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ラピッドプロトタイピングとは?

Last updated at Posted at 2019-12-23

バカン [ Vacan, Inc. ]のハードウェアエンジニアのT-YOSHです。
ハードウェアエンジニアとして、ハードウェアにまつわること全般を担当しています。
バカン Advent Calendar 2019の24日目の投稿としてこの記事を書いてます。

はじめに

バカンでは「いま空いているか1秒でわかる、優しい世界」を目指してサービス開発を行っていますが、サービスを構築していくうえで必要なデバイスの開発に欠かせないラピッドプロトタイピングについて、紹介していきたいと思います。

ラピッドプロトタイピングって?

本題に入る前にそもそもラピッドプロトタイピングについて、wikiには以下の記述があります。

ラピッドプロトタイピングとは製品開発で用いられる試作手法である。
文字通り、高速(rapid)に試作(prototyping)することを目的としている。

ここで重要なのは、高速に試作するということであり、最近(2010年代~)になって高速に試作できるようになった(コストをあまりかけずに)という背景があります。
その主役になるツールが、皆さんも聞いたことがある以下のアイテムやサービスなどです。

  • Arduino(2008年頃から日本で普及)/Raspberry Pi (2013年2月発売)などのプロトタイピングボードの登場
  • レーザーカッター、3Dプリンターなどのデジタルファブリケーションツールの普及(特許が切れて一般化した)
  • PCB試作サービスや機材の低価格化(中国深圳のエコシステム)

これらのツールの発達によってデジタルなモノづくりの敷居が下がり、ラピッドプロトタイピングが可能になりました。

※裾野が広がったことによって、メイカーズムーブメントという動きが生み出されて、一大ブームになりましたが、その話は話すと長くなるので、興味がある人は以下の本を読んでみてください。

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる/ クリス・ アンダーソン (著)

Makersの話で自分が伝えたいのは、ハードウェア開発をするうえで、手を動かしてアイディアを形にすることのハードルがかなり低くなり、スピードも早くなった時代に我々はいるということです。

ハードウェアのラピッドプロトタイピングで欠かせない3要素

基本となる要素は主に以下があります。

  • 電気・電子系(エレクトロニクス)
    製品の中にある電子基板を作る。部品を決める。

  • 機械・機構系(メカニクス)
    製品の外装や中身の部品を設計する。

  • ソフト
    ソフトの動きを開発する。

ラピッドプロトタイピングでは、上記の3要素を素早く開発してモノとして動かす必要があります。

プロトタイピングツール

弊社で使っているプロトタイピングツールは主に以下のものがあります。

  • 電気・電子系(エレクトロニクス)
    ・Arduino/ESP32などのシングルボードコンピュータ
    ・回路CAD (Eagleなど)

  • 機械・機構系(メカニクス)
    ・3D CAD (Fusion 360)
    ・3Dプリンター (FDM方式)
    ・レーザーカッター (CO2 レーザー)

  • ソフト
    ・Arduino IDE など

これらのツールは本当に色々な場面でものづくり、特にプロトタイピングに活躍してくれます。

Arduinoを使ったプロトタイピングについては以下の本が詳しいです。
Prototyping Lab 第2版
――「作りながら考える」ためのArduino実践レシピ

プロトタイピングの流れの一例

  1. アイディアの着想
    何をしたいのか、どういった機能で実現するのかを考える。

  2. 実現するための機器構成や完成イメージのスケッチを描く
    image.png
    3.電気回路の動作確認(構成部品の検証とソフトウェア動作確認)
    image.png

4.PCBの部品レイアウト決め
image.png
5.筐体との組み合わせを確認
image.png
6.筐体のテストプリント(自社の3Dプリンター)
image.png
7.組立を行って完成
image.png

上記は3Dプリンターを主に使ったラピッドプロトタイピングの流れです。
細かい内容はこちらにありますのでご参考に。

最近の例と今後

上のプロト例では3Dプリンタが主役ですが、最近はレーザーカッターを使ったアプローチのプロトタイプ作成も行っています。
レーザーカッター自体は昔からあるものですが自社に導入できたことで、アクリルや木材の利用、タカチのABSケースのカスタムなどを行えるようになり、プロトタイプ作成の幅が広がり、開発の速度も上がりました。
   image.png image.png

新しい機材の導入によって、クオリティや開発速度を上げる取り組みは常に続けていく必要があると思っていて、今後もラピッドプロトタイピングの質と速度の向上を目指しています。
次のステップとしてはCNCツールやSLA方式の3Dプリンター、リフロー機の導入などを検討しています。
まだまだこれから楽しみが沢山です。

最後に

今回はプロトタイピングについて概要を紹介しました。
ここで紹介した手法は、今や定番的なやり方になっていて、情報はネットにあふれ、ツールはすぐ手に届くところにあります。
思い立ったらすぐに始められる、そんな時代が今なのでアイディアは形にしてどんどん試していきたいですね。

最後にハードウェア開発に興味のある方々に伊藤穣一さんのTEDを紹介します。
2014年の講演ですが、ハードウェアの世界で起こっているイノベーションについて述べています。
Want to innovate? Become a "now-ist"

プロトタイピングにとどまらず、深圳のエコシステムによって製品開発においてもスピード感が加速しています。
深圳のモノづくりのエコシステムについては以下の本が詳しいので興味を持った方はぜひご覧ください。

メイカーズのエコシステム 新しいモノづくりがとまらない。/ 高須 正和 (著)
メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる /小笠原 治 (著)

最後までお付き合いありがとうございました。
ハードウェアの世界が大きく動き、アジャイル的な開発手法が動き出したのがこの10年、まだまだ新しい動きがあってわくわくするハードウェアの世界を知るきっかけになれば幸いです!

バカンでは「いま空いているか1秒でわかる優しい世界」の実現に向けて仲間を募集中です。
に興味を持った方、ぜひこちらをチェックしてみてくださいね。

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