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KubernetesにおけるCPUリソースの管理とスロットリングの理解

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KubernetesにおけるCPUリソースの管理とスロットリングの理解

目次


はじめに

Kubernetesは現代のアプリケーション展開の主要なツールとなっていますが、そのリソース管理の重要性を十分に理解することが必須です。


Kubernetesのリソース管理の基本

requestlimit の違い

  • request: コンテナが実行中に必要とする最小のCPUまたはメモリの量を指定します。
  • limit: コンテナが使用できるCPUまたはメモリの最大量を示します。

メモリとCPUの扱いの違い

メモリにはオーバーコミットメントが許されず、一度確保されたメモリは再利用できません。一方、CPUはオーバーコミットメントが可能で、未使用のCPU時間は他のプロセスやコンテナに利用されることがあります。

resources:
  requests:
    memory: "64Mi"
    cpu: "250m"
  limits:
    memory: "128Mi"
    cpu: "500m"

スロットリングとは何か?

コンテナが利用可能なCPUリソースを超えてCPUを消費しようとすると、コンテナのCPUの消費が「スロットル」される可能性があります。これは、コンテナの実行速度が制限されるという意味です。このスロットルはKubernetesがシステム全体を保護するための正常な動作となっています。


リソース制限の必要性

Kubernetesのリソース管理において、リソースの制限は非常に重要です。具体的には、以下の理由からリソース制限が推奨されます:

  1. 予測可能性の向上:リソースの配分を予測可能にすることで、予期しないスロットルが発生するリスクを低減できます。これにより、予測可能なシステムの運用が実現されます。
  2. リソースの適切な配分:コンテナが必要とするリソースの最大値と最小値を明確にすることで、リソースの適切な配分を保証できます。これにより、リソースの無駄遣いを防ぎ、コストの削減が期待できます。
  3. システムの安全性の確保:あるコンテナが予期しない大量のリソースを消費することで、他のコンテナがリソースを得られなくなるリスクを防ぐことができます。

スロットリングのシナリオ:limitを設定しない場合

コンテナが動作しているNodeには、他のコンテナも動作していることが多いです。これらすべてのコンテナがリソースを共有しています。

シナリオを考えてみましょう:

  1. Nodeに3つのコンテナA, B, Cが動作しています。
  2. AとBはCPUのrequestlimitが設定されているが、Cは設定されていません。
  3. AとBはそれぞれのリソース制限内で動作しているが、突然Cが大量のCPUを必要とする処理を開始します。
  4. Cはlimitが設定されていないため、可能な限りCPUを消費し始めます。
  5. この結果、AとBはrequestで確保したはずのCPUリソースを十分に得られなくなり、動作が遅くなったりエラーが発生する可能性があります。
  6. Cの処理が終了しても、AとBの動作への影響はしばらく続く可能性があります。

このシナリオから、limitを設定しないことのリスクを理解することができます。limitが設定されていないコンテナは、他のコンテナに影響を与える可能性があるため、特にマルチテナントの環境や、生産環境での運用時には注意が必要です。


リソース制限の不必要論

一方、リソース制限を設けないことのメリットとして、以下の点が挙げられます:

  1. 柔軟性の向上:リソース制限を設けないことで、コンテナは必要に応じてリソースを消費できます。これにより、予期しないワークロードの増加に対応する柔軟性が向上します。
  2. シンプルな運用:リソースの制限値を設定・調整する必要がないため、システムの運用がシンプルになります。

言語ごとの動作特性

  1. Node.js:

    • Node.jsはシングルスレッドランタイムであり、そのため多くのCPUコアを必要とするわけではありません。しかし、非同期I/Oを最大限に活用するために、より多くのPodを使用してスケールアウトすることが推奨されます。
    • worker_threadsはマルチスレッドをサポートする機能で、注意深く使用する必要があります。CPUのリミットに合わせてスレッド数を制限することで、スロットリングを防ぐことができます。
  2. Python:

    • Pythonもインタプリタ型言語でシングルスレッドですが、multiprocessingライブラリを利用することで並行処理が可能です。CPUの物理的コア数がデフォルトのプールサイズとして使用されますが、プログラムでこのサイズを変更することも可能です。
  3. Java:

    • JVMは最近のバージョンでコンテナ環境を自動検出し、利用可能なメモリとCPUを自動的に調整します。しかし、制約のある環境での最適なパフォーマンスを確保するために、特定のJVMオプションを手動で設定することが推奨される場合があります。
  4. .NET/C#:

    • .NETは、コンテナ環境のリソース制限を自動的に認識し、最適なパフォーマンスを達成するための最適化を行います。
  5. Golang:

    • Go言語のランタイムは、実行中のコードに割り当てるCPUスレッドの数を制御するためのGOMAXPROCS環境変数を提供しています。この数値を調整することで、Goアプリケーションの並行処理能力を最適化することができます。

これらの言語やランタイムは、Kubernetesやコンテナ環境での実行を考慮して設計されているわけではありませんが、上記のような特性やツールを使用することで、このような環境での効果的な実行をサポートしています。


requestとlimitの均衡

Podのスケジューリングはrequestの値に基づいています。しかし、実際の使用量がrequestよりも高い場合、他のPodのリソースとの競合が生じる可能性があります。これを回避するためには、requestlimitのバランスを適切に保つ必要があります。


実際の運用上の注意点

Kubernetesの運用中には、以下の点に注意する必要があります:

  1. リソース使用率の監視:requestlimitの値を定期的に見直し、適切な値に調整する。
  2. スロットリングの確認:Podがスロットルされていないか定期的に確認し、必要に応じてリソースの制限を調整する。

まとめ

Kubernetesのリソース制限は、システムの安定性と効率を維持するための重要な手段です。適切なリソースの設定と定期的な見直しにより、安定したシステムの運用が可能となります。

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