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Kubernetesにおけるストレージのライフサイクル

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Kubernetesにおけるストレージのライフサイクル

1. はじめに

Kubernetes(k8s)は、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を助けるオープンソースプラットフォームです。ストレージはアプリケーションの要件の一部として重要な役割を果たしており、この記事ではKubernetesのコンテキストでのストレージのライフサイクルを詳しく探ります。


2. Kubernetesのストレージの基礎

2.1. ボリュームのタイプ
  • hostPath:

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: test-hostpath
    spec:
      containers:
      - image: busybox
        name: test-container
        volumeMounts:
        - mountPath: /test-hostpath
          name: test-volume
      volumes:
      - name: test-volume
        hostPath:
          # directory location on host
          path: /data
          # this field is optional
          type: Directory
    
  • emptyDir:

    apiVersion: v1
    kind: Pod
    metadata:
      name: test-emptydir
    spec:
      containers:
      - image: busybox
        name: test-container
        volumeMounts:
        - mountPath: /cache
          name: cache-volume
      volumes:
      - name: cache-volume
        emptyDir: {}
    
  • Persistent Volumes:

    apiVersion: v1
    kind: PersistentVolume
    metadata:
      name: my-pv
    spec:
      storageClassName: manual
      capacity:
        storage: 1Gi
      accessModes:
        - ReadWriteOnce
      hostPath:
        path: "/mnt/data"
    
2.2. Access Modes
  • ReadWriteOnce (RWO)
  • ReadOnlyMany (ROX)
  • ReadWriteMany (RWX)

3. Podとストレージのライフサイクル

Podが作成されると、Kubernetesはそれに適切なストレージを提供する必要があります。このセクションでは、異なるストレージのオプションと、それがPodのライフサイクルとどのように関連しているかを詳細に説明します。

4. ストレージの実際の利用例

4.1. データの持続性が不要な場合
  • emptyDirは、PodがNode上で動作している間だけデータを保持します。Nodeが再起動した場合、データは失われます。
4.2. データの持続性が必要な場合
  • Persistent Volumes (PV)とPersistent Volume Claims (PVC)を使用します。これらは、Podが削除されてもデータを保持します。
apiVersion: v1
kind: PersistentVolumeClaim
metadata:
  name: my-pvc
spec:
  storageClassName: manual
  accessModes:
    - ReadWriteOnce
  resources:
    requests:
      storage: 1Gi
4.3. 複数のPodでのデータ共有
  • ReadWriteMany (RWX) アクセスモードを持つPVを使用することで、複数のPodから同じストレージを読み書きできます。

5. ストレージのライフサイクル

5.1. Provisioning
  • 静的プロビジョニング: クラスタ管理者が手動でストレージを作成し、Kubernetesで使用できるようにします。
  • 動的プロビジョニング: StorageClassを使用して、自動的にストレージがプロビジョニングされます。
apiVersion: storage.k8s.io/v1
kind: StorageClass
metadata:
  name: standard
provisioner: kubernetes.io/aws-ebs
parameters:
  type: gp2
reclaimPolicy: Retain
mountOptions:
  - debug
5.2. Binding

PVCが作成されると、Kubernetesは使用可能なPVを検索し、要件に合ったものをバインドします。

5.3. 使用

PodがPVCを参照すると、そのPodがスケジュールされたNode上でPVがマウントされます。

5.4. Reclaiming

PodやPVCが削除されると、PVは再利用、回収、または永久に削除されることができます。

7. ストレージタイプごとのライフサイクル

  1. hostPath:

    • マウント: Podがスケジュールされるノードの特定のディレクトリまたはファイルを指定します。Podが起動するとき、指定したディレクトリやファイルはPod内の指定したパスにマウントされます。
    • アンマウント: Podが削除されると、マウントは解除されますが、hostPathに保存されたデータはそのまま保持されます。
    • 再起動: Podが再度スケジュールされると、以前のデータにアクセスできます。
  2. emptyDir:

    • マウント: Podがスケジュールされるノードの一時ストレージにemptyDirボリュームが作成されます。Pod内の全てのコンテナが同じemptyDirにアクセスできます。
    • アンマウント: Podが削除されると、emptyDirに保存されたデータも削除されます。このデータは一時的なものとして扱われるため、Podの削除に伴って永続的に保持されません。
    • 再起動: Podが再起動される際に、新しいemptyDirが作成され、古いデータは利用できません。
  3. Persistent Volumes (PV):

    • マウント: PVCを使用してPVを要求すると、Podは指定されたPVにアクセスできます。PVは外部ストレージやクラウドストレージとして存在することが多いです。
    • アンマウント: Podが削除されても、PVに保存されたデータは保持されます。データの保持はpersistentVolumeReclaimPolicyによって制御されます(例: Retain, Delete)。
    • 再起動: Podが再起動された際に、前回と同じPVに再接続され、前回のデータにアクセスできます。
  4. Shared Network File Systems (例: NFS):

    • マウント: Podが起動すると、指定されたネットワークファイルシステムにマウントされます。
    • アンマウント: Podが削除されると、マウントは解除されますが、データはネットワークファイルシステム上に保持され続けます。
    • 再起動: Podが再度スケジュールされると、以前のデータにアクセスできます。
  5. 複数のPodから同一のPVを参照:

    • マウント: アクセスモードReadWriteManyをサポートするPVを使用すると、複数のPodから同時にマウントしてアクセスすることができます。
    • アンマウント: 一つのPodが削除されても、他のPodが同じPVを使用している限り、データは保持されます。
    • 再起動: Podが再起動されても、他のPodと共有している同じPVに接続され、以前のデータにアクセスできます。

これらの説明から、Podのライフサイクルに応じたストレージのライフサイクルがどのように動作するかの違いが明らかになります。特に、データの永続性とアクセスモードに関して異なるボリュームタイプの特性を理解することは、Kubernetesにおけるデータ管理戦略を決定する際の鍵となります。

特に、Kubernetesの環境でアプリケーションやサービスを展開する際、データの永続性、高可用性、スケーラビリティなどの要件に基づいて適切なストレージソリューションを選択することが求められます。以下のポイントが考慮すべき事項として挙げられます:

  • データの永続性: データの持続的な保存が必要な場合、PVやネットワークファイルシステムのような永続的なストレージソリューションを選択することが推奨されます。

  • スケーラビリティ: 大量のデータや高いI/O要求がある場合、スケーラブルなストレージソリューションや高速なストレージバックエンドを持つPVを選択することが有益です。

  • データ共有: 複数のPod間でデータを共有する必要がある場合、ReadWriteManyアクセスモードをサポートするPVやネットワークファイルシステムを採用することが適切です。

  • コスト: クラウドベースのストレージソリューションを使用する場合、ストレージ容量やI/O操作のコストを考慮する必要があります。

  • セキュリティ: データの暗号化やアクセス制御が必要な場合、これらの機能をサポートするストレージソリューションを選択することが重要です。

結論として、Podのライフサイクルとそれに関連するストレージのライフサイクルを理解することは、Kubernetes環境でのアプリケーションの展開と管理において中心的な役割を果たします。適切なストレージソリューションの選択と適切な設定により、アプリケーションは効率的に動作し、データの整合性と可用性も保証されます。

7. まとめ

Kubernetesのストレージは、アプリケーションのデータ管理要件に対して柔軟で高度にカスタマイズ可能なオプションを提供します。この記事では、k8sの主要なストレージオプションと、それらのライフサイクルについての深い洞察を提供しました。適切なストレージソリューションを選択することで、アプリケーションのデータの耐久性、可用性、およびスケーラビリティを最大化することができます。

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