はじめに
スクラムガイド2020が発表されました。
様々な変更がありましたが、個人的な感想を書こうと思います。
アジャイルひよこクラブ - スクラムガイド2020!これからのスクラムとの向き合い方とは?でのLT内容を少し変更したものです。
- スクラムガイド2020の変更点は、スクラム実践者の勘違いを防ぐためなのではないか。
- スクラムの利用者や、スクラムマスターは勘違いを防ぐためにWhyの理解が大事なのではないか。
スクラムガイドの変更点
社内でスクラムガイドの変更点について会話しましたが、
本質はそこまでの変化はないという見解でした。
僕自身もそう思っています。
今回の変更というのは、スクラムのよくある勘違いを無くすために、
わかりやすいように言葉を変えた変更なのではないかと考えています。
一部ですが、変更点と勘違いの対応を以下に示します。
変更点 | 勘違い |
---|---|
デイリースクラムの具体的な質問事項がなくなり、議論すべきトピックを明記している | 3つの質問に答えるだけのデイリースクラム |
自己組織化が自己管理に、開発チームが開発者に | バックログ作成はPOの責任だから開発チームは手伝いません。 |
スクラムマスターがサーバントリーダーから真のリーダーに | スクラムマスターが雑用係 |
スプリントプランニングのトピックに「このスプリントはなぜ価値があるのか」が追加 | スプリントゴールが「バックログを全部やる」 |
では、どのようにすれば勘違いを無くせるでしょうか?
Whyを意識する
Whyを意識するのが大事なのではないでしょうか?
スクラムを生み出した、
ジェフ・サザーランド博士もデイリースクラムの変更の説明で、
「日本は特にWhyを意識すべき」とおっしゃていました。
(デイリースクラムの具体的な質問事項がなくなり、議論すべきトピックが明記されたことについて)
これは日本では特に重要だと思います。
なぜなら、日本では議論せずに形式的に全ての質問に答えてしまいがちだからです。
本当に大切なのは、自分たちがしていることの理由や、スプリントゴールを達成する方法について議論することなのです。ジェフ・サザーランド博士 変更点の解説イベントにて
日本の中には、議論からの理解より
「他の会社がやってるから」「みんながやっているから」などのなんとなくの理由で、
アジャイル開発や、スクラムのイベントをやっていることもあるのではないかと思っています。
スクラムマスターにとってWHYはもっと大事
スクラムマスターはチームや組織に対してスクラムを説明する必要があり、よりWHYに答えられる必要があります。
SCRUMMASTER THE BOOKでは以下のように書かれているます。
スクラムマスターは、アジャイルとスクラムのマインドセットを持ったエキスパートです。
アジャイルとスクラムこそが、成功するための正しい選択であると心から信じています。
Zuzana Sochova SCRUMMASTER THE BOOKの1章より
スクラムマスターとしてどのようにすればスクラムを信じられるでしょうか?
それには、スクラムの1つ1つの項目がなぜ存在しているか心から理解していく必要があります。
やり方としては、学術的な視点、論理による導出、実際の経験などがあると思います。
僕が注目している視点は学術的な視点です。
最近知った印象的なものとしては、以下のような視点がありました。
問い | 視点 |
---|---|
スクラムのロールはなぜ3つか? | 組織論的にも心理学的にも3つという構造は良い。 三権分立や、2つの対立に1つが中立に入ること。 |
なぜウォーターフォールのタスク細分化や納期やスコープの固定がよくないか? | パーキンソンの法則によりタスクに時間がかかるようになる。 確率論的には価値や効率が上昇する可能性があるのにそれを生かせない。 |
なぜスクラムチームは10人以下か? | 論文(参考)より、最適なチーム規模は「4.6人」 |
学術的な視点でスクラムを理解することで、説得力や自信を持つことができます。
スクラムこそが、成功するための正しい選択である
と信じるにはこのような積み重ねが重要です。
スクラムマスターとして、チームや組織に対してのティーチングや説得の機会もあると思います。
そのようなときに相手に「スクラムはいいね!」と思ってもらうためには、自分自身がスクラムを信じて、なぜ信じられるのかを語れるようになる必要があり、それには自分自身を説得できる必要があるのです。
まとめ
- スクラムガイド2020の変更点は、スクラム実践者の勘違いを防ぐためなのではないか。
- スクラムの利用者や、スクラムマスターは勘違いを防ぐためにWhyの理解が大事なのではないか。
- スクラムを信じるためには、学術的な根拠を用いてWhyを理解する必要があるのではないか
という話を書きました!
私はスクラムマスターとして、
スクラムガイド2020の変更点の見解
とスクラムのWhyの大事さの記事
を書きました
なぜなら、みなさんとスクラムのWhyについてお話ししてフィードバックを得たいからです。
ご意見ご感想などお待ちしています!