだと鹿目まどかが主張することはできても、暁美ほむらが主張することはできないということです。

まぁこの辺りはオマケ程度の認識でも問題ないように思います。

まとめ

銀行は約款やら金融商品取引法やら金融商品販売法やらに縛られている。
無下に扱ったらかわいそうだね。

今後

まだまだ銀行を縛るファンキーな仲間がいるんだぜ!!
簡単に紹介してやるよっ
・銀行法
・出資法
・臨時金利調整法
・独占禁止法
・外為法
☆個人情報保護法
・滞調法
・国税徴収法
☆犯罪収益移転防止法
・預貯金者保護法
次回、モチベーション続いてたらいいね多かったら☆マーク纏めます。
個人情報保護法は機微情報と要配慮情報とか種類あるし、犯罪収益移転防止法は今年FATFの第4次対日審査があってタイムリーなので。

参考書籍
『新営業店の金融法務』,経済法令研究会,2014

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