🔳はじめに
今回、【ServiceNow】のITOM(IT Operation Management)について、実際の案件を通じて得た知見を共有するためにこの記事を書きました。
ITOMは、サーバーなどの情報を自動で取得し、可視化や警告を行う製品です。実際に触れてみると、インフラ領域やネットワーク関連の技術が求められるため、技術視点で非常に興味深い製品だと感じています。
他のServiceNow製品が社内業務フローの自動化を目的としているのに対し、ITOMは構成情報の取得と活用に重きを置いて開発されています。そのため、他の製品との共通点が少なく、初めて触れる際にはとっつきにくい部分があります。特に、Discovery、Service Mapping、Event Managementなどの一部の製品では、会社内のServerやルーターとの通信を仲介するJavaアプリケーションであるMID Serverが必要です。
MID ServerはITOMの主要なコンポーネントですが、その構築方法が分かりづらいため、多くのServiceNow技術者が苦労しています。私自身も導入時に苦戦した経験があります。さらに、他のServiceNow製品に比べてドキュメントが少ない点も難点です。
ITOM初心者がMID Serverの構築でつまずかないように、この記事の後半では、MID Server構築の詳細手順を説明します。
🔳ITOMの概要と製品群の特徴
ITOM(IT Operation Management)とは、ServiceNowの製品群の一つで、、ITインフラストラクチャの監視、管理、自動化を目的とした一連のツールとプロセスのことを指します。これにより、運用効率の向上、ダウンタイムの削減、およびサービスの品質向上が図られます。具体的には、インシデント管理、イベント管理、パフォーマンス監視、構成管理などを含みます。ITOMは、「ITOM Visibility」、「ITOM Health」、「ITOM Optimization」、「ITOM Cloud Accelerate」の4つに分類されます。
各製品群の特徴とできることを以下にまとめ、ニーズを高・中・低に分類したので、参考にしてください。
▼ITOM Visibility
【製品の特徴】
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Discovery:高
- ITインフラ全体を発見し、サービスを支えるネットワークの統一されたビューを提供します。
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Service Mapping:中
- アプリケーションサービスの依存関係をマップし、インフラ変更や問題の影響を即座に把握します。
【できること】
- ITリソースの包括的な可視性を提供し、サービス品質の向上、変更プロセスの強化、リスクの軽減を実現します。
- サービスのインパクトを即座に把握し、根本原因の分析を簡素化します。
▼ITOM Health
【製品の特徴】
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Event Management:高
- インフライベントから収集されたアラートを集約し、サービス影響イベントの統合ビューを提供します。
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Health Log Analytics:低
- 高度な機械学習を使用してITインフラ情報を分析し、サービス停止の防止を支援します。
【できること】
- インフラのイベントをアクショナブルなアラートに変換し、迅速にサービス問題の根本原因を特定し修正します。
- 機械学習を活用して動的な閾値を自動的に決定し、異常を特定します。
▼ITOM Optimization
【製品の特徴】
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Cloud Provisioning and Governance:中
- クラウドリソースのライフサイクル全体を管理し、一貫した管理とコストの可視性を提供します。
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Cloud Insights:低
- クラウド資産に関連するコストを分析し、コスト削減と運用最適化の機会を特定します。
【できること】
- プライベートおよびパブリッククラウドインフラのプロビジョニングを自動化し、コスト効率を高めます。
- クラウドリソースの構成チェックやタグガバナンスを実行し、ガバナンスとコンプライアンスを維持します。
▼ITOM Cloud Accelerate
【製品の特徴】
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Cloud Services Catalog:低
- クラウドリソースへの簡便なアクセスとライフサイクル管理を提供します。
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Cloud Migration Assessment:低
- クラウドプラットフォームへのITリソースとワークロードの移行を計画し追跡します。
- Cloud Configuration Governance:低 クラウドリソースの設定をチェックし、ポリシー違反を特定して修正します。
【できること】
- クラウドリソースの標準準拠と逸脱修正を自動化し、クラウド移行の迅速化を支援します。
- クラウドサービスカタログを利用してクラウドリソースを公開し、使用状況とライフサイクルを管理します。
🔳MID Serverの構築方法
前提条件
- インスタンスにDiscovery・Mappingパターンがインストールされていること。
- ネットワークアクセス要件
- MID Server システム要件
手順1:MID Serverのユーザ作成
手順2:Windows Server上に、MID Server用のサーバー構築とユーザ作成
⚫️Window Serverにadmin権限でログインします。
※AWSのEC2上に、「Microsoft Windows Server 2022 Base」を設置しています。
⚫️computer management>Local Users and Groups>Usersから、新しいユーザを作成
⚫️Local Security Policies > local policies Users Rights Assignment > Log on as serviceを選択
⚫️Select log on as Service > Propertiesを選択し、Add User or Groupを選択
⚫️advanced >該当のユーザを選択
⚫️追加されたことを確認して完了
手順3:MID Serverのインストール
⚫️All > Mid Server > Downloadsを選択、MidServerのファイル用URLをコピーする
⚫️MidServerのファイル用URLをWIndows Serverに管理者でログインし、コピーしたURLからファイルをダウンロードする
⚫️ダウンロードしたMidServerファイルを利用して、インストーラーを起動
⚫️インスタンスURL、先ほど作成したMid ServerのUsername、PassWordを入力後、「Test Your Connection」を押下
⚫️接続が成功したというメッセージが出たら、「Next」を押下
⚫️MID Serverの名称(任意)と作成したOSユーザの情報を入力する
⚫️サービス名を指定する際には、チェックボックスを記入、ServiceNameを記入後、[Validate MIDService Settings]を押下
⚫️成功したというメッセージが出たら、「Next」を押下
手順4:MID Serverの設定
⚫️先ほど作成したMidserverをDiscovery>Mid Serversから確認し、レコードを開く
⚫️validateを押下。赤枠の3つのチェックが全てONになっていることを確認し、「save」をクリック
⚫️Mid Serverの「Validated」項目がTrueになっていることを確認して完了
🔳まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、ServiceNowの製品群の1つであるITOMの概要と、ITOMを扱うにあたって必須の領域であるMID Server構築の手順について説明しました。
MID Serverを有効化する作業は、ITOM案件で何度か発生するかと思いますので、
つまずいた際は、本記事を参考にしていただけますと幸いです。
次回は、ITOMの中で、ニーズの高い製品である、Discoveryの活用方法と、実行手順を説明できればと思います。
▼Disocveryの活用方法はこちら
https://qiita.com/ShunCSA/items/2882683c27f3c3e7e5d1