はじめに
「品質が良いものを作る」ということは、世の開発者全員、永遠の課題です。
品質に対する心得というものは無限にありますが、今回は、
何十年も悩んでいる諸先輩方と肩を並べつつ、同等の課題を背負わなければならない新卒の方々へ向けて。
そして、今後長く開発者人生を送る上で重要であろう心得を絞ってお伝えします。
いろんな道標のうちの1つになることを願います。
スタートに重要な心得は3つ
新卒開発者に送る心得は、以下の3つです。
- 「バグがない」は「品質が良い」ではない
- ミスやバグを出しても凹まなくていい
- バグが見つかることは、品質が向上する喜ばしいこと
1.「バグがない」は「品質が良い」ではない
「品質が良いものを作ろう」と考えた時、
まず「バグをなくす」ことをひたすらに目指そうとしていませんか?
確かにバグが少ないことは「品質が良い」と言える一因ではあります。
ですが「品質が良い」という判断基準は様々あり、バグはそのうちの1つでしかありません。
そして「バグをなくす」ことは、実は非常に不毛なことです。
実は、バグが0になることは決してありません。
どれくらいありえないかと言えば、QAの基礎中の基礎で教わるレベルです。
ですので「バグをなくす」ことに固執したり躍起になったりしなくて大丈夫です。
そして、「バグをなくす」こと以外の「品質が良い」とは何かも、いつか考えてみてください。
2.バグやミスを出しても凹まなくていい
これもQAの基礎中の基礎の話ですが、すべての前提として、
「人は必ずミスをする」 としています。
どんなにすごい先輩であっても、スーパーマンのようなリーダーであっても、
必ずミスをすることがあり、バグを起こすケースはあります。
完璧超人はこの世に存在しません。
そして皆「自分が絶対正しいことはなく、ミスをすることがある」と考えているでしょう。
だから「開発組織」という複数人の集いの中で、
「レビュー」や「テスト」や「QA確認」など、
あらゆる手段でミスやバグを「世に出さないよう」対策をしています。
自動化やAIを利用してミスを減らそうとしています。
なので皆さんは、自分がミスをしたりバグを出すことを恥だと思ったり、めちゃくちゃ凹まなくてよいのです。
ミスは隠さなくてよいのです。それくらい当然だ、と大手を振ってください。
やるべきことは、ミスを防ぐ対策に全力で乗っかり、みんなに見つけてもらうことです。
年次を重ねるごとに、自然とミスが少なくなり、自分で気付けることが増えてきます。
今、焦ることはありません。
3.バグが見つかることは、品質が向上する喜ばしいこと
レビューでの指摘やテストでのバグ報告を受けると、
自分の悪い点を攻められているようであったり、
仕事を否定されているような感じがして、
前向きな気持ちになるのが難しいと思います。
ですが、これらはすべて「より品質を良くするため」の行動です。
「品質が良くなった」という定義は非常に難しいです。
「品質を良くする」確実な行動はほとんどありません。
新機能を出したからといって必ず良くなるものではないです。
その数少ない「ほぼ必ず品質が良くなる行動」が「バグを直す」ことです。
バグを見つけたり報告されたら 「お、品質絶対上がるじゃんラッキー」 と思いましょう。
まとめ
心得を全部まとめて言えば、
どんなすごい人でもみんなミスったりバグを作るから、自分一人の力でバグを0にしようと気負わなくていい。
みんなで品質が良いものを作ろうとしているから、みんなを頼ろう。
ってことです。
これからの長い長い開発人生に幸多からんことを願います。