#LPICとは
Linuxの管理者・運用者のための資格試験です。
LPICは日本語で提供されていますが、世界中で通じる唯一の資格です。
レベル1から3まであり、レベル3が最難関の試験です。
その他に入門者向けのLinux Essentialsと、少し毛色が違う開発系のためのDevOpsもありますが、このページではレベル1から3までの試験を中心に扱います。
レベル1試験はLinuxの仕組みや基本的な操作方法を中心に出題され、Linux経験1年未満くらいの方が対象です。個人的には半年以内の方でも十分に合格できると思います。レベル1試験は101試験と102試験の2つに分かれており、2つ合格して資格が認定されます。
レベル2試験はLinuxの高度な扱い方やLinux上で動作する各種のソフトウェアを中心に出題され、Linux経験3年未満くらいの方が対象です。個人的には1年以内の方でも十分に合格できると思います。レベル2試験は201試験と202試験の2つに分かれており、2つ合格して資格が認定されます。
レベル3試験はLinuxの最高位で、テーマごとに試験が分かれており、出題範囲も全く異なります。1つでも合格するとレベル3として認定されますが、各試験に合格するとその試験分野のスペシャリストとして世界的に認められます。
個人的には1年以上の経験があれば十分に合格できると思います。
一番簡単なのは「LPIC-3 304:仮想化とハイアベイラビリティ」で、次は「LPIC-3 303:セキュリティ」かと思います。ただ、「LPIC-3 300:混在環境」はWindows Serverの経験があるならとっつきやすいのではないでしょうか。
試験科目一覧を以下に示します。出題範囲はリンク先から確認できます。
- LPIC-1 101:Linux管理者
- LPIC-1 102:Linux管理者
- LPIC-2 201:Linuxエンジニア
- LPIC-2 202:Linuxエンジニア
- LPIC-3 300:混在環境
- LPIC-3 303:セキュリティ
- LPIC-3 304:仮想化とハイアベイラビリティ
- Linux Essentials
- 701:DevOps Tools エンジニア
その他の情報はこちら
- 受験料:税込み16200円(後で紹介するバウチャーを使えば安くなります)
- 試験時間:90分
- 問題数:60問
- 合格点数:500点(200~800点の範囲でスコアリング。ただし、50%正解すればよいわけではありません。詳しくは後程。)
LinuCとの違い
LPICと似た試験にLinuCというものがあります。
よくLPICは終了してLinuCに変わったと誤解されますが、LPICは引き続き受験可能です。
ではLinuCとは何かといいますと、簡単に言えば、日本版LPICです。
運営組織は別でLPICはLPI日本支部、LinuCはLPI Japanという組織です。
以前はLPIがLPI JapanにLPICの日本での運営を委託していました。
LPICは世界的な資格な半面、日本独自の使われ方には合わないためLinuCができたと、言われています。
建前上は。。。
本音のところは利権の問題などささやかれますが、ここでは割愛します。
(確かにLPI Japan時代はLPICレベル3試験の受験料を日本だけ2倍にしていたという事実もありますが、、、。LinuCは引き続き2倍料金です。)
個人的にはLPICを推します。それには次の理由があります。
- **LPICは世界で通じる。**海外で働かないから関係ない、とはなりません。国内の外資系企業で働くことは絶対ありませんか?その際、LPICなら通じますが、LinuCは通じないかもしれません。
- LPICは歴史がある。まだまだLinuCは知名度はありません。IT系の方なら知っているかもしれません。しかし、就職の際に書類選考をするのは人事担当者です。LPICは知っていてもLinuCは知らないかもしれません。
- **受験料が安い。**先にも書きましたが、LPICのレベル3受験料はLinuCの半額で1.5万円です。LinuCは3万円です。説明不要ですね。
- **LinuCはころころ問題が変わる可能性がある。**LinuCは試験問題をすぐに変え得ることを表明しています。それではせっかく買った教科書や問題集がすぐに役に立たなくなる、なんてことが起こるかもしれません。資格は合格することが大事です。しかも受験料も安くありません。より確実に合格したいならLPICが良いですね。
#LPICのコツ
LPICの合格のためのコツをご紹介します。
問題形式と採点方法
LPICは次の問題形式があります。
- 単一選択問題 (選択肢の中から1つだけ選択します。)
- 複数選択問題 (選択肢の中から複数個選択します。選択する数は問題ごとに指示があります。選択が全部正解で得点です。)
- 語句入力問題 (キーボードから文字を入力します。)
※選択問題の選択肢は4~5つ程度
LPICの採点方法は難しい問題ほど高得点になります。
具体的には、他の受験者の正答率が低い問題ほど高い点数になります。
ここでカギになるのは「語句入力問題」です。
語句入力問題は選択問題に比べて、消去法が使えない分、かなり難しいです。
語句入力問題で出る問題は簡単なものばかりというわけではないので、どれだけ語句入力問題を正答できるかで大きく点数が違います。
語句入力問題としては、ファイルのパス、ファイル名、設定ファイルのパラメータや値、コマンドのオプションなど、様々あります。
これらはLinux経験者だから勉強しなくても答えられるというものでは決してありません。
単一選択問題と複数選択問題の選択問題系も難しい問題ほど点数が高いですが、消去法も可能なため、語句入力問題に比べると難易度は下がります。
それでも得点すべき問題はしっかりと得点したいですね。
試験範囲
LPICの試験範囲は公開されていますが、これらがまんべんなく出るかというとそんなことはなく、結構偏りがあったりします。そのため、教科書を読むだけでは頻出部分がうろ覚えになったりして効率が悪いです。
必ず問題集を解きましょう。
再受験
再受験は1回目の不合格から1週間後に受験できます。
ただし、再受験時には1回目に出た問題はほぼ出ません。実感としては同じ問題は60問中3、4問です。
その為、1回目に出た問題を頑張って覚えても2回目にはほぼ役に立ちません。
1回の受験でばっちり合格できるように準備したほうが良いです。
不合格であったとしても1回目の受験の点数に関係なく、しっかりと勉強して2回目に臨んでください。
#勉強法
さて、やっと勉強方法ですね。
LPICのコツでも書きましたが、難しい問題を確実に解くこと、頻出分野を集中的に勉強することが合格につながります。
LPICの勉強は短期間に効率よくやることが大事です。
以下ではレベルごとの学習法を紹介します。
##LPICレベル1
効率よく勉強することが大事、と書きましたが、レベル1は地道に教科書を読んでおいたほうが良いです。
流し見でもよいですので、教科書には一通り目を通しておいてください。
おすすめは翔泳社さんの「Linux教科書 LPICレベル1」です。必ず最新バージョンのものを購入してくださいね。
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798160498
教科書を一通り読んだ後は問題集をやりましょう。
おすすめはこちらも翔泳社さんの「Linux教科書 LPICレベル1 スピードマスター問題集」です。できれば最新バージョンが良いですが、1つ前のバージョンでもなんとかなります。
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798141893
Web問題集のPing-tさんもおすすめです。
https://ping-t.com/
102試験は有料ですが、101試験は無料で利用できます。
Ping-tさんは網羅的に問題が出るので、上位レベルの試験では効率が悪くて使いづらいですが、レベル1試験はあまり偏りがないので良いです。正解するごとに金銀銅のマークがつくので、すべての問題を銀マーク以上にしたうえで、2度ほど問題数・試験時間を本番と同じにして挑戦しましょう。それで9割取れればまず合格するでしょう。
##LPICレベル2
レベル2から急に難しくなります。効率よく学習したいですね。
レベル2は問題集を解きながら、わからないところは教科書で読むという、レベル1とは逆のほうが効率が良いです。
決して教科書を全部読んでから問題、としてはいけません。絶対最初に読んだあたりの範囲は忘れています。
教科書はレベル1と同じく翔泳社さんのものがおすすめです。
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798151236
問題集はWeb問題集の学易さんと紙の問題集の翔泳社さんのものがおすすめです。
学易:https://gakuyasu.byaku.jp/
翔泳社:https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798151250
学易はレベル2は無料で利用できます。
無料なので問題数は50問程度とやや少なめですが、しっかりと本試験を分析したうえで問題を作ってあるので、大幅な得点上昇に結びつきます。解説も解説が必要な問題のみについており、解説を読むだけで大変、ということはありません。必ず確実に満点がとれるようになるまで勉強しましょう。
といっても1日頑張れば、十分にそのレベルまでいけますよ。
翔泳社さんの紙の問題集も解いておきましょう。できれば2周くらいはしたいですね。
レベル1でおすすめしたPing-tさんはレベル2ではおすすめしないです。まんべんなく問題が出るので、効率が悪いです。解説もかなり長々としており、しかも別の似たような問題から流用した解説が多数あるので、正直あまり頭に入ってきません。何度もやっていると、問題文と答えの組み合わせを暗記するだけになってしまいます。それでは本試験に対応できません。
##LPICレベル3
レベル3は完全に問題集だけで十分です。副読本として教科書を用意しておいても良いですが、教科書を読むより問題集の解説を読んだほうが良いです。
レベル3は学易さんの問題集だけでよいです。
レベル3から学易さんは有料になってしまいますが、効率よく・確実に合格して時間やお金を節約したほうがずっと良いです。
https://gakuyasu.byaku.jp/
学易さんでは後述するバウチャーも販売しており、バウチャー購入時に問題集の利用割引券がもらえます。
それを使って問題集を購入するのが良いですよ。
レベル3からは学易では解説がある問題が多いです。といっても、必要最低限の分量に抑えられており、どの点が解き方のポイントになるかが色を変えて書かれているので、非常にわかりやすいです。
問題は130問くらいあるので、ほぼ100%正解できるまでやりこみましょう。おそらく2日もあれば十分に力がつくと思います。
学易は合格保証付きで、万が一不合格の場合は利用料を返金してくれるようです。すごい自信ですね(笑)。でも本当に良い問題集だと思います。
#バウチャー購入
LPICのバウチャーは調べてみましたが、間違いなく学易さんが最安です。
学易:LPIC 受験バウチャー割引販売
価格は税込14,580円。定価が16,200円なので、ちょうど10%割引ですね。
ただし、納品までに1週間くらいかかるようなので、早めに購入したほうが良いですね。
バウチャーは1年くらい使えますので、急に忙しくなって受験を先延ばしにしても問題ありません。
購入すればeラーニングの割引チケットももらえますのでお得です。
その他の販売サイトについて
- Ping-t : 15,120円
- isaオンラインショップ : 15,120円
- Pearson : 16,200円
- SEShop : 16,200円
- メルカリ : ???円 ※たまに出品されているようです
#試験予約
試験の予約の流れとしては次のような感じです。
- LPIアカウント登録 (2回目不要)
- Pearsonアカウント登録 ※1営業日かかるので早めに事前に登録しておきましょう (2回目不要)
- テストセンターの選択
- 受験日時の選択
- バウチャーで決済
- 予約完了
試験の予約の詳しい手続きは学易さんのWebサイトに画像付きで詳しく載ってますので、詰まった方はこちらを参考にするのが良いです。
#受験当日
テストセンターは込み合う可能性がありますので、予約時間の30分前には到着しましょう。
受験には以下の持ち物が必要です。
- 写真付き身分証
- 別の身分証・クレジットカード
- ポケットティッシュ (必要な場合)
その他のものは持って行っても持ち込めません。腕時計もダメです。
テストセンターに到着したら、まず受付に行って名前と受験科目、受験時間を伝えましょう。
その後、身分証の提示・確認を行い、同意書にサインします。
写真撮影と電子署名(タブレット上に専用のペンで漢字でフルネームを書きます)を終えたら、荷物を預けるロッカーについて案内されますので、荷物をロッカーにしまってください。
以上で準備は完了です。時間になったら入室しましょう。
持ち込めるのはポケットティッシュ、メガネだけです。メガネは確認のため、入室の際に係員に見せてチェックしてもらいます。
試験室で自分の席に着席すると、受験科目・受験者(自分)の名前を改めて確認し、試験開始です。
ここで、係員が離れていきますので、以降は画面の指示に従って試験を進めましょう。
まずは、確認事項を読み、同意します。※絶対に同意しないままで進めないでください
試験が開始されると1.5時間のカウントダウンが始まります。問題は後で見直せますので、コマンド問題から先にやるなど、自分なりの方法で解き進めてください。
全ての問題に回答完了後、回答一覧から未回答問題がないかを確認し、試験を終了します。
時間切れの場合は強制的に終了になります。
直ちに試験結果が表示されます。
お疲れさまでした。これで完了です。受付でスコアレポートを印刷したものを受け取ってください。
合格した場合は1か月ほどで認定証が送られてきます。
※101、102試験などの2科目合格が必要な場合は送られてきません。
#最後に
LPICの勉強は短期間に効率よくやることが大事です。
Pearsonアカウント作成がまだの方はPearsonアカウント作成を、それとバウチャーの購入は早めにすましておきましょう。
それでは長くなりましたが読んでいただきありがとうございました。