「ソフトウェア開発者のための会計学シリーズ」の第一弾を投稿しました。エンジニアが会計を学ぶ意義や複式簿記の基本、組織内のお金の流れを解説しています。技術だけでなく、会計知識がキャリアの幅を広げるヒントになれば嬉しいです。

自分の備忘録も兼ねてまとめたので、同じように会計に興味がある方の参考になれば幸いです。ぜひご覧ください！

目次

エンジニアが会計を理解する意義

「コードを書くのが仕事なのに、なぜ会計を学ぶ必要があるのか？」と思われるかもしれません。実は会計知識は以下の理由で非常に価値があります：

技術的な決断が「なぜ」行われるのか、その背景にあるビジネス上の理由を理解できるようになります。例えば：

技術的な選択が会社の財務にどう影響するかを考慮できるようになります：

CTOやCIOだけでなく、CFOや他の経営層と効果的に会話するための共通言語を持つことができます。技術の価値を数字で表現する能力は、昇進やプロジェクト承認の可能性を高めます。

すべての取引は少なくとも2つの側面（借方と貸方）を持ちます。両者は常に均衡し、この関係を表す基本方程式は：

資産 = 負債 + 純資産（資本）

これはプログラミングにおける「保存則」や「不変条件」に近い概念です。どんな取引も、この方程式のバランスを崩すことはできません。

例えば、会社が100万円の新しいサーバーを購入した場合：

(借) 固定資産（サーバー） 100万円
  (貸) 現金        100万円

この取引は資産の中での入れ替わりを表します：現金（資産）が減少し、固定資産（資産）が増加しました。

ソフトウェア企業の代表的な収益モデル：

ソフトウェア企業の主なコスト：

ソフトウェア企業の健全性を測る指標：

会計の基本を理解することで、キャリアにどのような影響があるでしょうか？

エンジニアがテックリードからエンジニアリングマネージャー、そしてCTOへと成長する過程で、技術だけでなく財務的な側面も理解することが不可欠になってきます。

自分のスタートアップを立ち上げる際には、技術スキルに加えて財務管理能力が成功の鍵となります。投資家は技術だけでなく、ビジネスモデルと収益性を重視します。

プロダクトマネージャーは技術と事業の橋渡し役であり、ROI（投資収益率）を最大化するための意思決定を日常的に行います。

最適なアーキテクチャ選択は、技術的な側面だけでなく財務的影響も考慮すべきです。例えば：

会計知識はエンジニアの「隠れたスーパーパワー」と言えるでしょう。純粋な技術スキルと組み合わせることで、より戦略的な意思決定と説得力のある提案が可能になります。