概要
導入した見える化の中で、チームの習慣となったものを3つ紹介します。
また、これらの見える化を、どのような観点で導入したかを最後に説明します。
朝会内容をslackに事前に記入する
朝会用のチャンネルをslackに作り、そこに毎朝投稿してもらうようにします。
(本記事では朝会はデイリースクラムと同義とする)
タイミングと見えるようになったもの
- 毎朝、朝会の発言内容が文字で見えるようになった
身につく習慣
- 事前に朝会内容を考える
- 事前に朝会内容を記入する
- 1日のはじめに朝会チャンネルにチームが行くようになる
良い点
- 欠席時に情報共有できる
- 過去内容を振り返られる
- 言い忘れを防止できる
- 書くことで困りごとが言いやすくなる
- (出社時)周りが煩くても、相手の言いたいことが理解できる
- (リモート時)音声が悪くても、相手の言いたいことが理解できる
悪い点
- 書く手間がかかる
- (出社時)チームに向かって話すのではなく、ディスプレイを読んでしまう
ベロシティーをslackに投稿する
直近のベロシティと予測値の棒グラフをslackに投稿します。
例は以下です。
タイミングと見えるようになったもの
- 振り返り前に、直近スプリントのベロシティグラフが見えるようになった
身につく習慣
- ベロシティの変化を意識するようになる
- 見積もりと次のスプリントのタスク数を意識するようになる
- どのようにすればスプリント内でタスクを完了できるか考えるようになる
良い点
- ベロシティー起点での議論がレビューや振り返りで増える
- 「チームで、なぜここまで見積と実績で解離が出るのか?」とチームで議論されました。
- 「タスクを完了しやすくするにはどうすれば良いか?」とチームで議論されました。
- POにチームの平均ベロシティを知ってもらえる
- Webページに行かなくても、ベロシティが見られる
- 平均ベロシティの計算の手間がなくなる
- 我々は、過去3スプリント平均を次スプリントの予測値としています
悪い点
- 実装・メンテナンスコスト
- JIRAのAPIをPythonプログラムで叩いています。
カレンダーを表示する
例は以下です。
実際はslackBotが投稿します。
身につく習慣
- カレンダーを毎日見るようになる
- カレンダーに予定を入力するようになる
以前はslack勤怠用チャンネルで休みの連絡をしていましたが、
カレンダーの自動表示でslackをさかのぼる必要がなくなりました。
カレンダーを毎朝slackに自動表示するだけで、
ルールとして決めなくてもチームはカレンダーに予定を入力するようになります。
タイミングと見えるようになったもの
- 毎朝、チームとチームメンバーの予定が見られるようになった。
良い点
- カレンダーのページに行かなくて良い
- 予定忘れの防止になる
- チームのリリース予定などが確認できる
- 不在の理由がわかる
- 朝会のファシリテータが覚えるプロセスが1つ減る
悪い点
- 実装・メンテナンスコスト
- ConfluenceのURLをPythonプログラムで叩いています
実行時の考え方
以下3点を意識しています。
- 1clickを省略する
- 必要な時に必要な情報を
- 行動を誘発する
1clickを省略する
Webページを見に行くより、slackに流れた方が楽です。
1クリックという行動を自動化してしまうイメージです。
勝手に情報が流れてくると言うのも、透明性を上げるために重要です。
必要な時に必要な情報を
slackには、適切なタイミングで表示するのが重要です。
トヨタ生産方式のジャスト・イン・タイムのイメージを持っています。
例えば、チームのベロシティの情報は、チームのプロセス改善をスプリントレトロスペクティブのタイミングでだけ必要です。
行動を誘発する
チームに誘発したい行動から打ち手を考えます。
情報の透明性によりチームの行動を誘発させるイメージです。
今回の例では以下を目的としました。
見える化 | 誘発したい行動 |
---|---|
朝会内容記入 | 朝会の発言内容を事前に考えていて欲しい 朝会チャンネルを見て欲しい |
カレンダー表示 | カレンダーに各自の予定を入力して欲しい |
ベロシティ表示 | ベロシティの情報を使ってレトロスペクティブで議論して欲しい |
終わりに:勝手に入ってくる情報に注目する
slackに流れる情報によって、チームの行動や発言内容が変わるのを見るのは面白いです。
是非お試しください!