1. はじめに
自宅で撮影した動画や写真が大量になってくると、どこに保存するか迷いませんか。クラウドサービスを使うのも便利ですが、容量や月額料金が気になります。
そこで今回は、低コストかつ省電力で動作するコンピュータ「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」と、オープンソースのNAS用OS「OpenMediaVault(OMV)」を使って、自宅に簡単なNAS環境を構築します。
さらに、HDD2台によるバックアップ構成と、将来的なスマホ自動同期アプリ構想まで含めてご紹介します。
2. 用意したもの・環境
今回の構築に使用した機材と環境は以下の通りです。
- Raspberry Pi 3 Model B — 7,980円 (Amazon 2025/8/13に確認)
- 外付けUSB HDD(6TB)×2台 — 15,000円 × 2
- OpenMediaVault(OMV) 7.x — 無料(OSS)
- ネットワーク環境 — 有線LAN接続推奨
HDDはメイン保存用とバックアップ用に分けます。
3. セットアップ概要
3.1 Raspberry Pi OSの準備
- 公式サイトからRaspberry Pi OSをダウンロード
- microSDカードに「Raspberry Pi Imager」で書き込み
3.2 OpenMediaVaultのインストール
OSが起動したら、OMVのインストールを行います。
wget -O - https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/installScript/raw/master/install | sudo bash
インストール後は、ブラウザからhttp://<Raspberry PiのIPアドレス>/
にアクセスして初期設定を行います。
3.3 HDDの認識とマウント
OMVのWeb GUIからHDDを認識・フォーマットし、共有フォルダを作成。
アクセス権限を設定し、SMB(Windows共有)を有効化します。
4. バックアップ構成
データ保護のため、HDDは次のように使います。
- HDD1:メイン保存用
- HDD2:バックアップ用
OMVの「rsync」機能で定期的に同期するスケジュールを設定すれば、メインHDD故障時もバックアップから復旧可能です。
さらに「スナップショット」機能を使えば、誤削除や上書きミスにも対応できます。
まだバックアップ用のHDDが届かないので、1台で運用しています。届き次第、実際に設定してみる予定です。
5. スマホからNASに直接コピーする方法
iPhoneの場合
- 標準の「ファイル」アプリを使用
- 「接続先を追加」から
smb://NASのIPアドレス
を入力 - ユーザー名・パスワードで接続
- 写真アプリから「共有 → ファイルに保存」でNASに送れる
Androidの場合
- 「ファイルマネージャー」や「CX File Explorer」などを使用
- SMBサーバーとしてNASを登録
- スマホ内の動画や写真を選択してコピー
ポイント
- Wi-Fi経由なので転送が速い
- ケーブル不要でその場で保存可能
6. クラウドサービスとのコスト比較
構築費用は以下です。
- Raspberry Pi 4:7,980円
- HDD 4TB × 2台:30,000円
- 合計:37,980円(初期費用のみ)
クラウドの代表的なプランと比較してみます。
以下はchatGPTに計算してもらった結果です。
サービス | 容量 | 月額料金 | 年額料金 | 37,980円で利用できる期間 |
---|---|---|---|---|
Google One | 2TB | 約1,300円 | 約15,600円 | 約2年5ヶ月 |
Dropbox Plus | 2TB | 約1,200円 | 約14,400円 | 約2年7ヶ月 |
iCloud+ | 2TB | 約1,300円 | 約15,600円 | 約2年5ヶ月 |
以上から…
- 3年以上使えばNASの方が安価
- 容量が増えるほどコスパ差は拡大
- ただしクラウドは運用不要・高可用性あり
7. 今後の展望:管理アプリ&スマホ自動同期
現状はOMVのWeb GUIで管理していますが、将来的には以下を目指します。
-
自作管理アプリ
- 動画ライブラリ検索・タグ付け
- バックアップ状況可視化
- ユーザー別アクセス履歴
-
スマホ自動同期アプリ
- Wi-Fi接続時に自動アップロード
- バックグラウンドで動画同期
- 大容量動画も安定転送できる分割アップロード
実現方法の候補:
- WebDAV/SFTP接続(既存プロトコル活用)
- Syncthing(双方向同期)
- REST API+モバイルアプリ(完全自作)
これにより、クラウドの利便性とNASの自由度を融合させた運用を実現したいと考えています。
8. まとめ
Raspberry Pi+OpenMediaVaultを使えば、低コスト・大容量・高カスタマイズ性のNASが作れます。
2台HDDでのバックアップ構成でデータ保護もできます。
今後はスマホ自動同期アプリを組み合わせ、クラウドのような便利さとNASの自由度を両立することを目指します。
自作アプリ作成時やバックアップ構築時に、別の記事を書く予定です。