この文書の目的
今回紹介するソフトウエアは、人工生命ツール「ALIEN : Artificial LIfe ENvironment」です。どうも2018年から公開されていて、とても興味深く可能性も大きいと思うのですが、なぜかブレークした感じがないので、Qiitaでご紹介して活用する仲間が増えると良いなと思っています。
人工生命について思うこと
WikiPediaを紐解くと、「人工生命(じんこうせいめい)は、人間によって設計、作製された生命。生化学やコンピュータ上のモデルやロボットを使って、生命をシミュレーションすることで、生命に関するシステム(生命プロセスと進化)を研究する分野」とあります。
その出発点は1986年にアメリカの理論的生物学者、クリストファー・ラングトンによって命名されたときみたいです。提案されて既に30年近く経っており、意外と昔からあったのだと感心します。1990年代には日本でも解説書が出版されて、手元にも色々ありました。
ALIENについて思うこと
自分はこのツールを、上記の人工生命の研究目的ではなく、工学のシミュレーションツールとして興味を持っています。粒子モデルによる物体の挙動を再現することで、流体解析や構造解析や破壊解析ができないかと期待しています。
ただ課題としては、このツールが2次元の世界を記述しており、3次元に対応していないことです。工学で2次元問題として利用できる場面はあるのですが、本当は3次元になればと期待しています。せっかくオープンソースなので、誰か3次元化してくれないかなと淡い期待もあって、この議事を書いています。
そこでこの文書では、ALIENを導入して活用する情報に特化して、説明したいと思います。もし興味を持つ方が増えてきたら、公式サイトにあるドキュメントをもとにした、解説なども公開できればと思います。
ちなみにALIENが動作すると下図のような画像が作られ、リアルタイムで動き出します。池の水を顕微鏡で見て、微生物がうごめいている感じに見えます。
ALIENに関する情報源
ALIEN の ARTWORK ,DOWNLOAD, DOCUMENT ALIEN公式サイト
ALIEN の Youtube 動画チャネル ALIEN動画サイト
ALIEN の GitHub ALIEN GitHub
ALIENのインストール
このツールはオープンソースで公開され、以下の手順でcmakeを使って、Linuxとかでもビルドできるようです。
ビルドの手順
ここでは先ずは手軽に動かして、どんなツールか知っていただくことを目的としているので、Windows環境でビルド済バイナリを利用することにします。
Windows環境の準備
このALIENは、NVIDIA-GPU前提のツールですので、WindowsにNVIDIA-GPUのドライバを、導入しておいてください。なるべく最新版が望ましいです。利用できるGPUは、以下の条件があります。ここではWindows11で試してみます。
- NVIDIAのグラフィックカードで、Compute Capability version 6.0 (Pascalアーキテクチャ) またはそれより新しいもの
- グラフィックカードの専用ビデオメモリは、4 GB 以上
バイナリのダウンロード
ALIEN公式サイトに接続し、左下の緑色ボタンの「Download Installer for Windws」から入手します。
ALIENのインストール
ダウンロードフォルダにあるインストール用ファイル「alien-installer.msi」を利用します。これをダブルクリックして、インストールを実行します。
- Welcome to the Artificial Life Environment Setup Wizard : Next>
- Read me file : Next>(執筆時の最新版は4.12.2)
- End-User License Agreement : Check [I accept ..] Next>
- Configure Shortcuts : (デフォルトで) Next>
- Select Installation Folder : (デフォルトで) Next>
- Optional features to install : (デフォルトで) Next>
- Ready to Install : Install
- Welcome to the Artificial Life Environment Setup Wizard : (Launch ..を外して)Finish
これでインストールが完了しました。
ALIENのアンインストール
もしALIENが不要になったら、「Windowsのスタートボタン右クリック」→「インストールされているアプリ」→「Artificial Life Environmnetの右端(…)」→「アンインストール」→「アンインストール」→「はい」
以上で削除できます。
また、ALIEANを最新版に更新するときも、上記の手順で削除してから、最新版を導入することにしています。
ALINEの動作の確認
ALIENは起動すると、ウインドウではなく画面全体に描画しますので、インストール時にLaunchを外して起動しないようにしました。最初に止め方を説明します。ALIENが画面全体に表示されたら、左上の赤色電源ボタンを押して、[OK]で終了します。
上記の手順でインストールした場合には、デスクトップ上に「alien」のアイコンがあると思うので、ダブルクリックして起動します。少し待つと画面全体が青い背景となって、2次元の人工生命の世界が表示されます。
ALIEN独自のウインドウのなかで、「Temporal control」を用いて、「▶再生ボタンで動作」して「一時停止ボタンで休止」となります。
マウス操作としては、「左ボタン:拡大」「中ボタン:移動」「右ボタン:縮小」となります。
皆さんの関心が集まれば、さらに詳しい情報を追記したり、別記事を書こうと思います。