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opentelemetry-ruby で Rails アプリケーションをトレーシングしてみる

Last updated at Posted at 2020-12-04

はじめに

まだ beta 版のようですが、気になってた opentelemetry-ruby を使って Rails アプリケーションへのリクエストをトレースし、Jaeger で可視化するところまでやってみようと思います。

Opentelemetry とは

OpenCensusOpenTracing の2つのプロジェクトが統合されたもので、Tracing だけでなく Metrics、Logs といった Observavility 全体を実現するための標準化された API およびライブラリが提供されています。今回は、Opentelemetry のなかの Tracing を使ってみようと思います。

公式ページの絵がかわいくてほっこりしますよね。

なお、Opentelemetry のアーキテクチャについては、New Relic 社の『OpenTelemetry: 計装器を長く使い続けるために』が図示されていてわかりやすかったです。

環境

Docker for Mac
Ruby on Rails 6.0.3.4
MySQL 5.7
Jaeger 1.20

Jaeger を起動する

JaegerGetting Started の All in One を使用します。

それぞれのポート役割については こちら に記載されています。

docker run --rm --name jaeger \
  -p 5775:5775/udp \
  -p 6831:6831/udp \
  -p 6832:6832/udp \
  -p 5778:5778 \
  -p 16686:16686 \
  -p 14268:14268 \
  -p 14250:14250 \
  -p 9411:9411 \
  jaegertracing/all-in-one:1.20

これで Jaeger の GUI に下記の URL からアクセスできるようになりました。

Rails アプリ

Rails アプリケーションは、 Rails チュートリアルToy アプリケーションで作ったものを使用します。

今回は簡単にユーザの一覧と詳細ページにアクセスし、トレースできるか確認してみようと思います。

スクリーンショット 2020-11-26 1 40 00

opentelemetry-ruby の使い方

opentelemetry-ruby に関連する Gem は全てこのリポジトリにあるようです。

そして、Jaeger にトレースデータを Export するには、opentelemetry-ruby リポジトリ内にある opentelemetry-exporter-jaeger を Gem インストールすれば良さそうです。

また opentelemetry-ruby リポジトリ内に instrumentation ディレクトリがあり、Rails や mysql2、faraday など様々な Instrumentation 機能が用意されてるようです。

今回は、Rails と mysql2 の Instrumentation 機能を使ってみようと思います。

これを使うことで、Controller・Action の処理時間や実行されたクエリなどがトレースできそうです。

Rails の Instrumentation は opentelemetry-instrumentation-rails、mysql2 の Instrumentation は opentelemetry-instrumentation-mysql2 を Gem インストールすれば良さそうですが、opentelemetry-instrumentation-rails はまだ rubygems.org に公開されていないようでした。

なので、opentelemetry-instrumentation-rails は opentelemetry-ruby を git clone して、Gemfile で path 指定をして使ってみようと思います。

(執筆時点(11/27)では公開されていませんでしたが、現在は公開されているようです。)

実装

opentelemetry-ruby を git clone してきます。

$ git clone git@github.com:open-telemetry/opentelemetry-ruby.git

次に、Rails アプリ の Gemfile に下記を追加します。

Gemfile
gem 'opentelemetry-sdk'
gem 'opentelemetry-exporter-jaeger'
gem 'opentelemetry-instrumentation-mysql2'
gem 'opentelemetry-instrumentation-rails', path: '/path/to/opentelemetry-ruby/instrumentation'

opentelemetry-instrumentation-rails だけ clone してきた path を指定します。

また Docker を使う場合は、clone してきた opentelemetry-ruby を Volume マウントした先の path を指定します。

ここで、path を/path/to/opentelemetry-ruby/instrumentation/railsではなく、/path/to/opentelemetry-ruby/instrumentationとすることで、依存関係にある opentelemetry-instrumentation-rack も clone してきた opentelemetry-ruby のinstrumentation/rackから取得してきてくれます。

次に、config/appliction.rb に下記を追加します。

config/appliction.rb
require 'opentelemetry/sdk'
require 'opentelemetry/exporter/jaeger'

OpenTelemetry::SDK.configure do |c|
  c.use 'OpenTelemetry::Instrumentation::Rails'
  c.use 'OpenTelemetry::Instrumentation::Mysql2'
  c.add_span_processor(
    OpenTelemetry::SDK::Trace::Export::BatchSpanProcessor.new(
      exporter: OpenTelemetry::Exporter::Jaeger::AgentExporter.new(host: 'host.docker.internal', port: 6831)
    )
  )
  c.service_name = 'toy-app'
  c.service_version = '0.1.0'
end

この use の部分ですが、

c.use 'OpenTelemetry::Instrumentation::Rails'
c.use 'OpenTelemetry::Instrumentation::Mysql2'

use_all とも書けるようです。

c.use_all

use_all すると利用可能な Instrumentation を全て use してくれるようです。

そして、Jaeger にトレースデータを Export する方法は、UDP を介した ThriftCompact 形式 で Jaeger Agent に Export する方法と、HTTP を介した ThriftBinary 形式で Jaeger Collector に Export する方法の2種類用意されているようです。

今回は、Jaeger のアーキテクチャ的に自然な UDP で Jaeger Agent に Export する方法でやってみます。

host は、Docker for Mac で検証しているためhost.docker.internalを指定します。

port は、Jaeger の UDP の ThriftCompact 形式の公開ポートである 6831 を指定します。

OpenTelemetry::Exporter::Jaeger::AgentExporter.new(host: 'host.docker.internal', port: 6831)

service_name は、アプリケーションの名前を指定します。

service_version は、アプリケーションのバージョンを指定します。今回は適当に 0.1.0 を指定しました。

実装はこれで完了です。

動作確認

それでは bundle install 後、Rails アプリケーションを再起動して、Toy アプリケーション の ユーザ一覧とユーザの詳細ページにアクセスしてみます。

スクリーンショット 2020-11-26 1 40 00

アクセスすると、Jaeger の Service のところに service_name で設定した toy-app が出現するので選択して、Find Traces をクリックします。

スクリーンショット 2020-11-26 9 46 55

ちゃんとトレースできてそうですね。

スクリーンショット 2020-11-26 10 00 48

SQL も確認できました。

<ユーザ一覧>

スクリーンショット 2020-11-26 10 02 09

<ユーザ詳細>

スクリーンショット 2020-11-26 10 27 23

うまくできました!

さいごに

とても簡単に opentelemetry-ruby を使って Rails アプリケーションのトレースデータを Jaeger で確認することができました!

公式リリースが待ち遠しいですね!

明日は、@tsukasa_oishi さんの「どれだけリクエストをさばけるのかを待ち行列理論で考えてみた」です。お楽しみに!!

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