これは、IBM Cloud Advent Calendar 2017 4日目の記事です。
IBM Cloud について
IBMのクラウドは、この10年間、変化(進化とも言いたい)し続けています。
- Smart Cloud Enterprise(2011.4~2014.1)
- ビバ仮想サーバー!なクラウドでした。
- SoftLayerの買収に伴って「SoftLayer」に吸収される側のサービスになります。
- このころのクラウドの面影はいまやマッタクありませんね。
- SoftLayer(2005.5創業、2013.7 IBMが買収~2016.10 Bluemixへ統合)
- グローバルネットワークと世界中に広がる拠点、そして物理サーバーが売りのクラウドでした。
- 買収当時は13拠点だったデータセンター数も、いまや40拠点を超え(執筆時点)です。
- データセンターそのものの設備増強も現在に至るまで、またこれからも継続して実施されていきます。
- Bluemix(2014年サービス開始、2016.10 SoftLayerと統合~2017.11 IBM Cloudへ名称変更)
- 開発者向けのクラウド環境(PaaS)として始まりました。
- 2016年のSoftLayerとの統合で、SoftLayerはBluemix Infrastructure、PaaSはBluemix Platformとなります。
- IBM Cloud(2017.11~)
- あらゆる処理に「AI」が活用されるようになる世界でより便利で使いやすく、より速く処理ができるクラウド、を目指してBluemix名称は、すべてIBM Cloudに、ロゴと共に統一されました。
- ポータルとしても、ユーザーになるエントリーポイントとしてもIaaSとPaaSの二種類ありますが、機能的にすべてBluemix Platformに順次寄せられていきます。
IBM Cloud のサービスの数
カタログ的には現在、以下のラインナップがあります。
最新のカタログはこちら。
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インフラストラクチャー
- コンピュート
- ストレージ
- ネットワーク(負荷分散器、専用線接続、IPSec VPNなど)
- セキュリティー(Firewall、SecurityGroups、SSL証明書など)
- コンテナー
- VMware
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プラットフォーム
- ボイラープレート(すぐに始められる環境パック)
- API(クラウドの中で多くの企業に採用されているAPI Connectはここから)
- アプリケーション・サービス
- ブロックチェーン
- Cloud Foundry アプリ
- データ & 分析
- DevOps
- 金融
- 機能
- インテグレーション
- IoT(IoT Platform)
- モバイル(MobileFoudation、プッシュ通知など)
- セキュリティー(SSO、AppID、KeyProtect、ActivityTrackerなど)
- Watson(言わずと知れた、IBMのAI)
IBM提供のものだけではなく、サードパーティー提供のものもあり、現在の総数は200種類を超えています。
この1種類の中にも、複数のオプションがあるものがあります。
代表的なものに、仮想サーバーを例に挙げてみましょう。
仮想サーバーには、マルチテナント型のもの(パブリック)とシングルテナント型の(プライベート)があります。このパブリックだけでも現在、選択できる仮想サーバーは、標準、CPU重視、メモリ重視などワークロードの特性別に組まれた4種類のFlavorから構成され、CPU、メモリの組み合わせは合計25ものラインナップがあります。
多いですね。
で。このエントリでは、この200種以上のサービスのうち良く利用されているサービスのベストテンをご紹介します。
早速行ってみましょう!
IBM Cloud よく利用されているサービスベストテン
図 IBM Cloud(PaaS部分)サービスインスタンス・ベストテン
1位と2位は不動ですね。非常に人気です。それぞれもう少し詳細に踏み込んで見ましょう。
- SDK for Node.js
2. サーバーサイドJavascriptアプリケーションを簡単に作成できます。
3. Node.js を開発、管理、デバッグする様々なユーチリティがあるのも特徴です。
4. 2位のCloudantと合わせて不動のサービスですね。 - Cloudant NoSQL DB
3. CouchDB互換のNoSQLデータベース
4. RESTful APIでアクセスできるので、IBM Cloud上で作成されるアプリケーションのデータストアとして広く採用されています。
5. リアルタイムの MapReduceやApache Lucene ベースの全文検索ができるのも特徴です。 - Conversation
4. IBM CloudといえばWatson!なサービスのひとつです。
5. 要は、アプリがユーザーの会話を理解できるようにするサービスですね。
6. 最近流行のチャットボットはこれを利用するとかなり簡単に作れます。 - Internet of Things Platform
5. この1年間で急浮上した注目のサービス
6. 作成するアプリと、デバイスやセンサーを簡単に接続し、データを取り込み、分析できます。
7. 単独のサービスとしてこの成長は、IBM CloudがIoTの基盤として採用され始めている証ですね! - Liberty of Java
6. Java Web アプリ向けのサービス。
7. IBM WebSphere Application Server の、超高速および超軽量のプロファイルです。
8. クラウドでJavaなら、やっぱりIBM Cloudですね。 - Speech to Text
7. Watsonの音声認識機能ですね。ディープ・ラーニングを活用し、音響的な特徴と言語知識から正確にテキストを書き起こします。
8. 日本語のほかにもアメリカ英語やイギリス英語、フランス語、中国語など複数の言語に対応
9. カスタマイズ機能により特有の単語や言い回しを追加学習できます - Availability Monitoring
8. 直接利用しないサービス(サービスのためのサービス)なのにランクインしているこのサービス。広く利用されているということですね。
9. その名の通り、IBM Cloud上のアプリケーションの可用性を監視します。
10. DevOpsのToolchainに組み込んで、開発時からテストを継続できるのも便利です。 - Alchemy API
9. AlchemyDataNewsとAlchemyLanguageの2つの機能が利用できました。
10. それぞれ、後継サービスがWatson Discovery Service、Watson Natural Language Understandingとしてリリースされています。
10. Watson Natural Language Understandingは9位にランクインしてますね。 - Natural Language Understanding
10. 自然言語理解でテキストを分析し、コンテンツから概念、エンティティー、キーワード、カテゴリー、感情、関係、意味役割などのメタデータを抽出できます。
11. Watson Knowledge Studio を使用すると非構造化テキスト内の業界固有/特定分野のエンティティーおよび関係を識別できます。
11. 問い合わせシステムにもよく利用されているサービスですね。 - Text to Speech
11. テキストを読み上げるサービスです。
12. 男性女性だけではなく、日英独仏伊西葡に対応しています。ペッパー君の声はありません。
13. カスタマイズ機能により特有の発音もできます。話速・声の高さ・ポーズの位置なども自由に設定できます。
いかがでしたでしょうか?
Watson関連がトップテンの中の5位を占めています。これはIBM CloudがWatsonを利用できる唯一のクラウドだから、という表れかもしれませんね。
注目すべきは、IoTでしょうか。このサービスは昨年末からじわりじわりと順位を上げてきています。日本国内だけではなく、IoTを使って新しいサービスを立ち上げようとされているユーザーが増えてきてるのは、今回ご紹介したような利用傾向からも見て取ることができると思います。
因みに筆者のお気に入りは「Availability Monitoring」です。今回ランクインしていませんが、APIによる各種操作ログを管理、分析できる「Activity Tracker」も合わせてご注目いただきたいです。