はじめに
この記事では、以前作成したDatabricksの公式ドキュメントを学習させたAIエージェントをDatabricks Appsで利用してみます。
Databricks Appsでチャットボットアプリを簡単作成
DatabricksのUIからクラスター > アプリ セクションに移動し、新しいアプリケーションを作成します。標準で提供されている「Chatbot」テンプレートを選択します。
アプリケーションの設定画面で、バックエンドとなるAIエージェントを指定します。前回デプロイしたDatabricks公式ドキュメント対応AIエージェントのサービングエンドポイントを設定します。あとはデプロイするだけです。
これらの簡単なステップで、基本的なチャット形式のアプリケーションがデプロイされ、AIエージェントと対話できるようになりました。
資格試験対策用にカスタマイズ
これだけだとplaygroundの機能縮小版でしかないので、少しカスタマイズもしてみたいと思います。このチャットボットをDatabricksの資格試験対策ツールとして、より実践的に使えるようにします。特定の試験範囲のトピックを選択すると、AIエージェントがそのトピックに関する解説を提供してくれるアプリケーションです。
試験範囲の定義 (YAML)
まず、試験ガイドに記載されている試験範囲の各トピックをYAMLファイル(cert.yaml
)に整理して保存します。これにより、アプリケーションから試験範囲のリストを容易に読み込めるようになります。
今回は、いつのまにか日本語化されていた(そして私がまだ取得できていない)Data Engineer Professionalを題材とします。
Databricks Certified Data Engineer Professional Exam Guide (日本語版)
data_engineer_professional:
- "Delta Lakeがトランザクションログとクラウドオブジェクトストレージを使用して原子性と永続性を保証する方法"
- "Delta Lakeが楽観的同時実行制御を使用して分離を実現する方法と競合する可能性があるトランザクション"
- "Delta クローンの基本的な機能"
- "Delta Lakeの一般的なインデックス最適化(パーティショニング、Z-Order、Bloomフィルタ、ファイルサイズ)の適用"
〜中略〜
Gradioのコード修正 with Claude 3.7 Sonnet
次に、アプリケーションのフロントエンド(UI)のGradioコードを修正します。ほぼ、Claude 3.7 SonnetとのVibe Codingです。以下の機能を持つようにコードを修正しました。
-
試験種別の選択: 複数の資格試験に対応できるよう、まず試験種別を選択するドロップダウンリストを設けます(今回は
data_engineer_professional
のみ)。 -
トピックの選択: 選択された試験種別に応じて、
cert.yaml
から読み込んだ関連トピックをドロップダウンリストに表示します。 - 解説の表示: ユーザーがトピックを選択すると、そのトピック名をハードコードしたtemplateに埋め込んだプロンプトを生成し、バックエンドのAIエージェント(サービングエンドポイント経由)に送信します。
- 結果の表示: AIエージェントからの応答(トピックの解説)を受け取り、画面上のMarkdownエリアに表示します。
完成したアプリケーション
上記コードをデプロイすることで、資格試験対策に特化したチャットボットアプリケーションが完成しました。
ユーザーはまず「試験種別を選択」ドロップダウンから対象の試験(例: data_engineer_professional
)を選びます。すると、「トピックを選択」ドロップダウンに、その試験範囲に対応するトピックの一覧が表示されます。学習したいトピックを選択すると、その内容が「選択されたトピック」欄に表示され、同時に関連する解説がAIエージェントによって生成され、下部のチャット出力エリアに表示される仕組みです。
まとめ
今回は、Databricks Appsと既存のAIエージェント(サービングエンドポイント)を組み合わせることで、特定の用途(今回は資格試験対策)に合わせたチャットボットアプリケーションを比較的容易に開発できることを示しました。Gradioを用いることで、インタラクティブなUIも効率的に実装可能です。
YAMLファイルで知識ソース(今回は試験範囲)を管理し、それを動的に読み込んでUIに反映させることで、メンテナンス性も向上します。同様のアプローチは、社内ドキュメント検索やFAQボットなど、様々な応用が考えられます。
Databricks Appsは、データエンジニアやデータサイエンティストが自身の成果物を手軽にアプリケーションとして公開・共有するための強力なツールとなり得ると感じました。