クラス制(Classful Addressing)
IPアドレスの先頭bitによってネットワークとホストの区切りがあらかじめ決められていた方式
クラス制一覧表
クラス | 先頭ビット | ネットワーク部 | ホスト部 | IPアドレス範囲 | 台数目安 | 用途・備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
A | 0xxx |
8bit | 24bit | 0.0.0.0 ~ 127.255.255.255 | 約1,677万台 | 大規模ネットワーク(国・大企業) |
B | 10xx |
16bit | 16bit | 128.0.0.0 ~ 191.255.255.255 | 約6.5万台 | 中規模ネットワーク(大学・企業) |
C | 110x |
24bit | 8bit | 192.0.0.0 ~ 223.255.255.255 | 約254台 | 小規模ネットワーク(家庭・部門) |
D | 1110 |
— | — | 224.0.0.0 ~ 239.255.255.255 | — | マルチキャスト専用(グループ配信) |
E | 1111 |
— | — | 240.0.0.0 ~ 255.255.255.255 | — | 予約・実験用(研究・将来拡張) |
理解のポイント
- クラスはA~Eまであり、先頭bit列が決まったものに分かれていた
- ネットワーク部はネットワーク全体のID(会社、部門、建物など)
- ホスト部はネットワーク中の個別機器のID(PC、スマホ、NASなど)
たとえばAクラスなら
IPアドレス 10.5.6.7
ネットワーク部は10
、残りの5.6.7
がホスト部
つまり、10というネットワークの中に、最大1677万台の機器を置けるということ
クラス制ではダメだった理由
細かく分けられない
→ たとえば255台で足りない会社は、もう1つCクラスをもらう必要があった
無駄が出る
→ 大企業がAクラスをもらっても、実際には全部使わないことが多い
IPアドレスの枯渇につながった
→ アドレスの割り当てに柔軟性がなかった
理解のポイント
- クラス制のデメリットが固定式で、機器をぴったりにしない限りは足りないか、多すぎる問題が出てくる。
例えば、255台使いたいのだが、クラスCは254台まで。
1つ足りないのでクラスBにする → 残り64745台が無駄になる。
- IPv4は32bitのアドレスだから、2の32乗(4,294,967,296個)
枯渇したのは、無駄な割り当てが多すぎたから。
43億もあるのに足りないのではなく、きちんと管理していれば足りたかもしれない。でもクラス制が無駄を生んだということ。
- 他にも枯渇の理由はあるけど、クラス制の時代で初期の浪費がかなり大きかったのは間違いない。
サブネットマスク(subnet mask)
IPv4のIPアドレスを使用している場合のみ使用し、IPアドレスとサブネットマスクを組み合わせることで、ネットワークの範囲(サブネット)を指定することができる。
理解のポイント
- IPアドレスは2つの情報がくっついたもの(ネットワーク部 + ホスト部)
- サブネットマスクとは、ネットワーク部の長さを教えてくれる
- 同じネットワークかどうか = ネットワーク部が同じかで判断する
CIDR記法(Classless Inter-Domain Routing)
「クラスに縛られるのをやめて、必要な数だけビットで割り当てよう」という方式。
IPアドレスの後ろに「/数字」をつけて、ネットワーク部のビット数を指定する。
192.168.1.0/24
→ 上位24bitがネットワーク部(= 192.168.1)
→ 残り8bitがホスト部(= 最大254台使える)
理解のポイント
- CIDRは「/」の後ろにネットワークのbit数を指定する
- CIDRが出てきたことで、IPの無駄遣いが減って、インターネットが効率化した
CIDRとサブネットマスクの関係
CIDR | サブネットマスク表記 |
---|---|
/8 | 255.0.0.0 |
/16 | 255.255.0.0 |
/24 | 255.255.255.0 |
/30 | 255.255.255.252 |
書き方が違うだけで、意味は同じ。
CIDRのほうがシンプルなので、現在はCIDRが主流。
CIDR記法はクラス制の限界を解決する方法とサブネットマスクの柔軟な書き方が合わさったもの