事の発端
ある声を耳にしました。
「Storybookがプロ級」
「これで子供に読み聞かせてる」
「紙の本は高いから代わりになる」
エンジニアのみなさん、AIにコードを書かせたことってありますよね。
そして、出力されるコードの精度をよく身に染みていると思います。
それが、自然言語であれば素晴らしいものが出力できるのか……疑問ではないでしょうか。
それと同時に、ひとりの芸大卒の人間として疑う気持ちもありました。
その他いろんな思いがありましたが置いておくとして。
Storybookの実力がどれほどのものか、実際に、ガチで批評しました。
一個人の見解ですので、その点はご留意ください。
検証
前提条件
- Storybookの出力が最も適しているであろう有利な条件で出力
※絵本も幅が広く、対象年齢やジャンルによって相応しくないケースもあるため - 出力は1回だけ、リセマラ無し
出力データ
プロンプト「6歳向けに、悪いことをするとよくない結果になる話を作成してください」
出力「6歳のお子様向けに、悪いことをすると自分に返ってくるという教訓を込めた、いたずら好きなキツネの物語を作成しました。」
よくばりリスのクリと なくなった きのみ
まずは出力された本文を、どうぞ自身の目でご覧ください。
もちろん、普通に読んでも、ざっと目を通すだけでも大丈夫です。











読み終えた感想はいかがでしょうか。
「一発出力って話だけど、結構いいじゃん」「絵もかわいいね」
「変なところ? あった?」「これはれっきとした絵本だよ」
「親しみやすいし、子供も読みやすそう」
……色々あると思います。
実際のところ、「絵本に対する知識0」で「深く考えず流し読み」したら、
私の感想もこんなところです。
もし「引っかかるところがあった」と思ったそこのあなた、
相当用心深く、それこそ国語のテストを解くように読んだか、
多くの絵本を読んできた猛者ではないでしょうか?
それでは本題に入りましょう。
「付け焼刃でも絵本の知識を用意し」「ガチで批評したら」どうなるのか。
表紙から見ていきます。
ガチ批評
表紙
本文
- AIは「いたずら好き」と言ってるのに、「よくばり」の話
- AIは「キツネの物語を作成しました」と言ってるのに、キツネは表紙にいない
(なお本文中どこにもでない) - リスの名前が「クリ」なのは非常によくない
「栗」と音が同じなので混同するし、絵に「栗」も描かれている - 「クリ」と「栗」で、かけている意味も存在しない
- 「どんぐり」がよい。「きのみ」である意味がない
- 絵にうさぎがいなければ「よくばり[名前]となくなったきのみ」でいい。「リス」は不要
- このうさぎの名前がわからない(表紙にいらない)
絵
- うさぎが「きのみ(どんぐり、栗)」を集めているが、うさぎの主食ではない
どちらかと言えば、与えるのは危険 - うさぎが背を向けている構図に意味がない
- リスが木に隠れているのに、うさぎの前にいる立ち位置関係がおかしい
- うさぎはいらない
1ページ目
本文
- 1文字目を大きくするのはオシャレだが、絵本としては不適切
- 単語の途中で改行しているのは絵本として非常によくない。つまり今後すべてのページがそう
- 全部ひらがなはよくない。簡単なものは漢字にしてふりがなを振るべき
- 「もりのなかに~すんでいました」は一文が長すぎる
- 「なまえの」「ちいさな」など不要な説明、修飾語が多い。あと小さくない。普通にデカい
- 「クリは あきが だいすき。なぜなら、おいしい きのみを たくさん あつめられるからです。」は要らない
- 秋が好きな説明より、きのみが好きな説明をすべき
- 「クリの ゆめは、せかいいちの きのみもちに なることでした。」は
ひとつ前で「おいしいきのみ」と食べる用(消費される)であることを説明していることと矛盾する
絵
- クリがそこに描かれている理由がない。表情からは何も読み取れないし、何か行動をしているようにも見えない
- 今バッグを肩からかけている意味がない。状況と矛盾している
- 「出入り用の穴」「木の洞の口」「実寸大に見えるリスときのみ」というリアル描写に対して、
「リスが服を着ている」「バッグやベルトなど装飾品を身につけている」「壁が板張り」というファンタジー
表現が矛盾しているので統一が必要。絵本的には、家をもっと家具が置いてある普通の部屋にすべき - ところどころ木の実の描き方が雑
2ページ目
本文
- 「あるひ、」は情報不足。「森のくまさん」の感覚だと「別にいいだろ」ってなるけど、もっと情景を足すべき。それが余白
- 「いっしょうけんめいきのみをはこんでいる」の「一生懸命」は話の流れ的に邪魔
このあとの話が「手伝ってあげよう」と展開しないのは違和感になる - 「みかけました」は子供に伝わらないので言い換えるべき
「あいました」「であいました」「ばったり!」などなど
「はこんでいました。」で終わりにしてもいい - 「『ふゆのあいだにたべるんだ』」。うさぎはそんなことしない
- 「つやつや」という言葉の選択は良い。木目調の光沢に対してしか基本使われないので、触れる機会が少ない
絵
- リスでっか。うさぎと同サイズじゃん。てか人並じゃん。となる
- リスとウサギが喋っている場面なのに、リスが木陰から様子を伺っている状態になっている
- 「えがお」と文中にあるが、うさぎは真顔
- 「いっしょうけんめい」と文中にあるが、うさぎは片手で運搬している
- 「つやつやのきのみ」と言うには魅力が足りてない。もっと光ったりしてるべき
3ページ目
本文
- 「胸がドキドキする」はほぼ常套句だが、「ドキドキ」だけでいい
- このタイミングでドキドキするのは早い。セリフを途中で切って、間に入れるべき
- 「ぼくのきのみより」という比較はあまりいらない。「とてもいいものがある」だけで十分
- 「ピカピカだ」は先述の「つやつや」と表現が統一されていない
例えば「つやつやピカピカ」と並行して書くことで、同義である表現ができるし、音の遊びも出てくる
絵
- きのみの絵が無い。
- 比較するなら、2つきのみを並べないといけない。
- ピョンタのきのみがどれだけ魅力的なのかをここで描くべきだった。
- 圧倒的無表情。歴戦の盗賊顔。冷静に獲物を値踏みしている顔。
4ページ目
本文
- 「少しだけ目を離した」の「少しだけ」は不要。そんな超絶スリにしなくても。
- 「目を離した」「隙」はちょっと対象年齢には難しいはず。なので別の表現が良い。「いないとき」「見ていないとき」がよい。
- 「そーっとちかよって」は「そーっと」がもったいない。本来ならもっと広げられるところだし、読み聞かせをするにしてももったいない。
人が作るなら「そろり、そろり」「ばっ」で2ページくらい使って表現しそう。 - 「いちばんおおきなきのみ」だと、今までの「つやつや」「ぴかぴか」が抜け落ちてる。「いちばん大きくて、つやつやしたきのみ」など入れ込むべき。
- 「ひとつかみ」って、いままでの内容にそぐわない表現。
「ひとつくらいもらっちゃおうかな」や「いちばんおおきな」と1個だけの話をしていたのに、突然動作が複数個取るようになっている。
「ひと/つかみ」とも読めるけど、2通りに読めることは、それはそれでよくない。今叙述トリックは不要です。 - 「じぶんのふくろに」は袋じゃなくてかごにすべき。わざわざ袋にする意味もないのに、入れ物を2種類登場させているから認知負荷になる。
- 「いれてしまいました。」は「いれました。」でいい、という意見が分かれそうな表現。
個人的には伝えたいことの内容から逸れてないので「いれてしまいました。」で良い派。 - 「しんぞうが」は、前のページも次のページも「むね」と言ってるのでそれでいい。「しんぞう」は伝わるかちょっと怪しい。
それに、今回のメインどころと関係ないことなので、「しんぞう」である意味もない。 - 「たいこみたいにドクンドクン」たいこはドクンじゃないでしょ。それに比喩使う必要も薄い。
絵
- ピョンタガン見してるじゃん。
- ピョンタの頬が赤いの、本当に無意味。リスがでっかいどんぐりくれて嬉しい場面に見える。
- きのみ「ひとつかみ」できるサイズじゃない。
- リスは全然ドクンドクンしている顔じゃない。鉄の心臓だよ。ちょっと笑顔にも見える。
5ページ目
本文
- 「急いで」は「走って」とかの方がいいと思う。森に電車は無いだろうし、走った方がいろいろ余白が出てくる。
- 「自分の巣に戻った」は酷い。「自分の」は不要で、「巣」じゃなくて「家」だし、「戻った」は「帰った」。
- 「ぬすんだきのみ」は、多分「盗む」が概念的にわからないかも。
- 「にっこり。」は、もうちょっと「にっこり」していることを書いてあげた方がいい。
その方が「一時的に良い気分になっても、後味が悪い」ことがわかりやすくなる。 - 「にっこり。」で突然リズム崩すのは良くない。「にっこりしました。」がいい。
- 「でも、なぜかちっとも」の「なぜか」は要らない。
- 「それどころか」も要らない。
- 「むねのあたりがチクチクといたむようなきがしました。」は、実は後続展開的に不要。
なぜなら他の罰を受けるから、別に罪悪感に苛まれる必要がない。
カチカチ山の狸だって「悪いことをしたら罰を受ける」って話だから罪悪感はない。
ごんぎつねは、罪悪感から行動するから意味がある。この物語では、この罪悪感で行動しないから、不要。
この罪悪感を使うなら、きのみがおいしくないとか、後続展開がそういう方向でなければならない。
絵
- 文章のことを何も反映していない状況。万事が足りないので、逆に指摘が少なくなる。
- 1ページ目と比べると、ちょっとだけ顔に胸の痛みに疑問を覚えるような顔をしてはいる。
6ページ目
本文
- 「つぎのひのあさ」は「つぎのあさ」でいい。
- 朝の話をするなら、夜の話をした方がよかった。月並みだけど罪悪感で寝れない夜とか。
また、「次の日」でなくてもいい。もっと数日とか長い日を悩む表現とかでもいい。
10ページしかないなら、配分的にこうなっても仕方ないかもだが、良い選択ではない。 - 「目をまるくしました。」ここだけ漢字出てきたの、気付かなかった。おかしいでしょう。
- 「目を疑う」よりは「目を丸くする」の方が確かに適切。
- 「あれほどたくさんあった」の「あれほど」は不要。
- 実はここまで、文中で「きのみがたくさんあった」という事実は説明されていない。
- 「ひとつもなくなっていた」はセットで使いたいが「なくなっていた」だけでいい。
- 「!」の後ろは基本スペースが必要。
- 「じつは、」いらない。この解説も地の文の三人称で語らなくていい。
リスが見つけて喋ればいいし、おそらくその方がいい。 - 「すの」は既出。家がよい。
- 「ゆかにちいさなあながあいていて~ころがりおちてしまった」
小さな穴から、よく大きい木の実が落ちますね。
あと、床下から転がり落ちるって、どんな巣の構造してるんですか。地面? 木の中? 木の上?
それに、なんで穴が開いたのかが一切わからない。想像できない余白になっている。 - 「ころがりおちた」だけだと「また集めればいい」と思えてしまう。
「食べられた」とか「川に流された」という、取り返しがつかないことが必須になる。
絵
- ここにきて、やっと表情らしい表情が出ている。今までの鉄仮面はなんだったんだ。
- 表情だけでなく、ポーズも、頭を抱えている。感情が出ている感じにやっとなった。
- だとしても「頭を抱える」はまだ伝わりづらい。もうちょっとわかりやすいパントマイムにしてほしい。
- 突然の草ベッド。部屋が変わってないのに突然出てくるのはよくない。
- じゃあ突然ベッドを出すなら、服装はパジャマであるべき。荷物も抱えたままだし。
- リスの実際の寝床は、こういった細い植物の集まりであってるのか。違うならばよろしくない。
- 木の実の置いてあった床、土です。ベッドの下の床、木です。矛盾しています。
- そんな地面に近いところに実際のリスは巣を作らないでしょう。
- 地面に空いた穴からきのみが転がり落ちるって表現はよくない。モグラを出しでもしないと。
- 文中には「きのみがひとつもなくなっていた」とあるのに、4つくらい描かれている。
- 「ちいさなあな」というには結構デカい。腕を余裕で突っ込める。
7ページ目
本文
- 「きのみがなくなり、おなかがペコペコになったクリは、かなしくてなみだがでてきました。」
この一文は普通に見えるが、論点のすり替えが起きている。
本来、きのみがなくなったことも、おなかが空いたことも、どちらも等しく悲しいはず。
だが、この文では、またこれ以降の悲しみは「おなかが空いたから」になる。 - 「おなかがペコペコになった」は「その辺のきのみを食べればいいじゃん」となって共感が薄れる。
- 「なみだがでてきました。」は後ろの「しくしくないている」と表現がズレている。
一見すると同じだが、「涙が出る」と「泣く」は違う。「泣く」の中に「涙」が含まれる。
「涙が出る」とわざわざ書くならば、「泣いている」ことと差を出さないといけない。
差がないなら「泣いている」でいい。 - 「しくしくないていると(中略)ピョンタでした。」は小説の書き方。
最後まで読まないと状況が何もわからない、おそらく絵本では悪手。
「しくしくないていると、ピョンタがやってきました。『クリくん、どうしたの?』」といった形にすべき。 - 「やさしいこえ」という表現も、ちゃんとした絵本ならどうだろうか。絵で表現するのか、話者に委ねるのか。
絵
- 6ページ目に引き続き、泣いていたり悲しんでいたり、表情が見て取れる。
- ここでピョンタ側も悲しい顔をして涙ぐんでる絵なのは良いと思う。
寄り添っている、共感している感じが出ている。
母親役とかではなく、対等な友人役がする表情として適切。 - そういえば、なんでクリは外に出てるんだろうな。
- クリの流れる涙の位置が一部ズレてる。
- ピョンタかごを持ててない。
8ページ目
本文
- なんで今突然罪の告白をしたんだ。
- 1ページ前のピョンタの質問に答えてない。
- 「悪いことをして、それでバチが当たったと考えて、悪いことしたのを謝る」という話は、論理的な話ではない。
「バチが当たる」という概念は、宗教的のようにも見えて、日本の国民性に根差した概念のはず。
それを突然説明も無しに前提条件として話を進めるのはよくない。
絵本なのだから、その概念を使うならそういう話にするか、解説するか、ワンクッション必要。 - 「バチが当たったから謝る」のロジック自体はわかる。
でも作中ではなんの解説もない。だからピョンタも「なんのこっちゃ」のはず。
だがそう書いたということは、AIは「サリーとアン課題」を理解できていない可能性がある。
やはり、論理的に話を作っているのではなく「次に来る確率の高い単語を並べている」に過ぎない。 - 「ゆうきをだして~はなしました。」は難しい話になる。
「罪の告白は勇気がいることだ」というのはおおよそ事実であるが、
それをそのまま絵本で表現することは、果たしてよいのだろうか。
つまるところ「罪の告白とはハードルが高いものである」と認識させないだろうか。
ここら辺の是非については、教育学部系の人が詳しいだろう。 - 「しょうじきにはなしました」は、作品内で「嘘をついた」ことがないと書く必要はない。
逆説的に「嘘をつく」という選択肢を暗に示している。教育的にどうなんだ? - 「こっそりとっちゃったんだ。」は5ページ目で「盗んだ」とあるので、統一すべき。
- 「ほんとうにごめんなさい」って、頭の「ほんとうに」は不適切。
AI的には確率高いから出してるだけだろうけど、
「必死さを演出しようとしている」「嘘の謝罪をしたことがある」
みたいな醜い計算高さが見える表現。
ちゃんと考えて書いたなら、余程のことがない限り使わないんじゃないか。 - 「あたまをふかくさげました。」の「ふかく」も同様。
- そもそも「あたまをふかくさげました。」は動作だから、書く必要がない。
なぜなら、絵本は絵があるから、書く必要がない。必要があるのは小説。 - 「謝りました。」と書くべきである。
「頭を下げた」で「謝った」とわかるのは大人だし、小説の表現。
絵
- クリのポーズはどちらかと言えば祈ってる感じ。
- ここでクリが泣いてないのは、致命的なはず。
「おなかが減って泣いていた」「謝罪では泣いていない」ということは、
罪の意識が見えないし、とても自己中心的な人物であるように見える。
計算高い「言葉」と「ポーズ」の描写もあるため、拍車をかけている。
それで許されてる話だから、たまったもんじゃない。 - ピョンタの反応が無いから、ピョンタを描かなくていい。描くなら何か欲しかった。
9ページ目
本文
- 「クリのことばをきいて」は直前で「はなしました」だから「はなしをきいて」がよい。
- 「にっこりわらいました。」意味はわかるけどさ、怖い怖い怖い。
「にっこりしました」だけでいいかな。「笑いました」だと声を出してそうだけど、そうじゃないでしょ。 - ピョンタ聖人君子すぎる。(感想)
「正直に謝罪した相手を許しましょう。困った時はお互い様、救いの手を差し伸べましょう」
は、そういった教育をしたいのはわかるけど、個人的には嫌い。
あと、今回のプロンプト指定は「悪いことをするとよくない結果になる話」なので、
クリ君には申し訳ないけどBadEndになってほしかったんです。カチカチ山の狸みたいに。
Storybookって、100%ハッピーエンドになるんです? - 「悪いことをしても正直に謝れば許されるしハッピーエンドになります」は教訓として弱いよ。
- 「そうだったんだね。」は単なる相槌なので不要。丁寧だけど、ちょっと蛇足気味。
- しれっとピョンタがきのみを分けてるけど、クリは「おなかが空いた」とは言ってません。
- 時間経過がわからないんだけど、クリが起きてすぐの話なら、ピョンタは相当朝早くからきのみを集めてたんですね。
そうでないなら、クリはしばらく泣いていたんですか?
それとも、ピョンタは一度家に戻って、きのみを持ってきた?
そこらへんもっと詳しくしてほしい。かなり話が変わる。
絵
- 突如籠から湧き出るきのみ。
- ここだけ2人の立ち位置が逆になっている。当然意味はないでしょう。
- ピョンタは微笑んでる程度。クリの表情はよくわからない。
10ページ目
本文
- 大学時代にこの文章を持っていったら、赤ペンを置いて破り捨てられたでしょうね。
- 「むねはあたたかくなりました。」は良さげな結びに見えるけど、全くそんなことは無い。
そちらかと言えば繋ぎや、連続して積み重ねて使った方がいい。
大人は言葉の意味やなんとなくの感覚、概念はわかるけど、子供にはわからない。
説明もなしに使ってはいけない言葉のうちの一つだと思う。 - 教訓めいた結論が2つ入ってるのは最悪。何を伝えたいのか薄まる。
- 「ひとりで~より、わけてたべるきのみは、~おいしいのでした。」は、マジで不要。主題じゃない。
そのうえ「みんなでご飯を食べるとおいしいよ」と「独占せず分け与えましょう」が混ざってる。 - 「一人で沢山持っているより」「友達と分けて食べる木の実」「が美味しい」、ちょっと変。
対比した時に「持ってる」と「食べる」でかみ合わない。
「一人で沢山食べるより」「友達と分けて食べる木の実」「が美味しい」、ならOK。 - 「クリはにどと~ちかったのでした。」ハッピーエンドだから根拠が薄い。
- 「バチが当たった」ことから話が続いていなくて、意味がわからない。
「朝起きたらきのみが全部なくなって、バチが当たったと思って、誓う」なら意味がわかる。 - 「もうにどとわるいことをしないと、」は「もうわるいことをしないと、」でいい。
- 「こころにちかったのでした。」もよくない。自己完結している。
ピョンタに話して「やくそくだよ」とか指切りげんまんさせた方がいい。
絵
- ピョンタめっちゃいい笑顔だけど、クリが全然笑ってない。もっと笑ってほしい。
総評
本文
- 本筋に対してノイズとなる情報が多い。
- 体裁が小説用であり、絵本のものではない。
- 言葉遣いも、子供向けではないものがちらほら使われている。
- 話の流れが歪。雰囲気は問題ないが、ちゃんと読むと酷い。
絵
- 描かれている2匹の背格好や服装等々、細かい箇所がページごとに違う。
クリのベルトからバックルが出たり消えたり。シャツの首元の紐も作画が安定しない。
ピョンタが着ている服も違う(オーバーオールの下にTシャツを着ていないなど)。 - というか、うさぎじゃなくていい。リス2匹でいい。
- 一般的に写実的な絵は絵本に向いていない。そのくせ正しくない。
※絵の出力は指定できるので、ある程度の回避は可能。 - 子供の想像/創造を沸き立たせるような余白が一切ない。
- 本文と矛盾している状況が多々存在する。
- 実世界で危険なことを注意なく描いている。
※今回だと「うさぎにどんぐりはよくない」
読み上げ機能
- イントネーションが正しくない。
- 「は」と「わ」を間違えるケースがある。
- 息遣いがない。
- 「読み上げ機能」であり「読み聞かせ機能」ではないことに注意。
感想
絵本との比較
- 絵本には「年齢別」「表現/目的」「ジャンル」がおおまかな分類として存在するが、どれにも属さないし、属して作ろうとしていない
- 物理本と比較して、揮発性の高い作品であることは気になる
大人になって「あれをまた読みたい」ができない。まぁ、また読みたいと思わないだろうが。 - 絵本は絵が主体で文が少ないか読み聞かせるもの。この次は童話絵本、童話へと繋がり、絵と文章の比率が変わっていく
のだが、Storybookの出力は文章量がかなり多い。しかし童話絵本にしては少ない。そもそも理にかなってないのだ - 私の専門はあくまで文章に限るので、絵や教育を専門にしていた人に、その観点でも見てもらってみたい
心配事
- 日本語については、良質な文章に触れていってほしい。これは良質と言い難い。
- 人の手で育てられた子供は人になる。オオカミに育てられた子供の話もあるが、人にはなれなかった。
では、AIに育てられた子供は何になるのだろうか。
純粋な好奇心から気にはなるが、実際に検証してみようとは、おぞましくてできない。 - 子供は、猿山のサルを1匹ずつ違う顔だと認識できるという。大人になるとできない。
ピョンタが明らかに違う見た目ではあるが、クリはどうだろう。
大人からしてみると同じリスに見えるが、子供からしたら別リスに見えてないだろうか。
技術面
- データはどこから持ってきているのか。
出力結果からして、大量の絵本のデータを読み込んでいるとは思えない。
「絵本を出力」ではなく「絵と優しい文章のセットを出力」が正しい。 - 出力方法の内部的なロジックはどうなっているのか。
左に絵、右に文章が出ているし、内部的には
「本文を全部出力→各文章と背景プロンプトをセットで絵を出力指示」?
だから、文章にはギリギリ繋がりがあるが、絵は断絶しているように見える。
Storybookとはどう付き合うべきか
絵本の代わりにはならない
自信をもって現状「絵本の代わりにはできない」と断言します。
非常に申し訳ないのですが「絵本の代わりはStorybookで良い」とは、おぞましくて口が裂けても言えません。
「親が話を作る」代わりにはなる
じゃあ絶対に使えないかというと、そんなことはないです。
「今まで読んだことのない話を毎日ねだられて、毎回作って話すのは大変だ」という方にはちょうどよいでしょう。
ただ、その方にはStorybookを使う前に、近所の図書館を覗いてみてほしいです。
私が行ったところには、3000冊を優に超える絵本が置いてありました。
毎日とっかえひっかえしても、すべて読み切れないほどの量です。
まずは、プロが作成した本物の絵本を借りてほしいです。
あと使えるとしたら、そういった物理本を持っていきづらい、旅行先などでしょうか。
ホテルで絵本を置いてくれるところも、そう多くは無いでしょう。
「子供向け」は最難関
そもそも「子供向け」は、あらゆる分野で最難関です。
「子供向け」は「子供騙し」ではないんです。
子供は少しの違和感にもすぐ気付きますし、大人ほど待ってくれもしません。
AIが絵本を描けるのは、少なくとも長編小説が書けるようになった後でしょうね。
今後の期待
ひとりの芸大卒としては「AIが芸術作品を書けてたまるか」。
しかし、ひとりのシステムエンジニアとしては「早くAIでそれくらい書けるようになってくれ」。
そんな思いでStorybookの、ひいてはAIの今後を期待しています。
参考
参考サイト/参考書籍
絵本ナビ - 絵本の読み方や存在意義、位置づけについて
福音館書店 - 絵本の選び方ガイドおよび年齢別の適切なジャンル解説
絵本作家になるには - 絵本の描き方、あり方についての解説
批評準備
上記サイトを元に、絵本の基礎知識と分類を頭に叩き込んで、近所の図書館の絵本コーナーに突撃。
そこから数時間、ひたすら様々な年齢別、ジャンル別に絵本を乱読。
かつ「絵本作家になるには」で描く側の情報も吸収。とても勉強になった。
批評作業
1ページ1~2時間。合計12時間以上。
前準備も含めると歴代一番時間かかった……
特に印象に残った絵本
ナマコのばあちゃん - 本作は、すべてのジャンルを1つにまとめたように見え、実験的試みを感じる。その分大人向けかもしれないが、大きな衝撃を受けた。津波表現注意。
なみ - 文章0で2色刷り。シンプルで研ぎ澄まされた一冊。読んでみてほしい、そしてStorybookを思い返して、どれだけ余計でナマクラかを感じてほしい。
にわとりとたまご - 分類としては「科学」ジャンルになる。ただのにわとりの絵と侮るなかれ。細かく、正しく特徴が描かれているのだ。「ドングリを食べるウサギ」「冬眠するウサギ」など、言語道断である。
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