はじめに
Salesforce(SFDC)を使い始めたばかりの方や、営業管理システムに馴染みのない方にとって、「リード」という概念は少し分かりにくいかもしれません。本記事では、Salesforceにおけるリードの定義、役割、そして効果的な活用方法について詳しく解説します。
リードとは何か?
リード(Lead)とは、Salesforceにおいて「潜在的な見込み客」を表すレコードです。まだ正式な顧客ではないものの、将来的に商談に発展する可能性がある個人や組織の情報を管理するためのオブジェクトです。
リードの特徴
リードは、1人分の連絡先情報を持つ、購入意欲や予算などがまだ確認されていない仮の状態のデータです。適格と判断された場合には、取引先や商談などの本格的な営業情報に変換されます。
リードに含まれる主な情報
Salesforceのリードオブジェクトには、以下のような情報が格納されます:
基本情報
- 氏名(姓・名)
- 会社名
- 役職
- 連絡先(電話番号、メールアドレス)
- 住所
営業管理情報
- リードステータス(新規、接触済み、資格確認済みなど)
- リードソース(Webサイト、展示会、紹介など)
- 評価・スコア
- 所有者(担当営業)
- 作成日・最終更新日
カスタム項目
- 業界
- 従業員数
- 興味のある製品・サービス
- 予算規模
- 決定権の有無
リードのライフサイクル
リードは以下のような流れで管理されます:
新規リード発生 → 情報収集・資格確認 → 変換 or 不適格判定
1. リード作成
- Webフォームからの自動作成
- 展示会での名刺情報入力
- 営業による手動作成
- データインポート
2. リード育成(リードナーチャリング)
- メール配信
- 電話での聞き取り
- 資料送付
- セミナー案内
3. 資格確認(リードクオリフィケーション)
- 購入意向の確認
- 予算の有無
- 決定権者の特定
- 導入時期の確認
4. 変換または廃棄
- 変換:取引先、取引先責任者、商談レコードの作成
- 廃棄:見込みなしと判定してクローズ
リードの関連オブジェクト
リードオブジェクトがどのオブジェクトと関連しているかを理解することで、より効果的な管理が可能になります。
リードと直接関連するオブジェクト
1. キャンペーン(Campaign)
- 関係性:多対一の関係
- 用途:リードがどのマーケティング施策から発生したかを追跡
- 例:展示会、Webセミナー、メール配信キャンペーン
2. タスク(Task)/ 活動(Activity)
- 関係性:一対多の関係
- 用途:リードに対する営業活動の記録
- 例:電話、メール、面談の履歴
3. イベント(Event)
- 関係性:一対多の関係
- 用途:リードとの予定やミーティングの管理
- 例:商談予定、デモンストレーション、説明会
4. 添付ファイル(Attachment)/ ファイル(Files)
- 関係性:一対多の関係
- 用途:リードに関連する資料の保存
- 例:名刺画像、提案資料、契約書下書き
重要な特徴:リードは独立したオブジェクト
リードの重要な特徴として、取引先(Account)や取引先責任者(Contact)とは直接関連しないという点があります:
- リードは会社情報を含んでいますが、取引先レコードとは別物
- 個人情報も含んでいますが、取引先責任者レコードとも別物
- 変換前は完全に独立して存在する
変換前:リード(単独存在)
変換後:取引先 ← 取引先責任者 ← 商談
リード変換のプロセス
リードが適格と判定された場合、以下の3つのレコードに変換されます:
取引先(Account)
- 法人顧客の情報
- 会社名、業界、従業員数など
- リードの会社情報から生成
取引先責任者(Contact)
- 個人の連絡先情報
- 氏名、役職、連絡先など
- リードの個人情報から生成
商談(Opportunity)
- 具体的な販売機会
- 商品、金額、確度、クローズ予定日など
- リードの商談情報から生成
変換時には、リードに紐づいていた活動履歴やファイルも適切な変換後オブジェクトに引き継がれます。
リード管理のベストプラクティス
1. リードステータスの設定
Salesforceにはリードの状態を示す「リードステータス」項目があり、営業プロセスに応じて自由にステータス値を定義・編集できます。
よく使われるステータス例としては以下のようなものがあります:
- New(新規)
- Working(作業中)
- Nurturing(育成中)
- Qualified(適格)
- Unqualified(不適格)
これらの値は日本語ラベルへの変更や組織固有のプロセスに合わせたカスタマイズが可能です。
2. リードスコアリングの活用
- Webサイトでの行動履歴
- メール開封・クリック率
- 企業規模や業界
- 役職レベル
これらの要素を組み合わせてスコアを算出し、優先順位付けを行います。
3. 迅速なフォローアップ
- Webからの問い合わせには24時間以内に対応
- ホットリードには即座にコンタクト
- 自動化ツールを活用した初期対応
4. リードソースの追跡
どのマーケティング施策が効果的かを把握するため、リードソースを正確に記録しましょう。
まとめ
Salesforceのリードは営業活動の出発点であり、適切に管理することで営業効率の向上や機会損失の防止、マーケティング施策の効果測定、売上予測の精度向上など多くのメリットがあります。効果的なリード管理は、営業成果に直結する重要な要素です。