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理物Advent Calendar 2022

Day 21

場の理論からみた物性理論

Last updated at Posted at 2022-12-21

理学部物理学科3年のてつです。
最近物性にハマっているので、今回は物性の記事にしようと思います。
物性と言っても話題は広く、調べたいことはたくさんあったのですが、今回はメジャーに超伝導についての話をしたいと思います。

はじめに

超伝導とは物質の電気抵抗がある温度以下で0になる現象です。超伝導の理論的な説明はBCS理論によりなされています。標語的に言うと、"電子が互いにペア(Cooper対)を作って、Boson的な性質になってBose-Einstein凝縮を起こす"といった感じでしょうか。この記事では、Cooper対などの議論には深くは立ち入らず、超伝導の別の側面を探ってみたいと思っています。正直背伸びした感じはあるので怪しいところがあったら指摘してほしいです。BCS理論については文献1などを参照すると良いです。

準備

この記事では場の量子論に若干踏み込んだことを書きたいと考えています。そのため、場の量子論についての必要最低限な知識をまとめておきたいと思います。

場の演算子

まず場の演算子というものを導入します。1体の固有関数$\varphi_n(\vec{x})$とし、その状態に対応する生成・消滅演算子をそれぞれ$a^\dagger_n(t)$、$a_n(t)$として、場の演算子を$$\hat{\phi}(t,\vec{x}) = \sum_{n}\varphi_n(\vec{x})a_n(t)$$と定義します。
交換関係を計算すると$$[\phi(t,\vec{x}),\phi(t, \vec{y})] = [\phi^\dagger(t, \vec{x}), \phi^\dagger(t, \vec{y})] = 0$$$$[\phi(t, \vec{x}), \phi^\dagger(t, \vec{y})] = \delta(\vec{x}-\vec{y})$$
が成り立ちます。ただし、fermionの場合は交換関係ではなく反交換関係になります。交換(反交換)関係から、場の演算子は$(t, \vec{x})$での粒子の生成・消滅の演算子と捉えることができます。以降、演算子であることを表す"$\hat{}$"は省略させていただきます。
Hamiltonianは、少し計算をして、

\begin{align*}
H &= \sum_{n}\epsilon_na^\dagger_na_n\\
&= \int d^3x\left(\frac{\hbar^2}{2m}\nabla\phi^\dagger(t,\vec{x})\nabla\phi(t,\vec{x})+V(\vec{x})\phi^\dagger(t,\vec{x})\phi(t,\vec{x})\right)
\end{align*}

と書き下せます。

Lagrangian、Hamiltonian、Nötherカレント

これから少し解析力学を思い出すような内容になりますがついてきてください。場の演算子はこれまで習ってきた量子力学と同じようにHeisenberg方程式に従います2。場の演算子が満たすべき方程式があると、Euler-Lagrange方程式がその方程式になるようにLagrangian密度$\mathcal{L}$を考えることができます。ただし、作用は$\mathcal{L}$を時間と空間の両方で積分して得られるため、これに対するEuler-Lagrange方程式は$$\frac{d}{dt}\left(\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\dot{\phi}}\right) + \nabla\cdot \left(\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial \nabla{\phi}}\right) - \frac{\partial\mathcal{L}}{\partial \phi} = 0$$です。Lagrangian密度$\mathcal{L}$がわかると、場の演算子に共役な正準運動量を定義することができます。$$\pi(t,\vec{x}) = \frac{\partial \mathcal{L}}{\partial \dot{\phi}}$$
正準運動量がわかると、場の演算子と共役な正準運動量の間に正準交換関係$$[\phi(t,\vec{x}),\pi(t,\vec{y})] = i\hbar\delta(\vec{x}-\vec{y})$$を課すことで量子化が行われます。


非相対論的な粒子のLagrangian密度は、ポテンシャル$V(\vec{x})$、$E = i\hbar \partial_t$、$\vec{p} = -i\hbar \nabla$として、
$$\mathcal{L} = \phi^\dagger(t,\vec{x})\left(E-\frac{\vec{p}^2}{2m} - V(\vec{x})\right)\phi(t,\vec{x})$$で与えられます。この場合、正準運動量は$$\pi(t,\vec{x}) = i\hbar \phi^\dagger(t,\vec{x})$$となります。$\phi$についての交換関係、Hamiltonian密度は先ほどと一致します。

さて、解析力学でもやりましたが連続的な対称性に対して保存則が存在するというNötherの定理がありました。これについてみておきましょう。場の演算子を$\phi\to\phi+\delta\phi$と変換した時にLagrangian密度が$\mathcal{L}\to\mathcal{L}+\delta\mathcal{L}$と変換するとします。この変換に対して対称であるとは$\delta\mathcal{L}=0$ということです。具体的に$e^{i\delta f} = 1 + i\delta f$をかけるような変換(大域的ゲージ変換)を考えます。$$\delta \phi = i\phi\delta f,~~~\delta\partial_{\mu}\phi = i\partial_{\mu}\phi\delta f$$を考えると、$\phi^\dagger$の寄与も考えて、$$\frac{\delta\mathcal{L}}{\delta f} = \frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi}\phi+\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\partial_\mu\phi -\phi^\dagger\frac{\partial\mathcal{L}}{\partial\phi^\dagger} - \partial_\mu\phi^\dagger\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi^\dagger)} = 0$$ただし$\partial_\mu$は時間、空間での微分です。
これにEuler-Lagrange方程式を適用すると計算過程は打ち込むのが面倒なので省略して、$$j^\mu = \frac{i}{\hbar}\left(\phi^\dagger\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi^\dagger)}-\frac{\partial \mathcal{L}}{\partial(\partial_\mu\phi)}\partial_\mu\phi\right)$$として、保存則$$\partial_\mu j^\mu = 0$$が得られました。


先ほどの例で出てきたLagrangianに対してNötherカレントを求めてみると、$j^\mu = (c\rho, j^k)$として、$$\rho = \phi^\dagger\phi,~~j_k = \frac{\hbar}{2m}\left(\phi^\dagger(\partial_k\phi)-(\partial_k\phi^\dagger)\phi\right)$$
となります。(ただし、上のLagrangian密度は、1度作用にした後部分積分で、1階微分までの関数にして計算し直します)

Bose-Einstein凝縮(BEC)

$N$個の粒子からなる系があったとして、そのうちの$\mathcal{O}(N)$個が一つの状態にある時、その系はBose-Einstein凝縮(BEC)していると言います。$N_0$個が波動関数$\chi_0(t,\vec{x})$の状態にあるようなBEC状態に対して、$$\Psi(t,\vec{x}) = \sqrt{N_0(t)}\chi_0(t,\vec{x})$$を定義します。これは、凝縮した粒子たち全体の波動関数です。$\chi_0$について、絶対値と位相成分で分けて$\chi_0 = |\chi_0|e^{i\varphi}$と書くことにします。この波動関数$\Psi$が先ほどの例のラグランジアンに従うとして、Nötherカレントを求めてみると3

\begin{align*}
\rho &= |\Psi|^2\\
\vec{j} &= N_0(t)|\chi_0(t,\vec{x})|^2\frac{\hbar}{m}\nabla\varphi
\end{align*}

となります。
流速を$\vec{v}=\vec{j}/\rho$で定義すると、$$\vec{v} = \frac{\hbar}{m}\nabla\varphi$$となります。このようにして流速が位相の勾配によって求められることがわかりました。

自発的対称性の破れ

BECのような相転移を場の理論を使って考えていきたいと思います。
先ほどの例に出てきた非相対論的なHamiltonian密度を使って考えます$$\mathcal{H} = \frac{\hbar^2}{2m}\nabla\phi^\dagger(t,\vec{x})\nabla\phi(t,\vec{x})+V(\vec{x})\phi^\dagger(t,\vec{x})\phi(t,\vec{x})$$このHamiltonianにさらに余分に$(\phi^\dagger\phi)^2$なる項を付け加えることを考えます。そうすると、ポテンシャルの$\phi^\dagger\phi$の部分と一緒に平方完成ができるので、Hamiltonian密度は$$\mathcal{H} = \frac{\hbar^2}{2m}\nabla\phi^\dagger\nabla\phi+ \frac{g}{2}\left(\phi^\dagger\phi-v^2\right)^2$$のように変形できるでしょう。ただし$g>0$とします。この変形によって何が起こるかをみていきたいと思います。

真空

Hamiltonianが最小になるのは$\phi^\dagger\phi = v^2$のときです。この条件では、$\phi = e^{i\alpha}v$と、位相の分だけ任意性があります。簡単のために$\phi = v$を選び、このまわりでの摂動を見て$\eta(\vec{x}) = \phi(\vec{x}) - v$とすると、基底状態は$\eta|0\rangle=0$を満たすものとなります。ここで、Hamiltonianは場の演算子の位相の分だけ$U(1)$対称性があったわけですが、最小となる点を$v$に決定したことでHamilotnianの$U(1)$対称性は自発的に破れてしまいます。実際、Hamiltonianを$\eta$を使って書き直すと、計算過程は略して、

\mathcal{H} = \frac{\hbar^2}{2m}\nabla\eta^\dagger\nabla\eta + {gv^2}(2\eta^\dagger\eta + \eta^{\dagger 2}+\eta^2) + \mathcal{H}_{int}

$$\mathcal{H}_{int} = 2gv(\eta^\dagger\eta(\eta^\dagger+\eta)+1/2v(\eta^\dagger\eta)^2)$$
となります。この中に出てくる$v$は$e^{-i\alpha}v$の中から一つ選んできたものなので、たしかにこれは対称性を破っています。
また、$\langle0|\phi|0\rangle = v\neq 0$となっていますが、これはBECを特徴付ける性質です。

Nambu-Goldstoneモード

$\eta$についてFourier変換し、$$\eta(x) = \int\frac{d^3k}{\sqrt{(2\pi)^3}}e^{-ikx}\eta_k$$
と表しておくと、$\mathcal{H}_{int}$を除いた部分のHamiltonian密度は

\mathcal{H}_{free}(\vec{k}) = \epsilon_k\eta_k^\dagger\eta_k + U_k(2\eta_k^\dagger\eta_k + \eta_k^\dagger\eta_{-k}^\dagger + \eta_k\eta_{-k})

のようにかけます。ただし$\epsilon_k = \hbar^2k^2/2m$、$U_k = gv^2$。この$\mathcal{H}_{free}$を対角化することを考えます。そのために、天下り的ではありますが、あるパラメータ$q_k$を用い、$c_k = \cosh{q_k}$、$s_k = \sinh{q_k}$として、

\zeta_k = c_k\eta_k + s_k\eta^\dagger_{-k}

とするような変換を考えます。この逆変換は

\eta_k = c_k\zeta_k - s_k\eta^\dagger_{-k}

です。この変換によって、適切な$q_k$を取ることによって$\mathcal{H}_{free}$を対角化できます。このような変換をBogoliubov変換と言います。
計算結果だけ示すと、0点エネルギーを無視して

\mathcal{H}_{free}(\vec{k}) = E_k\zeta_k^\dagger\zeta_k

となり、$E_k = \sqrt{\epsilon_k^2 + 4\epsilon_kU_k}$です。これはつまり、波数$\vec{k}$に対応する$\zeta$量子のエネルギー固有値が$E_k$であるということであり、$\eta$が$v$からのずれであったことを考えると、$\eta_k$と$\eta_{-k}$の重ね合わせで書けるモードの励起が存在するということを示しています。
分散関係を見ると、

E_k = \hbar|\vec{k}|\sqrt{\frac{2gv^2}{m} + \frac{\hbar^2k^2}{4m^2}}\simeq \sqrt{\frac{2g}{m}}v\hbar|\vec{k}|

となり、これは音速$C = \sqrt{2g/m}v$として、光子やフォノンと同じ形の分散関係になっています。実は、より一般に、連続対称性が破れた場合、$k\to 0$で$E_k\to 0$となるような励起モードが存在します(Nambu-Goldstonの定理)。このような励起モードをNambu-Goldstoneモードと言います。

超流動についての補足

BECの特徴として$\langle0|\phi|0\rangle = v$となるというものがありました。いまここで、場が$\vec{x}$に依存する位相を持っていて、$\langle0|\phi|0\rangle = ve^{i\varphi(x)}$となっていた場合を考えます。そうすると、Hamiltonian密度を$\eta$について変形したときの、$\nabla\eta$の部分に余分に位相の$x$依存性の寄与が出てきます。結果、基底状態よりも$\hbar^2v^2/2m(\nabla\varphi)^2$だけエネルギーが大きくなるため、これを緩和しようと流れが生まれます。これが超流動になります。

超伝導

電磁場の扱い

これまでは場として物質の場を考えてきました。ここからは、それに加えて電磁場がある場合を考えます。電磁場を表すのには、直接電磁場を使うのではなく、4元ベクトルポテンシャル$A^\mu$を用いることとします。ゲージは基本的にCoulombゲージを用います。

A^0 = 0,~~\nabla\cdot\vec{A} = 0

$A^\mu$のある場合、Hamiltonianに、電磁場のエネルギーの項$H_{EM}$と電磁場と物質の相互作用の項が加わります。また、これまで出てきていた微分$\partial_\mu$が、共変微分$D_\mu = \partial_\mu + ieA_\mu/\hbar$に変わります4

これらのことに注意して超伝導についてみていきたいと思います。

電子系の引力相互作用

これまではbosonの場について考えてきましたが、これからは電子についての場を考えたいので、fermionの場を考えることになります。Fermionの場は$\psi$により表すこととします。また、スピンも考える必要があり、$\uparrow\downarrow$に対応した演算子をそれぞれ$\psi_{\uparrow}$、$\psi_{\downarrow}$と表すことにします。

超伝導体の中では、電子の運動に伴って結晶格子が変化し、それによって別の電子が引力を受けます。このようにして、格子振動を媒介として引力相互作用が生まれます。一方クーロン相互作用は格子による遮蔽や、遠距離の相互作用を考えることなどから無視できます。この引力の項を入れたHamiltonianは

\mathcal{H}(\vec{x}) = \frac{\hbar^2}{2m}\nabla\psi_{\uparrow}^\dagger\nabla\psi_{\uparrow} + \frac{\hbar^2}{2m}\nabla\psi_{\downarrow}^\dagger\nabla\psi_{\downarrow} -g\psi_{\uparrow}^\dagger\psi_{\downarrow}^\dagger\psi_{\uparrow}\psi_{\downarrow}

とかけます。ただし、第3項については、$\downarrow$と$\uparrow$の粒子の間の相互作用を表しています。これをFourier変換すると、

H = \sum_{k}\epsilon_kc_{k\uparrow}^\dagger c_{k \uparrow} + \sum_{k}\epsilon_kc_{k\downarrow}^\dagger c_{k \downarrow} - \frac{g}{V}\sum_{k,k'}c_{k\uparrow}^\dagger c_{-k\downarrow}^\dagger c_{-k'\downarrow}c_{k'\uparrow}

となります。ただし、相互作用項については、引力相互作用によりやり取りされるエネルギーは高々$\hbar\omega$($\omega$はデバイ周波数)であり、フェルミ面から上下$\hbar\omega$の球殻でのみ相互作用が起こることから、二つの電子でその二つが最も相互作用するのは互いに逆向きの時であるからです。また、$\epsilon_k = \hbar^2k^2/2m-\epsilon_F$で、Fermiエネルギーとの差を表しています。Fermi面近傍での$k$を考えているので、Fermi面を基準にしています。
このようにして、$(k\uparrow,-k\downarrow)$の二つが対になって、散乱しながら安定化しているという描像が見えてきました。これからこの場合の基底状態(BCS基底状態)を求めたいと思います。フェルミ面付近の準位がCooper対によって占有されている確率を$v_k$、されていない確率を$u_k$とかき、その重ね合わせを考えて、

|BCS\rangle = \prod_k(u_k + v_kc_{k\uparrow}^\dagger c_{-k\downarrow}^\dagger)|0\rangle

とします。このとき、エネルギー期待値が最小になるような確率分布を求めれば良いということになります。このエネルギー期待値を$W[u_k,v_k]$として計算すると、

W[u_k,v_k] = 2\sum_{k}v_k^2\epsilon_k-\frac{g}{V}\sum_{k,k'}u_kv_ku_k'v_k'

規格化条件から$u_k = \cos\theta_k$、$v_k = \sin\theta_k$とすると、

\Delta = \frac{g}{V}\sum_{k}u_kv_k
E_k = \sqrt{\epsilon_k^2 + \Delta^2}

として、

\begin{align*}
u_k^2-v_k^2 = \frac{\epsilon_k}{E_k}\\
u_kv_k = \frac{\Delta}{2E_k}
\end{align*}

のように確率分布がもとまりました。

この$\Delta$がBCS基底状態に移るときに減るエネルギーや基底状態から励起状態へのエネルギーギャップなどを表しています。$\Delta$の定義式は自己無撞着的になっていてそれを解くことで$\Delta$を求めることができます。$\Delta$は転移点より上では0であり、秩序変数とみなすことができます。

対称性の破れ

Cooper対を表す演算子は$$\phi(x)= g\psi_{\uparrow}(\vec{x})\psi_{\downarrow}(\vec{x})$$のように定義することができます。
こうした時、Hamiltonianは、導出は省きますが、

\begin{align*}
\mathcal{H} = \frac{\epsilon}{2}\vec{E}^2 + \frac{1}{2\mu}\vec{B}^2 + \frac{1}{2M}(\hbar\partial_k - ie^*A_k)\phi^\dagger(\hbar\partial_k + ie^*A_k)\phi\\
+ \frac{g}{2}(\phi^\dagger\phi - v^2)^2 + ceA_0\phi^\dagger\phi
\end{align*}

Coulombゲージを採用すると最後の項は抜けます。$e^* = 2e$、$M = 2m$はCooper対の電荷、質量です。

エネルギー最小は$A = 0$、$\phi^\dagger\phi = v^2$のときです。$\phi$については$U(1)$の任意性がありますが、$\phi = v$とおくことで、その対称性が破れ、$\langle0|\phi|0\rangle\neq 0$となるので、これはBECであるといえます。
この$v$の位相に$\vec{x}$依存性を持たせてやると、超流動の時と同じように、位相の勾配により電流が流れます。この電流について、励起状態にはギャップ$\Delta$があるので超電流となります5
また、基底状態に磁場をかけることを考えます。定常状態を考え、$\partial_t\vec{A}(\vec{x}) = 0$とします。ここで、ベクトルポテンシャル$\vec{A}$が存在する時、エネルギーは

\mathcal{H} = \frac{1}{2\mu}(\vec{B}^2 + \vec{A}^2/\lambda^2)

だけ増加します。ただし、$\lambda = \sqrt{M/\mu}/e^*v$です。
よって、これに対応して電流が流れて、その値は

\vec{j}(\vec{x}) = -\frac{1}{\lambda^2\mu}\vec{A}(\vec{x})

です。これはLondon方程式と呼ばれるものです。

おわりに

お疲れ様でした。この記事をきっかけに物性に興味を持っていただけると私も嬉しいです。

参考文献

  1. Zyun F. Ezawa, Quantum Hall Effects: Field-Theoretical Approach and Related Topics (World Scientific, 2008)
  2. A. Leggett, Quantum Liquids: Bose Condensation And Cooper Pairing in Condensed-matter Systems (Oxford University Press, 2006)
  3. https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/71/11/71_11_1403/_pdf
  4. D. McMahon, 冨岡竜太, 『場の量子論』 (プレアデス出版, 2015)
  5. H. Ibach, H. Lüth, Solid-State Physics: An Introduction to Principles of Material Science (Springer, 1993)
  1. 文献の5

  2. これは非相対論的な場合で、相対論的な場合だとKlein-Goldon方程式などに従います。モデルの取り方の違いです。

  3. $\Psi$は演算子ではなく、この議論は適切ではないかもしれません。本来は確率の流れを考えるべきだと思いますが、Nötherカレントと同じ形をしていたのでそのまま使わせていただきました。

  4. 本来はもっとちゃんとしないといけないのですが、この記事の範囲ではこれくらいで十分です。より詳しくは参考文献を読んでください。

  5. Nambu-Goldstoneモードが存在しないのか疑問に思われるかもしれません。これは、Higgs機構という理論により説明されるようです。

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