アジャイル
agile
カンバン
scrum
スクラム
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この記事は Rakuten Advent Calendar 2016 の記事です。

こんにちは、アジャイルモンスターこと及部敬雄(@TAKAKING22)です。
現在は最近できたスタートアップの部署に所属しており、エンタープライズスタートアップの成功例をつくるべく、チームづくりからプロダクトマネジメントから越えられる壁はすべて越えるつもりで日々奮闘しております。

今日はカンバンについて取り上げてみます。
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  • ペンと付箋があれば始められる
  • オンラインサービスも数多く存在する
  • アジャイル開発を取り入れているか否かに関わらずエッセンスを取り入れることが可能である

など導入のしやすさから、今ではメジャーなソフトウェア開発手法の1つになっています。実際に皆さんの現場でもカンバンを運用している、あるいはまわりで運用しているチームがいる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

楽天でも、私がカンバンを始めた頃(2011年頃)は導入しているチームはほとんど存在しませんでしたが、今では壁不足・ホワイトボード不足が発生するくらいには多くのチームが自主的に導入をしています。

そんな簡単にはじめられるカンバンですが、「ToDo」「Doing」「Done」の付箋を移動するだけの死んだカンバンも多く存在する一方で、チームの基地(ベース)として常に改善されている生きたカンバンも存在します。せっかくやるなら後者を目指したいものですよね、ということでこれまでたくさんのカンバンの導入と運用を見てきた自分が考えるカンバンを有効活用するポイントについてまとめてみようと思います。

カンバンとは

自分が他人に一言で説明するとしたら、「カンバンとは、チームの状態を見える化しチーム改善を運用するためのツール」と言います。チームの状態の中には、仕事の進め方・アサイン・進捗など様々なものが含まれます。大きく分けると、【1】見える化と【2】仕事の流れを整える(WIP制限など)という2つの機能性が存在すると思っています。
いずれにしても、チームがチームのためにチームによって運用するものなので、「これをやればカンバンだ!」「これが正しいカンバンだ!」という答えはありません(基本的にこの手の話でそういう言い方をする人は信じなくていいと思います)。

ちゃんとした定義を知りたい人・詳しく学びたい人は、wikipediaがすごくよくまとまっています。また、それ以外にも素晴らしい記事・スライド・書籍がたくさんあります。参考リンクを記載していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

カンバンアンチパターン

「ToDo」「Doing」「Done」があればOK

今までお互いの仕事の状況が見えていなかったチームであれば、とりあえず「ToDo(やること)」「Doing(やっていること)」「Done(終わったこと)」を共有することだけでも意味があるかもしれません。
ただ我々の仕事はもっと複雑なハズなので、チームの状態を正しく知るためには、もう少し情報を詳細に見える化する必要があると思います。チームの仕事の進め方に合わせてレーンを切ったほうがより効果的なカンバンになるでしょう。

カンバンは導入するだけでOK

カンバンを始めるだけでは、恐らくなにも改善されません。チームを継続的に改善していく際にチームがどういう状態なのか知るためのツールとしてカンバンを使う、そしてカンバン自体をチームの状態に合わせて進化させていくという気概を持った上で導入を決めるべきです。
それができないのであれば、遠くない将来に形骸化するのでやらないほうがムダな時間にならなくて良いと思います。

となりのカンバンをマネするだけ

マネすることが必ずしも悪いという意味ではないです。
カンバンはチームの状態を見える化するものなので、チームとセットで考える必要があります。自分のチームの今に合わせたカンバンであることが重要で、身の丈にあったカンバンが一番いいカンバンだと思います。すごいチームのカンバンをマネしたところで、自分のチームがすごくなるわけではないのでご注意を!

カンバンのはじめ方(最小セット)

【1】チームのワークフローを整理する

カンバンを始める時は、いきなりカンバンをつくるのではなくまずチームの仕事の流れを整理することから始めます。

チームの仕事がどこから来てどこに出ていくのか、最初はカンバンを運用するチームが知り得る範囲でかまわないと思うので、見える化してみましょう。

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最近だとバリューストリームマッピングという手法もあったりするので参考にしてみると良いと思います。

【2】ワークフローに合わせてレーンを設計する

整理したワークフローに合わせてカンバンのレーンを設計するだけです。付箋を始めから終わりに流せば仕事が終わるようになっていればOKです。

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物理的なカンバンであればスペースが、オンラインカンバンであれば機能が制約になるので、そのあたりを考慮して設計できれば問題ありません。

カンバン運用のコツ

カンバンをはじめた後、死なせないために必要だと思うことを3つに絞りました。

ふりかえりとリンクさせる

カンバンはチームの状態を見える化するものなので、ふりかえりとの相性はとてもいいです。チームのふりかえりで出た問題に対する改善として、あるいは改善の効果の計測としてカンバンを使えることはとても多いです。

  • 実は新しいフローが増えていた →カンバンにレーンを増やす
  • 計画通りに終わらなかったけど理由がいまいちわからない →付箋に一日ごとにハンコを押すようにして、どういうタスクに時間がかかるのか見える化してみる
  • レビューが誰かに偏ってしまう →レビュワーのレーンに貼れる付箋の枚数を制限して分散するようにする

他の現場のカンバンを知る

「となりのカンバンをマネするだけ」をアンチパターンに入れましたが、他の現場のカンバンを見に行ってWHY(なぜ)を聞くことをおすすめします。どういう課題を解決するためにその形になっているのかを知ることは、自分たちのカンバン・チームの改善のヒントをたくさん得ることができます。
また逆に自分たちの現場のカンバンを見に来てもらうことで、自分たちでは気づけない視点でのフィードバックをもらえることもできるのでおすすめです。

終わりを始める

カンバンを中心にしたチーム改善の運用をはじめると、いろんな情報から多くの学びが得られるカンバンになっていきます。しかしその一方で、カンバンの運用が大変になってしまったり、情報量が多すぎることで大切な情報に気づきにくくなってしまう可能性も出てきます。「情報が多い=よいカンバン」ではないので、チームにとって習慣化し必要なくなった見える化(情報)はカンバンから取り除きましょう。
自分のチームではカンバンのリファクタリングを定期的に行うことが多いです。改善はやることを減らすことなので、カンバンを使って終わりを始められるようになったら素敵ですね。

カンバンをはじめた感想

カンバンをはじめたチームからふりかえりでよく出るフィードバックをまとめておきました。これから始める方はぜひ参考にしてみて下さい。

よかったこと・続けたいこと

・お互いのやっていることがわかるようになった
・メンバーのハマった問題や使えそうなソースが共有できるようになた
・チームで開発している感じ(一体感)が増した
・進捗がひと目でわかるようになったので安心して開発に集中できるようになった
・今日どこまで終われば帰っていいかがわかるようになった
・チームメンバーと話すことが多くなった

こうだったらよいのにと思うこと・不安なこと

・チケットの切り方が難しい
・終わりの定義が人によって違う
・状況がわかるようになったのでお互いが助け合えるようになると良い
・付箋が剥がれてしまう(ぜひ強粘着の付箋を使いましょう)
・付箋をたくさん使うのですぐなくなる

カンバンの発展

コラボレーションするカンバン

チームの解釈を広げることで、開発だけではなくビジネスやデザイナーなど他の役割を持った人たちと同じカンバンを運用することも可能です。
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実際に私がビジネスサイドと初めてカンバンをやったときの事例を紹介しているので興味がある方はぜひ御覧ください。

開発部門に限らないカンバン

駅すぱあとを運営されているヴァル研究所さんでは、開発以外の部署でもカンバンを導入し実際に運用されています。素晴らしい事例なのでぜひご参照下さい。

まとめ

カンバンは生物です。
読み方はナマモノ・イキモノどちらでもかまいません。
カンバンは簡単にはじめられる分、簡単に飽きてつまらないものになってしまいます。でも有効活用することができれば、カンバンはチームの基地(ベース)のような安心感を与える存在になります。
なにか問題があったらカンバンの前に集まる、仕事の休憩時間にカンバンの前に人の輪ができる、チーム外の人が興味深そうにカンバンの前で立ち止まる…そんな場(カンバン)がチームにあったら素敵だと思いませんか?

こういうチャレンジができるチームで働いてみたい方、もっと話を聞いてみたい、うちで話して欲しいなどなどあればぜひお気軽に直接お声がけ下さい。

参考

リンク

書籍