OOTBベースのプロジェクトにおけるメリットと気をつけるポイント
ServiceNowのプロジェクトを今まで経験していない方に向けて、ServiceNowが推奨している、OOTBという概念を念頭に置いて開発する際のメリット/デメリットをお伝えすることで、プロジェクトの進め方で悩まないようにお伝えできればと思います。
私のバックグランドとしては、これまでSalesforceやKintone、HubSpotの開発プロジェクトを経験していたので、そのほかのパッケージ開発と比較して、ServiceNowならではの部分にも触れながら、説明できればと思います。
アジェンダ
- OOTBとは
- OOTBベースプロジェクトのメリット
- OOTBベースプロジェクトのデメリット
- まとめ
1. OOTBとは
ServiceNowは、OOTB(Out of the Box)という、できる限り標準機能を利用して、カスタマイズを少なくすることを推奨しています。
※箱から出してそのまま使えるという意
ServiceNowのプロジェクトはOOTBを基準とした進め方を念頭に置いて、利用開始までの初期構築期間を短くしつつ、メンテナンスコストをできる限り下げることを目標に実装を進める点が特徴的です。
多くのパッケージ製品では、顧客の業務内容に合わせてシステムをカスタマイズする場合が多いと思いますが、この点はServiceNow開発の特徴だと思います。
2. OOTBベースのプロジェクトにおけるメリット
OOTBベースのプロジェクトにおけるメリットを、他パッケージの開発プロジェクトとの違い/共通点を基に説明できればと思います。
●メンテナンスコストの低下
OOTBベースで構築を行うことで、追加要件の実装や改修が必要になった際の影響範囲の調査やテスト項目の設計にかかる工数を削減できます。
●アップデート時の不具合回避
ServiceNowは年に2回アップデートされます。これらのアップデートでは、カスタムスクリプトや追加開発された機能がServiceNowの標準機能と互換性を失い、不具合が生じる可能性があります。その際、エンジニアはスクリプトを手動で確認し、不具合のある箇所を特定する必要があります。このプロセスはアップデートのたびに繰り返され、多くの工数を必要とします。
OOTBベースで開発を進めることで、上記の工数を削減できます。
●追加リリース機能との高い親和性
ServiceNowは、様々な追加機能を、毎回のアップデート時にリリースします。
最近だと生成AI機能等が目玉機能として紹介されています。
参考:https://docs.servicenow.com/ja-JP/bundle/vancouver-intelligent-experiences/page/administer/now-assist-platform/concept/platform-now-assist-landing.html
ServiceNow上に、独自に開発してしまっている場合は、追加開発箇所に格納されたデータに対して、新たな機能が利用できないなどのデメリットが生じる可能性があります。
その場合だと、ライセンス費用は変わらないにも関わらず、便利な機能が利用できないという可能性が出てきます。OOTBベースでプロジェクトを進めると、こうした機会損失を避けられます。
3. OOTBベースプロジェクトのデメリット
●機能開発に制限がある
当たり前と思われる方も多いと思いますが、OOTBで進める際には、できるカスタマイズに制限があります。設定ベースで行える業務領域だけでは、お客様の要望をかなえることが難しい場合もあります。
例としては、画面のデザインを凝りたい、同じフォームからテーブルに書き込むけれども、ログインするユーザーによって表示する項目を変えたい等の要望があげられます。
●他システムとの連携時にサポートされていない場合がある。
他システムとのインテグレーションの際に、外部アプリの利用やコードを書く必要がある場合があります。Slackに通知を送りたい、AWSにデータを流したいなどの要望は一定数発生しますが、OOTBでは対応していない場合があります。
4.まとめ
OOTBベースでのプロジェクトにおけるメリット/デメリットを明確に把握いただけたと思います。OOTBに関してもっと知りたい方がいらっしゃいましたら、NowCreateを参照いただけると、より詳細な情報を得られると思いますのでご参考ください.