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基礎から分かる Azure AD B2C

Last updated at Posted at 2019-07-21

#はじめに

まず、本記事は下記資料、Qiita のブログを参考にさせていただいております。
有益な情報だと思いますので、ぜひ参考にしてください。

参考資料
Azure Active Directory B2C/B2B コラボレーションによる Customer Identity and Access Management (CIAM) の 設計と実装
(アカウントを登録することで PDF ファイルをダウンロードができます)
URL:https://www.microsoft.com/ja-jp/events/decode/2019/default.aspx

Azure AD B2C のススメ(2)
URL:https://qiita.com/yossy6954/items/8d9404536a649c45ef45

#####そもそも Azure AD B2C とは

そもそも Azure AD B2C とはなんなのでしょう、Microsoft 公開情報を見てみましょう。

Azure Active Directory B2C とは
URL:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/active-directory-b2c/active-directory-b2c-overview

Azure Active Directory (Azure AD) B2C は、企業-消費者間の ID 管理サービスです。 このサービスを使用すると、ユーザーが Web、デスクトップ、モバイル、またはシングルページ アプリケーションと安全に対話する方法を、カスタマイズしたり制御したりできます。

ちょっと分かりづらいですね…絵で見てみましょう。
image.png

Azure AD の場合は、Azure AD 上にいる Azure AD ユーザーを使って、アプリケーションにログインしているかと思いますが、 Azure AD B2C の場合は、Twitter や Facebook などの SNS アカウントを使って、アプリケーションにログインさせることができます。

また、Azure AD B2C の一番の特徴としては、個人やある企業が独自で開発したアプリケーションに対して、どのようなユーザー フローを使って、サインアップ、サインイン、をさせるか、といった一連の認証の流れを自由にカスタマイズすることができる、という点があげられます。

Azure 上に既にアプリケーションがある場合はもちろんですが、新規にアプリケーションを作る場合でも、認証のオプションが多彩に用意されている Azure AD B2C を使うことで、開発者はアプリケーションを開発することのみに専念できます。
(いちいち数多くの SNS と連携するための仕組みを自前で用意しなくて良いわけです)

Azure AD B2C

のちほど画面もお見せますが、 Azure AD B2C の実体のイメージは下記のとおりです。
Azure AD 自体と b2c-extensions-app から成り立っており、利用者は b2c-extensions-app にアクセスし、Azure AD B2C の管理コンソールを利用しています。
(Azure AD B2C テナントを作成すると、 Azure AD が表示されているのはこのためです)
image.png

#やってみる

Azure ポータルより、 画面左上の「リソースの作成」をクリックします。
image.png

検索ボックスに、「Azure Active Directory B2C」と入力し、表示された Azure Active Directory B2C をクリックします。
image.png

Azure Active Directory B2C の画面に遷移しますので、「作成」をクリックします。
image.png

「新しい Azure AD B2C テナントを作成する」をクリックします。
image.png

Azure AD B2C のテナントの作成の画面にて、「組織名(ディレクトリ名)」「初期ドメイン名」「リージョン」を入力、選択し、「作成」をクリックします。
※以前はリージョンはアメリカとヨーロッパだけですが、アジア、アフリカ圏も追加されていました(日本はまだありませんでしたが…)
image.png

1分ほど待つとディレクトリが作成されます。作成が完了すると下記のとおり、「ここ」のリンクが作成されるので、リンクをクリックし、管理画面に移動します。
image.png

これができたての Azure AD B2C の管理画面になります。
image.png

ここに注目してください。
image.png

Azure AD B2C はサブスクリプション ベースのサービス(ライセンス ベースではない)になるので、いずれかのサブスクリプションと Azure AD B2C ディレクトリを紐づけなくてはいけません。

Azure ポータルの上部検索ボックスより「サブスクリプション」を検索、クリックします。
image.png

サブスクリプション画面より、「+追加」をクリックします。
image.png

サブスクリプションの追加画面より、任意のプランを選択します。(ここでは従量課金を選択しています。)
image.png

再度 Azure ポータル画面より、Azure AD B2C を選択し、新しい B2C テナントの作成または既存のテナントへのリンク画面より「既存の Azure AD B2C テナントを Azure サブスクリプションにリンクする」をクリックします。
image.png

上述の手順で作成したAzure AD B2C テナント名と、サインアップしたサブスクリプション名、およびリソース グループとリソース グループの場所を選択し、「作成」をクリックします。
image.png

これで下記のとおり、サブスクリプションが「登録済み」になりました。
image.png

トップ画面をみてお分かりのとおり、1. ~ 3. として、「アプリケーションの登録」「IDプロバイダーの追加」「ユーザー フローの作成」の作業を行う必要があります。

管理セクションの「アプリケーション」をクリックします。
image.png

当然何もアプリケーションは登録されていませんので、「+追加」をクリックします。
image.png

ここでは、下記チュートリアルのとおりに作成してみましょう。

チュートリアル:Azure Active Directory B2C にアプリケーションを登録する
URL:https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/active-directory-b2c/tutorial-register-applications

Azure AD B2C アプリケーションより「+追加」をクリックします。
image.png

次のように値を設定し、「作成」をクリックします。

項目
名前 webapp1
Web アプリを含める はい
暗黙的フローを許可する はい
応答 URL https://jwt.ms
アプリ ID URL null(ブランク)

image.png

次に ユーザー フローを作成します。
管理画面より「ユーザー フロー」をクリックします。
image.png

画面上部の「+新しいユーザー フロー」をクリックします。
image.png

ユーザー フローを作成するの画面より、「サインアップとサインイン」をクリックします。
image.png

作成画面より、1. の名前を入力し、2. の ID プロバイダーにて、Email signup のチェック ボックスにチェックを入れます。
image.png

4.のユーザー属性と要求にて「詳細を表示」をクリックし、下記画面ショットのとおり、「国/地域」「表示名」「郵便番号」にチェックを入れて、「OK」をクリックします。
(今回はあくまでチュートリアルのとおりやっていますが、もちろん入力を要求したい項目を環境にあわせて設定いただいて問題ありません)
image.png

「作成」をクリックすると、下記のとおりユーザー フローが作成されます。
image.png

それでは早速作成したユーザー フローが動作するか確認してみましょう。
画面上部の「ユーザー フローを実行します」をクリックします。
image.png

画面右側にポップアップする画面より、作成したアプリケーション(webapp1)が表示されることを確認し、「ユーザー フローを実行します」をクリックします。
image.png

すると、下記のような認証画面に遷移します。まだ何もアカウントがない状態なので、「Sign up now」のリンクをクリックします。
image.png

サインイン アップ画面にて、まずは有効なメールアドレスを入力し、「Send verification code」をクリックし認証コードを要求します。
image.png

下記のように、ひととおり、情報を入力後に、「Create」をクリックします。
image.png

すると下記のとおり、jwt.ms にリダイレクトされて、サインアップ時に入力した、トークンをデコードした情報が表示されていることがわかります。
image.png


{ "typ": "JWT", "alg": "RS256", "kid": "X5eXk4xyojNFum1kl2Ytv8dlNP4-c57dO6QGTVBwaNk" }.{ "exp": 1563697599, "nbf": 1563693999, "ver": "1.0", "iss": "https://shyamag015b2c.b2clogin.com/43cf1824-c6c2-4c33-8ffc-f3a4bd4b36e7/v2.0/", "sub": "b2fbdb8f-a317-49b0-9b1b-552a16e8efd7", "aud": "3174e37d-8fb3-42c7-b240-e881045a4b69", "nonce": "defaultNonce", "iat": 1563693999, "auth_time": 1563693999, "country": "Japan", "name": "Shinya Yamaguchi", "postalCode": "123-4567", "tfp": "B2C_1_signupsignin1" }.[Signature]

では次に、Facebook ID でサインインできるように、ID プロバイダーを追加してみましょう。
さきほどの設定で、Email アドレスとパスワードでサインインできるようにはなりましたが、 Azure AD B2C の醍醐味でもある、SNS の ID でもサインインできるようにしてみます。

※以下作業は Azure AD テナントで行います。今まで作業していた Azure AD B2C テナントではないのでご注意ください。

Azure Active Directory → アプリの登録の順にクリックします。
image.png

「新規登録」をクリックします。
image.png

アプリケーション名を「Azure AD B2C App」と記入し、リダイレクト URI を「https://your-B2C-tenant-name.b2clogin.com/your-B2C-tenant-name.onmicrosoft.com/oauth2/authresp」 の表記で設定します、 例えば今回の場合は「https://shyamag015b2c.b2clogin.com/shyamag015b2c.onmicrosoft.com/oauth2/authresp」 と記載します。
「登録」をクリックします。
image.png

作成されたアプリケーション ID をコピーします。
image.png

続いて、画面左にある、「証明書とシークレット」をクリックします。
image.png

新しいクライアント シークレットをクリックします。
image.png

クライアント シークレットの追加の画面で適切に説明文を記入し、「追加」をクリックします。
※そのあとに作成されたクライアント シークレットの値をコピーしてください。
image.png

次に、Facebook アプリケーションを作成するために「https://developers.facebook.com/」アクセスします。
画面右上の「スタートガイド」をクリックします。
image.png

Facebook for Developers へようこその画面で「次へ」をクリックします。
image.png

任意の職業を選択します。
image.png

「最初のアプリを作成」をクリックします。
image.png

新しいアプリ ID を作成画面で必要な情報を入力し「アプリ ID を作成してください」をクリックします。
image.png

Facebook for developers の画面にて、「アプリ」→「アプリの作成」の順にクリックします。
image.png

左ペインより「設定」→「ベーシック」の順にクリックします。
image.png

画面右下の「カテゴリ」より、任意のカテゴリを選択します。
image.png

同画面を一番下にスクロールし「+プラットフォームを追加」をクリックします。
image.png

プラットフォームを選択より「ウェブサイト」をクリックします。
image.png

ウェブサイトの画面にてサイト URL を入力し、「変更を保存」をクリックします。
image.png

保存後に、画面上部にスクロールして、下記のアプリ ID と app secret をそれぞれテキストファイルなどにコピーしておきます。
image.png

ダッシュボード画面に戻って、製品を追加より、Facebookログインの「設定」をクリックします。
image.png

クイックスタートを使用して、の画面にて「ウェブ」をクリックします。
image.png

有効な Oauth リダイレクト URI のボックスに、「https://your-tenant-name.b2clogin.com/your-tenant-name.onmicrosoft.com/oauth2/authresp」 の形式で値を入力します。今回の場合は、「https://shyamag015b2c.b2clogin.com/shyamag015b2c.onmicrosoft.com/oauth2/authresp」 と入力し、「変更を保存」をクリックします。
image.png

最後に画面上部の「オフ」の状態から「オン」に変更します。
image.png

アプリを公開しますか?の画面にて「承認」をクリックします。
image.png

以上で ID プロバイダーとして Facebook が追加できるようになりました。
Azure AD B2C の管理画面に戻り、ID プロバイダー → 追加の順にクリックします。
まずは、Azure Active Directory を ID プロバイダーとして追加します。
image.png

名前の入力後に、ID プロバイダーとして「OpenID Connect 」を選択し「OK」をクリックします。
image.png

この ID プロバイダーをセットアップしますをクリックし、以下情報を入力していきます。

項目
メタデータ URL https://login.microsoftonline.com/your-AD-tenant-domain/.well-known/openid-configuration
クライアント ID 作成した Azure AD B2C App のクライアント ID
クライアント シークレット 作成した Azure AD B2C App のクライアント シークレット
範囲 openid
応答の種類 code
応答モード form_post
ドメインのヒント null

次に、この ID プロバイダーの要求をマップするをクリックし、以下の情報を入力後に「OK」をクリックします。
image.png

項目
ユーザ IDー oid
表示名 name
given_name
family_name
電子メール unique_name

ひととおり設定後に「作成」をクリックします。
image.png

次に Facebook を ID プロバイダーとして追加します。
ID プロバイダーの画面より「+追加」をクリックします。
image.png

ID プロバイダーの追加の画面より、名前に「Facebook」と入力し、ソーシャル ID プロバイダーの一覧から「Facebook」を選択し「OK」をクリックします。
image.png

この ID プロバイダーをセットアップより、控えておいた「クライアント ID(app ID)」と「クライアント シークレット (app secret)」を入力し、「OK」をクリックします。
image.png

最後に「作成」をクリックします。
image.png

下記のように、ソーシャル ID プロバイダーに「Facebook」、カスタム ID プロバイダーに 「Azure AD」が追加されたことを確認できます。
image.png

それでは追加した、ID プロバイダーをユーザー フローに追加します。
画面左の「ID プロバイダー」をクリックします。
image.png

新規に作成した「Facebook」と「OpenID Connect」のチェック ボックスにチェックを入れて「保存」ボタンをクリックします。
image.png

保存が成功したら、同画面より、「ユーザー フローを実行します」をクリックします。
image.png

「ユーザー フローを実行します」をクリックします。
image.png

下記画面のように、Facebook と Azure AD でサインインできるようになりました。
Facebookをクリックしてみます。
image.png

Facebook上に登録されている情報を基にサインインを許可するかどうかの画面が表示されるので、「ログイン」をクリックします。
image.png

下記のとおり、Display Name が入力されましたね、「Continue」をクリックします。
image.png

Jwt.ms にリダイレクトされて、下記のとおり、idpが「Facebook」になっていること、名前が「Display Name」に表示された情報がトークンに含まれていることが確認できます。
image.png


{ "typ": "JWT", "alg": "RS256", "kid": "X5eXk4xyojNFum1kl2Ytv8dlNP4-c57dO6QGTVBwaNk" }.{ "exp": 1563702592, "nbf": 1563698992, "ver": "1.0", "iss": "https://shyamag015b2c.b2clogin.com/43cf1824-c6c2-4c33-8ffc-f3a4bd4b36e7/v2.0/", "sub": "048151c1-ff43-4513-aaa1-20895f4b76fa", "aud": "3174e37d-8fb3-42c7-b240-e881045a4b69", "nonce": "defaultNonce", "iat": 1563698992, "auth_time": 1563698992, "name": "山口 真也", "idp": "facebook.com", "tfp": "B2C_1_signupsignin1" }.[Signature]

ちなみにサインインを Azure AD でおこなうと以下のとおりお馴染みの Consent 画面が表示されます。「承諾」をクリックします。
image.png

Jwt.ms を確認すると、下記 のとおり idp の情報が Azure AD のエンドポイントになっていることが分かります。
image.png

最後に、 Azure AD B2C のユーザーをクリックすると、下記のとおり、 Facebook と Azure AD で認証したユーザーが登録されたことを確認できます。
image.png

#おわりに
今回は、 Azure AD B2C とは、何なのか、から始まり、実際にユーザー フローを作成して、ID プロバイダーとして「Facebook」と「Azure AD」を追加して動作を確認してみました。

リダイレクト先の URL は jwt.ms というトークンをデコードするサイトを指定しましたが、実際には、お客様の環境や自分自身が作成したアプリケーションを登録し、様々な方法でサインインできる仕組みを Azure AD B2C で作ることができます。

また、ユーザー インターフェースは今回の検証ではデフォルトの画面ですが、CSS で柔軟に画面を変更することが可能です。
非常に柔軟性の高いソリューションなので活用してみてはいかがでしょうか。

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