Exchangeにおけるリモートドメインとは
Exchange管理センターより設定可能な項目に”リモートドメイン”という設定があります。
[Exchange管理センター]-[メールフロー]-[リモートドメイン]-[Default]
こちらの設定を操作することでユーザーが外部ドメイン宛に送信するメッセージの種類や形式を制限することが可能です。
それらの設定の1つ、”メールの返信の種類-自動応答”機能が何を制限する機能か判りづらいため、当記事で動作を確認します。
設定対象
以下画像箇所の設定が対象です。
[Exchange管理センター]-[メールフロー]-[リモートドメイン]-[Default]-[メール返信の種類]
既定では画像の通りに、”不在時の自動応答の種類”は”外部の不在時返信のみを許可する”となっており、”自動応答”の項目はどちらも☑(有効)状態です。
一見、”不在時の自動応答の種類”という項目と”自動応答”の項目の内容が重複しているように見えます。
ただし、実際は異なる制限を施す設定値となるためその影響範囲を理解することが必要です。
設定影響
1.不在時の自動応答の種類
”不在時の自動応答の種類”で制御される項目は、ユーザー個々が作成する”自動応答”の機能です。
(対象:Outlookクライアント、Outlook on the web)
[Outlook on the web]-[設定]-[メール]-[自動応答]
こちらの機能は予め組織内・組織外ごとに文章を作成し、ユーザーそれぞれが不在(=長期休暇など)のタイミングで有効にすることで自動応答を利用することが可能です。
”不在時の自動応答の種類”の設定影響は以下の通りです。
設定 | 概要 |
---|---|
なし | 内部の送信者にのみ自動応答を送信し、外部宛には自動応答を送信しません。 |
外部の不在時返信のみを許可する | 組織内には組織内向けに作成した自動応答のテンプレートを送信し、組織外には組織外向けに作成した自動応答のテンプレートを送信します。 |
外部とレガシの不在時返信を許可する | 組織内には組織内向けに作成した自動応答のテンプレートを送信し、組織外には組織外向けに作成した自動応答のテンプレートを送信します。※ [従来の不在応答] につきましては、Outlook 2003 以前の自動応答機能を指しております。 |
内部の不在時返信を許可する | 自動応答は組織外 / 組織内ともに動作しますが、組織内向けに作成した自動応答のテンプレートが組織内 / 組織外に送信されます。 |
”不在時の自動応答の種類”が既定値であれば、ユーザーの自動応答設定の通りに動作が行われます。
要注意点は以下2点です
・[なし]とした場合でも、内部の送信者には自動応答は送信されます。
・[内部の不在時返信を許可する]とした場合でも、組織外の送信者に自動応答は送信されます。
設定値の文言通りに受け取ると勘違いする可能性があります。
2.自動応答を許可する
”自動応答を許可する”で制御される項目は、ユーザー個々が作成する”仕分けルールの処理の一部”です。
(対象:Outlookクライアント)
[Outlookクライアント]-[ファイル]-[仕分けルールと通知]
仕分けルールの作成時、実行する処理の中に”通知メッセージを使ってサーバーで返信する”という項目があります。
こちら処理は予めメッセージを設定し、仕分けルールの条件に沿った際にその設定したメッセージを自動で送信する動作です。
”自動応答を許可する”が既定値であれば、該当する仕分けルールは設定どおりに動作が行われます。
設定値を□(無効)にすることで、該当する仕分けルールの動作を無効にできます。
仕分けルールの処理が疑似的な自動応答のような処理となっており、それを制御するための設定値となっています。
3.自動転送を許可する
”自動転送を許可する”で制限される項目は、ユーザー個々が作成する”転送”処理です。
(対象:Outlookクライアント、Outlook on the web)
[Outlookクライアント]-[ファイル]-[仕分けルールと通知]
[Outlook on the web]-[設定]-[メール]-[転送]
メールの転送先としてアドレスを入力することで、組織内・組織外問わずメールを転送することが可能な機能です。
”自動転送を許可する”が既定値であれば、ユーザーの設定通りに転送処理が実行されます。
設定値を□(無効)にすることで、組織外へのメール転送処理は無効化されます。
※管理者がユーザーに対して自動転送を設定していた場合、リモートドメインの設定を受けません。
(メールボックスに対しての転送設定、トランスポートルールによる転送設定)
まとめ
"自動転送”の設定値に関してはイメージする通りの動作かとは思いますが、”不在時の自動応答の種類”、”自動応答を許可する”の2つの設定値は文言が似通っており判りづらくなっております。
特に”自動応答を許可する”設定を無効にすることで、ユーザーが個々に設定する[自動応答]設定に影響が及ぶものだという勘違いが発生しやすいです。
設定の影響範囲を正しく理解して、設定変更を行いましょう。