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PMBOK原理・原則:テーラリング入門 〜プロジェクトに合わせて "いいとこどり" する技術〜

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マインドマップ (11).png

PMBOKのテーラリングについて記事を書きました。
プロジェクトマネジメントの手法は、「全部入り」でも「完全省略」でもNG。大切なのは、プロジェクトの特性に合わせて「使える手法は何でも使う」という考え方です。
金融系基幹システムのシミュレーションとしての更改事例も紹介し、要件定義・開発・管理の各フェーズでどのようにテーラリングしたかを実践的に解説しています。

はじめに:なぜテーラリングが必要なの?

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「PMBOKの手法をすべて導入しないといけない」
「アジャイルだからウォーターフォールの手法は使えない」

...こんな思い込み、ありませんか?😅

実は、プロジェクトマネジメントで大切なのは、状況に応じて適切な手法を選択すること。これが「テーラリング」です。

テーラリングとは?

image.png

テーラリング = プロジェクトの特性に合わせて、管理手法を調整すること

洋服の仕立て(テーラリング)のように、プロジェクトにぴったりとフィットするように調整していくイメージです。

テーラリングの3つのポイント

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1. プロジェクトの特性を見極める

以下の要素を確認しましょう:

  • 規模:小規模なら軽めの管理、大規模なら厳格な管理
  • 重要度:影響度が大きければ慎重に
  • チーム体制:経験値や人数に応じて
  • 制約条件:納期、予算、品質要件など

2. 適切なアプローチを選択する

🔄 アジャイル的アプローチ

  • 要件が流動的
  • 頻繁な変更が予想される
  • 顧客との密接な協業が可能

📋 ウォーターフォール的アプローチ

  • 要件が明確
  • 変更が少ない
  • 契約での縛りが強い

💡 ポイント:両方のいいとこどりもアリ!

3. 調整のシミュレーション例

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実践的なテーラリング例:金融系基幹システムの更改

例えば、次のようなシミュレーションとしてのプロジェクトをもとに、テーラリングの実例を考えてみました。

プロジェクト概要

  • 20年稼働した勘定系システムの刷新
  • 開発規模:200人月
  • 期間:2年
  • 予算:10億円

直面した課題

  • 古いシステムの仕様が不明確
  • 運用部門が働き方改革で残業削減
  • 新人が多く、ナレッジ不足
  • パッケージ導入とスクラッチ開発の混在

テーラリングのポイント

  1. フェーズごとの使い分け
【要件定義フェーズ】
Before:
- ウォーターフォールで一気に固める
- 複数部署の承認が必要
- 属人的な運用をそのまま踏襲

After:
- プロトタイプを使った要件の可視化
- 3週間単位で優先度の高い業務から定義
- 運用手順の標準化を同時に実施
  1. 開発アプローチの最適化
【パッケージ導入部分】
- 導入ベンダーの開発手法を採用
- データ移行は独立したサブプロジェクト化
- 受入テストを重点的に実施

【スクラッチ開発部分】
- 2週間スプリントのスクラム開発
- ユニットテストの自動化を徹底
- CIツールでの品質チェック
  1. プロジェクト管理の工夫
【進捗管理】
- パッケージ:マイルストーン管理
- スクラッチ:バーンダウンチャート

【コミュニケーション】
- 朝会は週3回に削減(リモート併用)
- チャットで日次の進捗共有
- 月1回の全体報告会

成果と学び

  • 要件定義の期間を当初の8ヶ月から6ヶ月に短縮
  • 運用部門の残業時間30%削減
  • 若手エンジニアの成長を促進

成功の秘訣

  1. 開発手法を「目的」で選ぶ

    • 要件が不明確→プロトタイプ
    • 品質重視→自動テスト
    • 納期重視→アジャイル
  2. チームの特性を考慮

    • 新人が多い→ペアプロ導入
    • リモートワーク→非同期コミュニケーション
    • ベンダー混在→インターフェース定義を厳格に
  3. 定期的な振り返り

    • 月次でテーラリングの効果を検証
    • 半期で大きな見直し
    • 失敗も共有して改善

テーラリングのコツ

image.png

  1. 段階的に調整する

    • いきなり大きく変えずに、小さく始める
    • 効果を見ながら微調整
  2. チームの意見を聞く

    • 現場の実態に合わせる
    • 押し付けは逆効果
  3. 定期的に見直す

    • 固定化しない
    • 状況変化に応じて柔軟に

よくある失敗パターン

image.png

過剰な形式主義
「PMBOKに書いてあるから」と、不要な文書も作成

改善策
本当に必要な成果物を見極める

極端な簡略化
「アジャイルだから」と、必要な管理も省略

改善策
最低限必要な管理は維持する

まとめ

image.png

テーラリングの本質は、プロジェクトに合わせて、使える手法は何でも使うという考え方。

堅苦しく考えず、チームと相談しながら、より良い進め方を探っていきましょう!

最後に、テーラリングを始める時のチェックリストをどうぞ 🎁

  • プロジェクトの特性を整理した?
  • チームの意見を聞いた?
  • 段階的な導入を計画した?
  • 定期的な見直しの機会を設定した?

では、みなさんのプロジェクトが、よりスムーズに進むことを願っています!✨

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