PCBgogo様に基板を無償製造していただきました!
はじめまして、岩手連合学生フォーミュラチームです。
私たちは、自動車技術会が主催するものづくりコンテスト、学生フォーミュラ日本大会のEVクラスに参戦している一関高専と岩手大学の連合チームです。
活動人数が15人(実働10人弱くらい)と少ない人数で活動しています。
この度、中国のPCB製造メーカーのPCBgogo様にスポンサー提携をしていただき、大会車両に搭載する回路基板を無償で作っていただきました!
本記事では基板のレビューをさせていただきました。お時間のある方は是非読んでみてください。
製造依頼した回路
早速ですが、今回製造を依頼した回路は以下の通りです。
- ECU周辺回路
- BSPD(Brake Sensor Plausibility Device)
- シャットダウンラッチ回路
- シャットダウン回路
- プリチャージ回路
- TSAL(Tractive System Active Light)回路
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セル温度モニター回路
それぞれ10枚、材質 : FR-4 TG150、t1.6
それぞれの回路の細かい説明は省かせていただき、今回はBSPDについて製作過程と完成基板のレビューをしたいと思います。それぞれの回路については以下のサイトや公式レギュレーションをご確認ください。
https://www.jsae.or.jp/formula/EVseminar/
回路設計
回路設計にはAutodesk Eagleを使用しました。
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BSPDの主な機能(2024年ルール)
機能1. モーター暴走時にブレーキを強く踏むことでバッテリー両極のリレーを開く
機能2. ブレーキセンサーの失陥を検知し、バッテリー両極のリレーを開く
機能3. モーターの暴走を検出するための電流センサーの失陥を検知し、バッテリー両極のリレーを開く
機能4. 上記3つの信号のラッチング
※ブレーキセンサー、電流センサーともに電圧出力タイプ(0.5~4.5V)を使用。
これらの機能を実現するため、下図のように回路を設計しました。
シート1枚にまとめているため多少見づらいですが、
センサー回路 → センサー失陥等の判定回路 → 各エラー信号の論理和回路 → 遅延回路 → ラッチ回路
という回路の流れになっています。図の上の部分はコネクタの接続図や電源周りの回路です。
センサー回路はプルダウン抵抗、LPF、クランプダイオード、オペアンプ増幅器で構成しています。
また、判定回路はウィンドウコンパレータで構成しています。
機能1を実現させるためにはAND回路が必要になりますが、フォトカプラを使うことでANDの機能を実現させています。(フォトカプラじゃなきゃいけない理由はない)
そして、OR回路は素直にロジックIC(プッシュプル出力)を使っています。
ORの出力をRC回路 + コンパレータの遅延回路に入れ、リレーを使ったラッチ回路につなげています。
また、可能な限り可変抵抗とLEDを入れ、メンテナンス性を重視した設計にしました。
ボード図は下図のように設計しました。
最終的に両面GNDベタを施しています。
ERC、DRCは忘れずにやっておきましょう。
ガーバーデータを出力。
「Process Job」をクリックします。
Gerber Viewerでデータをチェック
表示されていないシルクがないか、部品の実装面を逆にしていないかなどをチェックします。
問題がなければ発注します。
基板到着&はんだづけ
設計した基板が届きました。(一番左がBSPD)
外観のチェックをして、はんだづけをしていきます。
はんだづけが終わりました。
はんだが汚いところは多めに見てくださると助かります。。。
早速動作確認をしていきましょう!
動作確認
こんな感じで動作確認の準備をしました。
基板の少し上側にあるのがブレーキセンサーで写真左側のブレッドボードにのっかっているのが電流センサーです。
直流安定化電源の電圧を12Vに設定し、電源をオン。
PWR(電源確認用LED)が点灯しました。出だしはよさそうですね。
ブレーキセンサーのコネクタを抜いてみます。
こちらがブレーキセンサー。Digikeyで買えますが、結構高いです。
コネクタを抜いて、接続を断ちます。
BRK_ERR(ブレーキセンサー失陥検出LED)が点灯し、SD(シャットダウン確認用LED)も光りました!
次にラッチの確認を行うため、ブレーキセンサーの接続を戻します。
BRK_ERRは消灯しましたが、SDは光ったままです。
次に電流センサーの方も試してみます。
トラ技でよく掲載されているU_RD様の電流センサーを使用します。上にあるコネクタを抜きます。
CRT_ERR(電流センサー失陥検出用LED)が点灯し、SDも光りました!
一応、ラッチの確認をするため、接続をもどします。
CRT_ERRは消えましたが、SDは消えません。
本記事では省略しますが、機能1についてはセンサーを可変抵抗におき変えて、動作確認を行いました。
以上で、回路の動作は問題なさそうです!
感想
今回はPCBgogo様に大会車両に搭載する回路基板を無償で製造していただきました。
製造を依頼してから、1週間後には手元に届き、基板の初期不良も特になく、はんだづけに取り掛かることができました。
現状、短納期かつ高品質で非常に満足しています!
リンク
PCBgogo様 : https://www.pcbgogo.jp/promo/sift
PCBgogo国内向けXアカウント : https://x.com/PCBGOGO_JP
学生フォーミュラ公式サイト : https://www.jsae.or.jp/formula/
岩手連合学生フォーミュラチーム 公式X : https://x.com/sift4210