みなさんこんにちは。株式会社ソーシャルカンパニーの市川裕康(@socialcompany)と申します。
「Civic Tech (シビックテック)に関するアドベントカレンダー」も折り返し地点ですね。シビックテックとは?と聞かれた際、みなさんはどんなイメージを持ちますか?自分ではよく、「テクノロジーを活用することで行政サービスや市民参画にイノベーションを起こし、自分たちの住む街・コミュニティを改善する取り組み・セクター・ムーブメント」というような広い意味で表現することが多いです。ただ・・・・今ひとつ分かりにくいですよね。
そんな時、アメリカのCode for Americaが監修して2013年10月にリリースされた書籍、『Beyond Transparency(仮題:透明性を超えて:オープンデータと市民によるイノベーションの未来)』は、Civic Tech分野の実践者・専門家によって綴られた22章からなる分かりやすいエッセイ集であり、Civic Techの"教科書"といえる内容になっています。
先日のアドベントカレンダーで既に柴田重臣さんが紹介してくださっていますのでその内容に関しては是非そちらをご参照ください↓
・Beyond Transparency の紹介 - Qiita [キータ] 12/2/2013
今回はこの書籍をいち早く日本語に翻訳して多くの人に読んでもらいたい:)!という願いを持っている有志で立ち上がった日本語翻訳プロジェクトについて途中経過とその目指すところをお伝えしたいと思います。
こちらの写真↑は12月3日に渋谷「Beez」にて開催されたキックオフミーティングの様子です。金融機関、インターネット関連企業、開発関連の団体などにお勤めの方、大学教員の方、フリーランスの方などなど、多様な分野から参加してくださっていることにまずは驚きでした。そしてみなさんとてもモチベーション高く、楽しそうに2時間の打ち合せ(+交流会)を効率的に終えられ、懇親会を通じてたくさんの学びと交流の機会が生まれていることが感じられるひとときでした。
以下がミーティングから生まれた現在の進捗状況の様子です。いくつかリンクを共有させて頂きますね。
【2】『Beyond Transparency』日本語化翻訳プロジェクトFacebook Page(12/16/2013時点で32名の方が参加)
【3】誰もが空いた時間で翻訳プロジェクトに参加できるクラウドソーシングサービス「Transfex」プロジェクトページ
https://www.transifex.com/projects/p/beyond-transparency-jpn/
12/16現在 18%が終了しています:)
1センテンス、1パラグラフからでも空いた時間に翻訳作業が出来ます。ご興味のある方は是非ご覧になってみてください。私自身、初めてこのしくみを見て衝撃を受けました:)
【4】現在翻訳が進んでいる中でまとまって翻訳が終了しているサマリー、チャプターをGoogle Document上で読むことが可能なページ(Google Doc)
【5】各チャプターを読みながらこれは参考になる!と思える関連記事・動画などを共有するドキュメント(Google Doc)
今回日本語化翻訳プロジェクトを始めて思ったことがあります。それは1人では出来ないことも、同じ想いや目的を持った方同志で心地よくコラボレーションが行われた際、「1+1>2」が可能になるかもしれない!ということでした。自分自身はCode for America Summitというカンファレンスに参加した際に大きな衝撃を受け、絶対に翻訳したいという想いを持っていたのですが、プロジェクト立ち上げ以降、多忙であまり動けなくなってしまっていました。そこで柴田さんを筆頭に瀬戸さん、川北さん、弓場さんらが怒濤の勢いで翻訳を進めてくださって本当に感動しているところです。またメンバーの中にはデータ・ビジュアライゼーションの専門家の方、ウェブサービスが得意な方もいらして、必ずしも「プログラミングスキル」がなくとも、エンジニアでなくとも、CivicTechムーブメントに楽しく関わることが出来る、という一つの姿を示しているのではないか、と強く感じる次第です。
今回のプロジェクトではまずは年内から来年の年初にかけては各自書籍を読んで頂きつつ(こちらのページから無料ダウンロード可能です)、1月中旬〜下旬にかけて第2回のミーティングを行い、その後2014年春を目標に翻訳を完成させることが出来たら、と思っています。
実は密かな想い・願いがあります。今回のこうしたクラウド上で行われる翻訳プロジェクトが効果的に行われるようになった際に、今後この業界で「必須」と思われるようなレポート、記事、書籍が海外でリリースされた際に、タイムラグなく、日本でも先端的な知見をキャッチアップすることが出来るような日が訪れるのではないか、ということです。
そんなことを考えるきっっかけになったのは以下の記事を3年程前に書いたことです。中国の有志の翻訳者コミュニティ「Yeeyan」は猛烈なスピードで海外の先端的な知を翻訳し、果敢に新しいことに取り組んでいたのです。「Yeeyan」はその後も成長を続け、今やオンライン教育プラットフォームサービスのコーセラ(Coursera)の公式翻訳パートナーに選ばれる程に成長を遂げています。Beyond Transparency もいち早く中国語化翻訳プロジェクトが立ち上がっていると10月の時点でCode for Americaのスタッフから聞き、多いに刺激を受けたことも、日本語化プロジェクトを立ち上げたきっかけの一つです。
海外記事をボランティアが翻訳する中国語ニュースサイト「訳言(YeeYan)」 | ソーシャルビジネス最前線 | 現代ビジネス [講談社](2010年7月23日)
以下の動画は2010年のもので古いのですが、先日のCode for America Summit にも登壇されていたクレイ・シャーキー氏がクラウドソーシングの可能性について情熱的に語っているものです。コラボレーションが生み出す大きな可能性に興味をお持ちの方は是非ご覧になってみてくださいね。CivicTechの文脈においても大切な考え方の一つだと思うからです。
クレイ・シャーキー 「思考の余剰が世界を変える」 | Video on TED.com
以上まだまだ途中経過に過ぎませんが、来年の桜が咲く頃までには『Beyond Transparency』日本語版、たくさんの仲間と、今後に活かせる"クラウドソーシングのしくみ"と併せて、みなさんと共有したいと思っています。ご興味ある方は是非プロジェクトにご参画頂ければ嬉しいです:)
『Beyond Transparency』日本語化翻訳プロジェクトFacebook Page
https://www.facebook.com/groups/beyondtransparency