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経営戦略用語まとめ(情報処理技術者試験)

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目的

 2017年春季に基本情報技術者試験を初受験予定なので、知識をまとめるため作成します。
 なお勉強については初めてではなく、情報セキュリティマネジメントには合格しており、その試験範囲と重複している分野であるため、復習となります。

内容

経営戦略について

目的

 経営戦略 は、企業が目標を達成するための手法や手段を取りまとめ、経営活動の指針とするためにある。
 経営戦略を策定する場合、次の調査・分析や戦略の立案が必要になる。

  1. 自社の現状分析とそれに基づく戦略の立案
  2. 顧客のニーズに合ったマーケティング戦略の立案
  3. 1と2に基づいたビジネス戦略の立案
経営戦略 ┬ 現状分析
│     │ ↓
│     ├ マーケティング戦略
│     │ ↓
│     └ ビジネス戦略
↓
情報システム戦略
↓
情報システム化企画

現状分析手法

 以下、代表的な5手法について説明する。

1.ベンチマーキング

 競合相手や、異種業を含めた先進企業(最強の相手)の優れた事例を調査し、それを自社に取り入れて経営を改革する手法。

2.SWOT分析

 自社の特性を Strength(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威) の4つの視点で分析を行う。

プラスとなる要因 マイナスとなる要因
内部の要因 強み(自社の特徴や優位点)
→強みを活かす
弱み(自社の課題や問題点)
→弱みを克服して強みに変換
外部の要因 機会(自社にとって有利な傾向)
→機会を利用する
脅威(自社にとって不利な傾向)
→脅威を回避または防御

3.コアコンピタンス経営

 他社に比べて自社が優位にあり、さらに利益をもたらすことができるノウハウや技術(コアコンピタンス)に経営資源1を集中して、競合他社との差別化を図る経営戦略。

4.プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)

 自社の事業や製品を、「市場における占有率(市場シェア)」と「成長率」という2つの軸による4つの領域に当てはめて分析を行う手法。
 4つの領域はそれぞれ 花形、金のなる木、問題児、負け犬 と呼ばれる。

5.バリューチェーン分析

 事業活動を主活動と支援活動に分類し、どこから製品やサービスの付加価値が生み出されているかを分析する手法。

マーケティング分析手法

 自社の製品やサービスについて、 売れるしくみを作り上げる手段や手法を組み立てたもの を、 マーケティング戦略 と呼ぶ。
 企業は以下のマーケティング分析を行い、自社のマーケティング戦略を検討してからその戦略を実施していく。

1.ファイブフォース分析(5F分析)

 企業間の競争の状況などの業界構造を分析する手法の1つ。
 「売り手」「買い手」「競争の度合い」「代替品」「新規参入」の5つの視点から、自社の戦略を検討する。

2.PEST分析

 政治(Politics)、経済(Economics)、社会(Society)、技術(Technology)の視点から分析する

3.3C分析

 自社(Company)、競合他社(Competitor)、市場・顧客(Customer)の視点から分析する。

マーケティング戦略手法

1.マーケティングミックス

 マーケティング戦略を実施するために使われるツールで、目標達成のために、適切なマーケティング手法を組み合わせることをいう。
 組み合わせるマーケティング手法は、一般的に、マーケティングの基本要素である 製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)であり、 4P と呼ばれる。

ビジネス戦略手法

 自社の現状分析マーケティング戦略に基づいて、 業務活動における具体的な戦略 を立案することを ビジネス戦略 と呼ぶ。
 以下、ビジネス戦略手法と評価ツールについて説明する。

1.競争地位別戦略(コトラーの競争戦略)

 経営学者のPhilip Kotlerによって提唱された理論。
 市場における占有率(シェア)によって、企業を リーダ、チャレンジャ、ニッチャ、フォロワ に類型化し、それぞれに適した戦略をとるための分析手法。

名称 内容
リーダ 市場において最大シェアを持つ企業が該当。この地位を維持するために、新規需要の獲得や市場全体に適応する製品の投入(全方位戦略)などによって、市場規模を拡大する
チャレンジャ リーダに次ぐ規模のシェアを持ち、リーダの位置を狙う企業が該当する。リーダに対する差別化戦略により、市場におけるシェアの拡大を図る
ニッチャ シェアは低いが、独自性により特定の市場に特化した企業が該当する。他社が参入しにくい「すきま市場」に対して、専門化する特定化戦略を採り、高利益化を図る
フォロワ 上記のいずれにも該当しない企業が該当する。リーダの行動を観察し、迅速に模倣する戦略(模倣戦略)により、製品開発などのコスト削減を図る

ビジネス戦略評価ツール

1.バランススコアカード

 実施しているビジネス戦略が、過去、現在、未来において適切であるかどうかを評価する手法。
 「財務(過去)」「顧客(現在)」「業務プロセス(現在)」「学習・成長(未来)」の各視点を用いて判断する。

情報システム戦略について

目的

 情報システム戦略 は、 企業が経営目標を達成するために導入する情報システムの構想をまとめることで、業務改善を図る ためにある。
 情報システムの導入には費用が掛かるため、投資が無駄にならないように、以下の表に示す観点で戦略を策定する。

観点 内容
経営戦略との整合性 経営目標を達成するために、経営戦略に基づいて戦略を策定する
全体最適化 全社的な視点で業務の分析と整理を行いシステム化を検討する
投資対効果 情報システムの導入や再構築によって得られる効果が、投資に見合うかどうか考慮する

情報システム化企画について

 情報システム化企画の流れは、共通フレーム20132で示されている。
 各プロセスについて説明する。

企画プロセス

 企画プロセスでは、以下の3点を定義する。

  1. 経営・事業の目的や目標達成に必要なシステムに関係する経営上の要件
  2. システム化の方針
  3. システムを実現するための実施計画

要件定義

 要件定義プロセスでは、新しい業務のあり方や業務手順、入出力情報、業務上の責任と権限、業務上のルールや制約などの要求事項を定義する。
 要求事項の定義は、次の表に示す観点で行う。

要件 内容
業務要件 業務の手順、ルール、制約条件など、 業務遂行に必要な要件
機能要件 業務要件を実現するために必要な システムの機能の要件
非機能要件 性能、信頼性、移行方法や開発基準など、 機能以外の要件

調達計画

 情報システム導入に必要な製品やサービスの購入、またはシステム開発の計画を 調達計画 として策定する。
 調達方法には、自社のみで調達する方法と外注する方法がある。
 後者の場合は、**RFI(Request For Information:情報提供依頼書)をベンダ企業に配布した後、提案を依頼するRFP(Request For Proposal:提案依頼書)**を基準にベンダ企業を選定する。
 調達先が決まるまでの流れを以下にまとめる。

<依頼元>              | <ベンダ>
RFI作成 ──────────────→ 回答作成
                      |  │
要求仕様書作成 ←─────────┘
↓                     |
RFP作成               |
↓                     |
調達先選定基準作成    |
↓                     |
調達先候補の選定      |
↓                     |
ベンダ企業へのRFP説明 → 提案書作成
                      |  │
提案書評価 ←─────────────┘
↓                     |
調達先選定            |
↓                     |
契約締結

【例】一般的な情報システム

 企業の情報システムは、以下の3つに分けられる。

  1. 企業の基幹業務の支援を目的とする「ビジネスシステム
  2. 工場における生産の自動化を目的とする「エンジニアリングシステム
  3. 電子商取引を行う「eビジネス

1.ビジネスシステム

ERP(Enterprise Resource Planning)

 企業全体の業務を統合的に管理し、経営資源の有効活用と経営の効率化を図る考え方。
 人事・会計・製造などの基幹業務それぞれに対応したソフトウェアで構成された ERPパッケージ を共通のデータベースをもって連携させ、情報システムを構築する。

CRM(Customer Relationship Management)

 顧客情報を全社的に共有することで、顧客満足度を高めるためのシステム。

SFA(Sales Force Automation)

 営業活動を支援する情報システムを活用して、営業活動の効率化を図る手法。
 営業活動の履歴(コンタクト管理)や顧客情報の共有化により、営業部門全体として効果的な営業活動を行う環境を実現する。

ワークフローシステム

 業務上で必要となる書類(申請書、通知書など)を電子化し、決められた手順に従って集配・承認・決算できるようにしたシステム。

2.エンジニアリングシステム

 CAD、CAM、CIMなどがある。

3.eビジネス

EC(Electronic Commerce:電子商取引)

 ECには、以下の形態がある。

形態 取引の例
C to C ネットオークション
B to C ネットショッピング
G to B 自治体への電子入札
G to C 住民票、パスポートなどの電子申請
G to G 自治体間の住民票データの交換
B to B EDIによる受発注データ交換

EDI(Electronic Data Intercahge:電子データ交換)

 企業間で、ネットワークを介して取引に関するデータを交換するしくみ。
 国際的な規約としてEDIFACTがある。日本国内の標準規格にはCII標準や、銀行間のデータ交換の規約である全銀協標準プロトコルがある。

ソーシャルメディア

 Web上のサービスの一種で、ユーザ間のコミュニケーションを主要価値として提供するサービスの総称。
 消費者が配信するコンテンツによりインターネット上のメディアが形成される CGM(Cunsumer Generated Media:消費者生成メディア) があり、代表的なものとしてSNSや動画投稿サイトがある。

【備考】ソリューションサービス

 顧客の抱える問題や課題に対して、解決策(ソリューション)の提案や、ハードウェア・ソフトウェア・ネットワークなどを組み合わせた情報システムの企画から導入までを行うサービスのこと。
 ソリューションサービスを提供する企業を「システムインテグレータ」や「ソリューションベンダ」と呼ぶ。
 代表的なソリューションサービスとして、 ホスティング・ハウジングクラウド を説明する。

ホスティング・ハウジング

 情報システム運用における、サーバの利用形態を指す。
 ホスティングはサーバを借りるサービス、ハウジングは設置場所を借りるサービス。
 それぞれのメリット・デメリットを以下に示す。

形態 メリット デメリット
ホスティング サーバの保守や運用を委託できるため、運用管理が軽減できる サーバの性能や拡張性に制約が生じる
ハウジング 機器の拡張などの自由度が高い 機器の保守や運用は自身で行わないといけない(ハウジング業者によっては保守・運用も請け負う場合あり)

クラウド

 業者が保有するソフトウェアやサーバなどのシステム資源を、インターネットを介して利用するしくみ。

所見

  1. 私の前職は無線関係の仕事で、無線従事者資格を取りました。情報処理技術者資格試験勉強を始めてまず驚いたのは、この記事のような経営戦略やマネジメント、財務会計などの分野が試験範囲に含まれていることでした。SEはコンサルティングなどの業務上、こうした分野を理解しておかなければならないためだと理解しています。他技術分野に従事していた者からすると、感服します。
  2. 本当に、組織の戦略立案の過程でこのような分析手法がなされているのかや、ベンダ選定においてRFI・RFPの手順などが実施されているのか気になりました。情報技術者の方にお聞きしたいです。
  3. このような章立てされた記事を書く際には、「様々な用語が、どのように構成・体系化されているのか」を考えなければならないため、自分自身のまとめに役立つと感じました。このように暗記分野においては、ただ本を読むよりもずっと良いと思います。

参考

  1. 株式会社インプレス(2015)「徹底攻略 基本情報技術者教科書」
  1. 企業の経営に欠かすことのできない要素のこと。「ヒト(人材)、モノ(設備、資材製品)、カネ(資金)」と「情報」を指す。

  2. 共通フレームとは、ソフトウェア、システム、サービスのライフサイクルを通じて必要な作業項目、役割などを定めたガイドライン。システム開発において発注側と受注側の間に誤解が生じないように、汎用的な用語や各工程の内容(分類)について統一するために制定された。共通フレーム2013は、ISO/IEC 12207(JIS X 0160)に日本独自のアレンジを加えたもの。

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