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botで稼いだあとの投資先と幸福度について

Last updated at Posted at 2021-12-25

こんにちは!スナフキン(@snufkin0866)です!

この記事は仮想通貨botter Advent Calendar 2021、1日目の記事です。

お恥ずかしながらAdvent Calendarの仕組みについて誤解しており、第2シリーズは12月が終わって1月が始まってから始まるものと思っていました。年末に実家に帰ってゆっくり記事を書こうと思っていたのですが、12/21時点でその勘違いに気づき、急いで記事を書いています。
本記事は仮想通貨botの具体的な話というよりは、投資活動全般に対するポエム的な記事となっています。

この記事で提案したいこと

さて本題に入りましょう。この記事では、仮想通貨のbot取引や裁量での短期・中長期取引、あるいは株式投資などにより、一定以上の金額(数千万円〜数億円以上)を稼いだ結果として、以下のような事柄を考えるようになった人に向けて書いています。

  • お金にある程度余裕ができたけれど、これから何をして生きていこうか悩んでいる
  • 稼いだお金を何に投資しようか悩んでいる
  • 専業botterになって時間とお金に余裕ができた今、生きる意味について改めて考えている

本記事ではこのような方たちに向けて、以下のような投資の意思決定方法を提案します

  • 一般的に投資家が投資行動に求める要素を経済合理性と幸福度に分解する
  • その上で、稼いだお金を今後何に投資し、どのように自身の満足度を最大化するかを考える
  • そして、各種の投資の選択肢から、自分に適したものを選ぶ

なお、botトレードやその他短期トレードで稼いだ人が、具体的に何に投資をすること(株・債権・不動産etc...)が最も幸福度を上昇させるかについて、本記事では言及しません。なぜなら、それは個々人の能力や嗜好性・人生のフェーズなど様々な要素によって異なると考えているためです。

本記事が、今後の読者の皆様の投資活動において、少しでも参考になると幸いです。

目的意識について

投資活動に限らず、何事を始めるにあたっても、始める前に自分がそれによって何を達成したいかを明確にし、その目的から逆算して行動を決めることが、成果を上げるための最短経路であるというのは、多くの人が同意するところではないかと思います。

一方で、様々な対象について、何が目的かなどと考えている間に早く行動を起こしてしまえば、夢中になっているうちに自然とその行動対象への解像度が上がって、自分が行動によって追求している目的や意義が見えてくるという側面もあります。

まとめると、目的意識を持って最短経路を探すことと、深く考えずにとりあえずやってみるという行動力、両者のバランスが大事なのだろうと感じているところです。

その上で今回は、そもそも投資において、自分はなぜ投資をやっているのかという目的に立ち戻り、その目的から逆算して各種の投資対象を評価するための方法を提案します。

投資の目的

一口に投資と言っても、その目的は投資家によって様々かと思います。

  • 友人の起業家が新しく事業を始めると言うので、支援したい
  • 老後の資金を今から貯めておきたい
  • ビットコインで一発当てて豪遊したい
  • アルゴリズムトレードを通じて株式市場の数理的性質を解き明かしたい
  • 自分が生きた証として約定履歴を取引所のデータベースに残したい

以下では、これらの各目的を抽象的に捉え、自分自身が投資活動に求める要素を明確化し、今後の投資活動に関する意思決定を行う方法を考えます。

リターンの大きさを追求する主体

多くの人が投資の目的と考える最も分かりやすいものとして、単純に投資期間開始時の資産に対して、終了後にどれだけお金が増えているかを表す「リターン」があります。

経済学において、ある主体から見た満足度を数値で表現するものを効用関数(Utilityの頭文字を取って、Uという文字を使うことが多いです)と呼びますが、リターンを追求する主体にとっての効用関数は、以下のようなものになります。

$$U = Return(A)$$
$$A: 投資主体の行動$$

式にして意味が明確になる通り、この投資主体は投資期間開始時と終了時を比較したときのリターンによってのみ満足度が変わります。つまり、投資期間中にどれだけ資産が増減しようと気にならないということです。
例を挙げると、同期間中に

  • 5,000万円を株に投資して、値下がりで4,000万円の含み損を一時的に抱えたが、最終的には1億円になった
  • 5,000万円を非常に安全な債権に投資して、最終的に元本 + 利息で得られた金額が1億円になった

という2つの出来事が起きたとき、両者を同じように評価するのが、リターンのみを追求する主体です。
ここまで読んでお分かりの通り、現実的にはこのような投資主体は少ないのではないでしょうか。

リターンの大きさとリスクの小ささを追求する主体

では我々生身の人間は、リターン以外に何を気にして投資活動をしているのでしょうか?
ここで先程述べた「リターンのみを追求する主体」が気にしないことを振り返ってみましょう。

つまり、投資期間中にどれだけ資産が増減しようと気にならないということです。

これに反して、筆者を含む多くの投資家は、同じリターンが得られる投資であれば、期間中の資産の変動度合い = リスクが低い投資を好みます。このような投資家の性質を「リスク回避的」であると言い、その度合を「リスク回避度」と言います。
投資行動Aのリスクの高さを$Risk(A)$という変数で表現するとき、リスク回避的な投資家の効用関数は以下のようなものとなります。

$$U = \frac{Return(A)}{Risk(A)} $$

式の表すところとしては、Returnが大きくなればなるほど投資家の満足度は向上し、Riskが上がれば上がるほど、投資家の満足度は低下するということです。(システムトレード的な用語を使うと、このような投資家はシャープレシオを最大化しようとする投資家と言えます)

例えば先程の例で言うと同じ期間で、

  • 5,000万円を株に投資して、値下がりで4,000万円の含み損を一時的に抱えたが、最終的には1億円になった
  • 5,000万円を非常に安全な債権に投資して、最終的に元本 + 利息で得られた金額が1億円になった

のうち後者をより好むのが、リスク回避的な投資主体になります。ここで挙げたような投資主体は、リターンが高くリスクが低い投資さえしていれば、満足度が高い状態でいられます。つまり、その投資活動によって以下のようなことが発生しても気にしないということです。

  • リスク対リターンが良い投資先を求めるあまり、家族と過ごす時間よりもビットコインの1分足を見ている時間の方が長くなってしまった
  • クリスマスはビットコイントレードで予定が埋まっていて、女性と過ごす暇などない

このような方は一般的には少ないように思いますが、ビットコイントレーダーにはしばしばこういった方が見受けられるように感じており、最初の「リターンだけを追求し、リスクを気にしない主体」と比較すると存在自体はしているように思います。

経済合理性と幸福度を追求する主体

さて、リターンとリスクの両方を気にする投資家を考えましたが、ビットコイントレーダー以外の一般的な投資家においては、リターンとリスクという「経済合理性」と合わせて、その投資活動を行うことで、自分自身が情緒的にも満足できるかを評価の要素として持ち合わせているように思います。この情緒的満足度のことを「幸福度(Happiness)」と呼ぶこととします。
このような幸福度を追求する投資家の効用関数は、以下の式で表されます。
$$U = \frac{Return(A)}{Risk(A)} + Happiness(A)$$

幸福度を追求する投資家は例えば、

  • 5,000万円を株に投資して、値下がりで4,000万円の含み損を一時的に抱えたが、最終的には1億円になった
  • 5,000万円を非常に安全な債権に投資して、最終的に元本 + 利息で得られた金額が1億円になった
  • 5,000万円を知り合いの起業家の会社に投資した結果、安定的な経営によって株価が上昇し、1億円となった

のような投資活動の中で、よりリスク対リターンの経済合理性の面で優れた選択肢があったとしても、3番目のような情緒的満足を得られる投資活動を他の選択肢よりも高く評価する可能性があります。

実際、我々の多くは多かれ少なかれ経済合理性($=\frac{Return(A)}{Risk(A)}$)以外の要素を投資判断に介在させており、このような投資主体が現実には最も多いと考えています。

また、リスクとリターンという経済合理性に重きを置いていて、それ以外の要素をあまり気にしないビットコイントレーダーは、Happiness項の荷重が一般的な人より小さめな人とも言えます。

反対に、経済合理性よりも幸福度を重視している人というのがむしろ世の中の大半ではないかというのが、日々筆者が暮らしている中での感覚と合っています。そのような行動の例をいくつか挙げておきます。

  • 期待値がマイナスで、やればやるほど経済合理性を損なう宝くじや競馬にハマってしまう
  • 経験的に考えても勝てる見込みが特に無いにもかかわらず、botトレーダーが刺激を求めて裁量トレードに手を出してしまう

上記のような行動は、経済合理性はマイナスであるにも関わらず、幸福度が大きくプラスとなるために、投資主体の効用関数を最大化します。

「皆、相場から自分の欲しいものを手に入れる」

これは、『マーケットの魔術師』という、トレーダーの間で名著として読みつがれている書籍中に出てくるエド・スィコータの言葉ですが、ギャンブル性のあるハイレバ取引や、期待値がマイナスだが跳ねる可能性があるような高リスク銘柄に投資する人はまさにこれに当てはまっているのではないでしょうか。そのような投資家にとっては、堅実にリターンを狙えるような投資手法を行うよりも、夢を追いかけられようなレバのかけ方や銘柄によって、経済合理性の項がたとえマイナスだとしても幸福度が大きくプラスとなる取引をするほうが、効用関数が大きくなるということです。

また言い換えると、経済合理性と幸福度が上がる行動が一致している人(経済合理性を追求することが幸せな人)というのが、お金持ちになる才能がある人ということかもしれません。

資産運用の意思決定

一般的な投資家の効用関数が分かったところでいよいよ、投資対象を評価する方法に入っていきます。
古今東西、世の中には様々な投資対象があります。

  • 株式投資
    • 現物
    • デリバティブ
    • 未公開株式
  • 商品(コモディティ)
    • 現物(ゴールドとか)
    • デリバティブ
  • 暗号資産
  • ヘッジファンド投資
  • 不動産投資
  • 現物投資
    • 時計や車など

分類の粒度が揃っていないことについてはご愛嬌いただき、これらの投資対象に対して評価を行う方法として、今回は「資産運用の意思決定マトリクス」というものを提案したいと思います。

資産運用の意思決定マトリクスとは、以下の図のようなものです。

matrix_asset_management.png

投資対象の評価においては、自分自身の状況と今後のなりたい姿ややりたいこと、投資対象に対する主観的な考えを元に、この縦軸・横軸から成る象限上に、各種投資対象をマッピングしていきます。実現できる可能性とは、自分の能力と周囲の環境やタイミングを踏まえ、その投資が成功する可能性がどれぐらいあるかということです。
このマトリクスでは、「効用関数 * 実現確率」という効用関数の期待値が大きくなるものほど、右上にプロットされるようになっています。

以下はマッピングの一例です。
matrix_asset_management (2).png

ここまでやってみたところで、先程の回りくどい効用関数の話はなんだったんだと思うかもしれません。
上記のように、投資家が投資で求める満足度を、経済合理性と幸福度から成る効用関数として定義したことには、「その投資対象がどれだけ各項に影響しているかを考える上で、自分自身の思考の指針になる」という意味があります。
つまり、以下のように各項への評価を明示的に行うことで、ただ頭の中でぐるぐるしているだけでは言語化できない自分自身の投資対象への考えを、はっきりさせられるということです。

投資対象 リターン リスク 幸福度 効用関数
不動産投資 2 1 3 5
株式のアクティブ運用 3 3 -2 -1
暗号資産のアクティブ運用 5 5 -1 0
高級品現物投資 2 2 -5 -3

上記のマッピング例は、空想上の人物に対して適当な設定を置いただけですが、

  • 自分自身が投資に求めている要素とその度合
  • 自身の各アセットクラスや運用手法に対する見立て
  • 自身の現状

を見誤ることなく正しく評価できれば、投資活動によって達成したい目標に近づける仕組みになっていると思います。

また、このように自分の満足度を構成する要素を分解し、自分がこれから取りうる選択肢がそれらにどのように寄与するのかを考える方法は

  • 会社で働いて社会性を取り戻す
  • 会社をやめて独立する
  • 東京で暮らすのをやめて実家に戻る
  • 結婚して子供を持つ

などの投資以外の様々な人生の行動の意思決定にも応用できると考えています。

まとめると、

  1. 自分(能力・嗜好性)や周り(環境・検討対象の性質・自分の能力の相対的位置)を知る
  2. 自分がこれから取れる行動を洗い出す
  3. 洗い出した行動に対して、1の自分および周りの状況を踏まえて評価を行う

という流れを取ることで、目的の達成のために正しい選択をすることが可能となります。
今回は1-3のうち、3の自分の判断を明文化する方法の1つを、記事とさせていただきました。

そしてbot取引は、たとえリスク対リターンの経済合理性が良い投資だったとしても、botに没頭するあまり家族や恋人・友人との関係性がおろそかになってしまうことになり、幸福度とのトータルで見ると満足度が下がりかねません。
結論として、

botはやめた方が良い

という言葉で締めさせていただきます。

全体のまとめ

  • 人間の投資家は、単にリスク・リターンという経済合理性だけではなく、幸福度という情緒的な要素を元に投資判断を行っている
  • 資産の運用先の投資対象について考えるにあたり、自分自身の満足度が何によってどの程度左右されるかを理解し、投資対象がそれらの要素をどれだけ満たしてくれるかを評価することで、何に投資すべきかが分かる
  • さらに、その投資がうまくいく確率と満足度を元に、平面上に投資対象のマッピングを行うことで、投資の意思決定ができる
  • botはやめた方がいい

最後に:僕と一緒にコインチェックで働きませんか?

最近Twitterでの活動がおろそかになっている僕ですが、実は現在コインチェックで取引所の運営に関わっています。
最近は、コインチェックの取引所(板取引)の流動性を追求し、日本の仮想通貨取引を盛り上げていくために日々活動中です。

外部からユーザーとして関わっていたときの景色と、今内部から見ている景色はまた違ったものがあり、面白い日々を過ごしています。皆様ご存知の通り、日本の仮想通貨交換業者は世界の大手取引所と比較してまだまだ課題も多いのですが、日々改善を重ねていくのでよろしくお願いします。

そういうわけで、僕が担当している取引所担当のグループでは、今後より一層日本の仮想通貨市場を盛り上げていくための仲間を鋭意募集中です。僕と働いてみたいと思ってくださる方はご気軽に連絡ください。pythonやSQLなどが書けて、取引所の仕組みに最も詳しい部類のトレーダーで、市場の流動性への関心も高いと思われるbotterの方々は、大活躍できるはずです。

その他にも、コインチェックではエンジニアのポジションを多数募集しており、この記事を読んでいるスーパーbotトレーダーの方とぜひ一緒に働けると嬉しく思います。
具体的な採用要件や条件などは、こちらをご確認ください。

ご興味を持っていただけましたら、まずはランチなどでカジュアルにお会いしたり、リモートで面談などできればと思います。
僕(@snufkin0866)のTwitterDMに連絡でも、会社の人事窓口に直接連絡でもどちらでも大丈夫ですので、ご連絡いただけますと幸いです。

それでは、本記事をお読みいただきありがとうございました!皆様良いお年を!

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