PMBOKについての記事を作成しました。
「変革の促進」は、現場メンバー一人ひとりが変革の主役になるという考え方です。失敗を恐れず、小さな一歩から始めることが大切。そんな現場目線の実践ポイントをまとめました。
少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。✨
将来の状態を達成するために必要な変革を促進する
技術やビジネス環境の変化はますます加速しており、これまでのやり方だけでは競合に追い抜かれてしまうリスクが高まっています。そこで必要となるのが、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)で示される「変革の促進(Enable Change)」という考え方です。
ただし、PMBOKにおける「Enable Change」は、組織全体の変革というより、プロジェクトを成功させるための変革マネジメント に重点が置かれています。そのため、本記事では 「変革の促進」=「変革の推進」や「変革の実現」と言い換えることもできる という視点で、実務的なポイントを整理してみました。
1. なぜ「変革の促進」が重要なのか
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ビジネス環境の急激な変化
- 新しい技術や顧客ニーズが次々と登場し、昔ながらの手法では対応しきれなくなる場合が多い。
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組織やチームとしての成長
- 同じやり方を続けるだけでは停滞してしまい、新しい価値を生み出すことが難しくなる。
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競合優位性の確保
- 変化に対応し、むしろ変化をリードする組織が競争力を獲得できる。
2. 変革が実践しづらい理由(現場視点)
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日常業務の多忙さ
- バグ修正やリリース対応、スケジュール管理などで手一杯になり、「変革」に充てる時間が取りづらい。
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失敗への不安
- 新しいツールや方法を導入して失敗した場合、現場の負荷が増すことを懸念する声が出やすい。
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現在の方法への慣れ
- すでにある程度機能しているプロセスを変えるには抵抗もあり、一歩踏み出すハードルが高い。
3. 変革を促進するうえで大切なポイント
3.1 小さく始める (PoCやパイロットプロジェクトを活用)
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大規模導入をいきなり目指さない
- 新しいフレームワークや開発手法を全社・全プロジェクトで同時導入するのはリスクが高い。
- まずは一部のプロジェクトや機能開発で試してみることで、効果や課題を把握する。
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成功・失敗の事例を共有
- PoCの結果をドキュメントや社内コミュニケーションツールでオープンにし、ナレッジとして蓄積する。
- 他チームが同様の取り組みを行う際の参考になる。
3.2 多様なステークホルダーを巻き込む
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技術部門・事業部門の連携
- 技術的なメリットだけでなく、経営的・ビジネス的メリットを分かりやすく示すことで理解を得る。
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利害や目的を明確にする
- 「変革を実施することで、誰がどんなメリットを得るのか」を整理する。
- 数字や具体的な事例をもとに説明すると納得感が高まる。
3.3 失敗を許容できる組織文化をつくる
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心理的安全性の確保
- 新しい取り組みには失敗がつきものであり、それをネガティブに捉えるだけでは前進しづらい。
- 失敗から得た学びをチームで共有し、次の改善につなげる。
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オープンな対話の場を設ける
- フォーマルな会議だけでなく、雑談やライトな勉強会など、自由にアイデアを出し合える空間を用意する。
3.4 リーダーが目的や意義を示す
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繰り返し伝える
- 「なぜこの変革が必要なのか」「変化した先で何を実現したいのか」を、プロジェクトマネージャーやリーダーが繰り返し発信する。
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実践で示す
- リーダー自身が新しい取り組みに関わり、実例や学びを共有することでチームの理解を得やすくなる。
4. 現場で試しやすいアクション例
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新技術やツールの情報共有会を定期開催
- 週1や月1ペースで「最近気になった技術」などを軽く発表する機会を設定する。
- 取り入れるかどうかは置いておいて、まずは知見を増やす。
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小規模プロジェクトでのテスト運用
- サービスの一部機能やプロトタイプなど、影響範囲が限られたところで試験導入を行う。
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実験結果の見える化
- 成功・失敗の事例をWikiや社内ポータルでまとめ、他チームも容易に参考にできるようにする。
5. 変革を継続していくための心得
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変化は不可避
- 外部環境は常に変化しているため、組織としても柔軟に対応する姿勢が求められる。
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小さな改善を積み重ねる
- 大きな変革は一朝一夕に実現しづらい。少しずつ検証を重ねながら、段階的に進める。
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周囲を巻き込み、成果を共有する
- 一人や一部署だけで完結させるのではなく、関係者を巻き込みながら成果を周知し、組織全体で活用する。
まとめ
PMBOKの「変革の促進」は、単に新しいプロセスを導入するだけでなく、現場が主体的に学び・挑戦し続ける文化をつくることを目指しています。
多忙な中でも、少しずつトライしながら変化を生み出す組織風土を育てていきましょう。リーダーやPMだけでなく、現場のエンジニア一人ひとりが主役となって、未来を切り開いていく意志を持つことが「変革促進」の大きなカギです。