この記事はうるるAdvent Calendar2024の記事です。
人事部にてエンジニア採用や組織開発を主に担当しています。
弊社のエンジニアとともにお届けするアドベントカレンダーも、早くも3年目となりました!
各社さんの記事・社内の記事どちらも楽しみでとってもワクワクする時期です。
はじめに
うるるに入社して早5年、採用を軸にキャリアを歩みつつ直近3年くらいは主にエンジニア採用と全社の組織開発を担当しているため、せっかくなのでその両方のエッセンスを交え、エンジニア採用における適応課題をどう乗り越えていくのかについて書いてみたいと思います。
採用で必要な観点は山程ありますが、採用担当者にとってエンジニア採用の成否に一番直結するのはエンジニアとの協働体制づくりだといっても過言ではありません。
採用シーンに限らず、仕事をする上で生じる課題でもあるため、振り返りを兼ねて触れていきます。
参考
壁にぶつかるたびに読み返していた以下の本を大いに参考にしています!
こちらの本のエッセンスは様々な記事でも紹介されていますが、今回はそれをエンジニア採用に落とし込んでみたいと思います。
2つの課題ー技術課題と適応課題
企業活動における課題は2つに分類されると言われます。
それが「技術課題」と「適応課題」です。
例えば営業目標が未達だとか作業量が多く業務効率が悪いといった問題が生じているとします。
そこに対して主にスキル面や目に見える仕組みや手法を通じて解決できるのが技術課題です。例えば営業の切り返しトークを学んでいくとか、手作業のものが多いならツールを導入しよう、といった内容ですね。
一方で適応課題は、組織内の人間関係や働く人の価値観・組織風土・根付いた慣習などの目に見えない部分に問題があると捉え、解決に臨む必要があるものを指します。
業務効率の悪さに対しツール導入が最適な手法だという結論が出たとしても、「今までのやり方を変えたくない」という人から賛同を得られなかったり、必要ないと一蹴されてしまうかもしれません。
こうした例のように、適応課題を解決しないと技術課題へのアプローチも機能しない ことが往々にしてあります。
組織開発は様々な定義がありますが、適応課題を解決することで技術課題を遂行しやすくすると考えると、単に「エンゲージメントを上げることが業績向上に繋がる」と聞くよりもしっくりくるような気もします。
エンジニア採用に当てはめると
母集団形成を強化するためにスカウトの文面をブラッシュアップしようとか、面談でしっかりと魅力を伝え向き合えるようなトークスキルを上げていこう…といった手段はまさに技術課題に対するアプローチですね。
これらは生じている問題がどこにあるのかが数字で表れるので解決策がシンプルです。
応募数や選考移行率などの事実からボトルネックが見え、課題解決の手段もこれまでの知見や、巷に溢れている情報で浮かぶはずです。
では解決手段が浮かんだとして。
その手段は採用担当だけで成し遂げられるものは多くないはずです。エンジニアとともにゴールを描き、納得感を形成しながら協働していけるか…という点が適応課題といえます。
エンジニア採用で重要となる「開発者体験の良さ」も、中身を紐解くと、開発効率を高めることなどは技術課題にあたりそうですし、組織の意思決定フローの明確さや相互コミュニケーションの活発さなどは適応課題に整理できそうな気がしてきます。
本当は適応課題への対処が必要なのに、技術課題ばかりに目を向けていったらいつまでも良くならない…なんてこともあり得るので、今生じているのはどちらの課題なのかを見ていけると良さそうです。
自分と相手の溝を知る
では、どう適応課題を乗り越えていくか。
ファーストステップとして、まずは相手にどう働きかけるかではなく、自分に見えている世界のみで判断していないか?に立ち返ることが必要です。フラットになるということですね。
当たり前のようなことなのですが、「人それぞれ考えがあるよね」とわかっていても、同じ会社にいると意外に見失いがちなんですよね。
わかりあえるはずだと思っても、それぞれの人生で培ってきた価値観があり、現在置かれた状況における正義があります。そのため完全にわかりあうのは難しいことをまず理解する必要があります。
これは自分の考えだけが正しいわけではないと理解することとイコールだと考えます。
相手のナラティブを理解する
ナラティブとは「物語」「語り」などを意味しますが、「その人が置かれている環境における一般常識」、つまりその人の視点で見える常識や思考の枠組みだと思ってもらうのが良さそうです。
(この本では解釈の枠組みとして紹介されていました)
「相手の立場にたって考える」と様々なコミュニケーションの場で言われますが、言うは易し行うは難し。
非エンジニアの人にとって、エンジニア採用においてエンジニアがどんなことを考えているかは当然わかりません。
ただ、わかり合うためのステップには、相手の世界を見に行くことが必要です。そのために具体的には以下のようなことを実践していました。
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事業状況からブレイクダウンした開発ミッションの理解
日々採用担当者が接しているエンジニアたちは、それぞれ自分たちが果たすべきミッションを持っています。その裏には、事業としてどんな展望と課題があり、それらを開発面でどう遂行していく責任を追っているのか、どんなKPIを追っているのかなどの情報収集を行っていました -
チーム内の関係性の把握
誰と誰は仲が良さそうだ・逆にこの人とこの人はタイプが結構異なるから意見をすり合わせていくのに苦戦していそうだ…など、チーム内で意見や改善提案を通そうとする時に障壁となるであろう部分を把握していきます -
事業部長やVPoEなど別の視点からの情報収集
「わかり合いたい」と思う対象者だけでなく、第三者視点を入れることで、その人を取り巻く環境や背負っている期待やプレッシャーなどが立体的になります。特にエンジニア採用に関わるのは一般的にはEMやリーダー層が多く、裏側に沢山の人達の期待を背負っていることがわかります
これらを実践せずにすぐに次のステップに進んでしまうと、結局は相手の立場を顧みずに自分だけの要望を一方的に通そうとする、無茶振りと思われてしまいます。
共感するというのはおこがましいかもしれない。でも相手の「つらみ」を理解したいですよね。
あとは当たり前のような話ではありますが、最初は少しでも共通言語で語れるように、開発に関する知識をつけておく必要があります。
英語圏の人と話すために、英会話をネイティブレベルやビジネスレベルで実践できるようになるのは難しくても、単語をつないででも会話が成り立つ程度にしておくイメージでしょうか。
最初は呪文のようにしか聞こえなかった技術の話も、以下の書籍やうるるのエンジニアたちが沢山教えてくれたこともあって、段々と理解できるようになってきた気がします。
「言葉の意味だけなんとなく知って、わかったような気になるな!」と思う人もいるかもしれません。でも、なんとなくでも知っていないと本当に会話が成り立たないんです(泣)
共通のゴールに対する手段を模索する
前項までが事前準備だとすると、ここまでで相手の置かれた状況は見えてきました。
そうすると、相手の立場だったらどういう解決策が望ましいかもイメージがつくようになっているのではないでしょうか。
とはいえ、すぐに解決策から入ってもゴールがズレていてはまたすれ違ってしまう可能性もあります。
採用は入社者の短期的な活躍を追うものではなく、中長期的な組織の状態から逆算した考えを持たないと双方不幸になる可能性もあるため、先々の組織の理想の状態なども話し合い、ゴールをすり合わせておく必要があります。
ゴールがすり合った前提で、ようやく前項までの事前準備が効力を発揮します。
こういう分担にすればやりやすいのではないか?相手にとってはこんな部分がメリットになるのではないか?と、施策を遂行しやすくするための解像度がだいぶ上がっているはずです。
なんとなく提案するのと、事前準備を踏まえた仮説をもって提案するのだと全然違いますよね。
これらはいわゆる「対話」ですが、当然1回で上手くいくとは限らないのでめげずに何度も対話を重ねていくことが大事です。
(対話に生じる課題も沢山ありますが、それは上で紹介した本を読んでみてください!)
おわりに
そんなこんなで適応課題を乗り越え、技術課題へのアプローチが正しく機能した時に、採用の成果が表れます。そんな時は協働した方たちの顔が浮かび、喜びもひとしおです。
何度乗り越えても、「わかりあえなさ」はたびたびやってきます。
でも、この「組織だからこその課題」を乗り越えさえすれば、発揮できるパワーの総量が変わるので、これぞ組織で働く醍醐味でもあるな~と最近思ったりします。
エンジニア採用担当者に限らず、組織において「スムーズにコトを運べない」と悩んでいる方にとって少しでもヒントになれば幸いです。
そして何よりも、うるるのエンジニアは本当に温かく、人の課題にもコトの課題にも真摯に向き合う尊敬できる人たちばかりで、だからこそもっと頑張りたいという意欲に繋がるんだとも思います。
そんなうるるのメンバーが気になる人は、以下のエンジニア採用サイトやオウンドメディアをチェックしてくださいね!
- ULURUエンジニア採用サイト
- ULURUオウンドメディア「ULUlog」
明日は弊社サービスOurPhoto EMの、事業にも開発にも採用にもアツ~い男、@DoueKazunaの登場です!
お楽しみに~!♪