#Db2とOracle 数値データ・タイプの違い
当回はデータベース作成後は変更できないDb2のOracle互換機能の中の2つ目、「NUMBERデータ・タイプの互換性」に関して触れたいと思います。
##■Oracleの数値データ・タイプ
Oracleのマニュアルを見ますと、数値データ・タイプには以下の4種類があるようです。
・NUMBER
・FLOAT
・BINARY_FLOAT
・BINARY_DOUBLE
(参考資料A:Oracle SQL Language Reference 2.1 データ型)
https://docs.oracle.com/cd/E82638_01/sqlrf/Data-Types.html#GUID-F579F4B8-EF13-4CAF-9B06-03B076861C41
FLOATはNUMBERのサブタイプということですが、あまり使用されていないらしいのでここでは除かせていただくと、上記の数値型は大きく分けるとNUMBER と、BINARY_FLOAT & BINARY_DOUBLEの2グループに分けることができます。
この2つのグループは内部的な格納方式が異なっており、BINARY_FLOATとBINARY_DOUBLEは2進精度、またNUMBERは10進精度で格納されるという違いがあります。
コンピュータの処理的には内部的に2進精度で格納されている方が処理効率は良いのですが、表現可能な最小値と最大値の間であっても、2進数では正確にはあらわせない数値というものが存在します。
例えば、10進数の0.1は、2進数で表現すると、0.0001100110011……と無限に続きます。
一方10進精度の場合、処理効率の観点では2進精度には劣りますが、0および最小値と最大値の間で許容される桁数の制限内であれば、表現できない数値はありません。
ということで、まずNUMBERは10進精度の数値データ・タイプであるということが、大きな特徴になります。
##■Db2の数値データ・タイプ
Db2のマニュアルを参照しますと、Db2の数値データ・タイプは、整数および10進数、浮動小数点数、そして10進浮動小数点数があり、以下のように分類されるとあります。
(参考資料B: Db2 11.1データ・タイプ・リスト 数値)
https://www.ibm.com/support/knowledgecenter/ja/SSEPGG_11.1.0/com.ibm.db2.luw.sql.ref.doc/doc/r0008469.html
・厳密な数: 整数および 10 進数
・10 進浮動小数点数
・近似数: 浮動小数点数
Db2もOracle同様、内部的に2進精度のものと10進精度のものに大別できます。
そこでそれぞれに分類される具体的なデータ・タイプは何なのか、ということをまとめてみました。
##■Db2におけるNUMBERデータ・タイプの互換性とは
上記でご紹介したように、Db2にはNUMBERというデータ・タイプはありません。
Native Db2でデータ・タイプにNUMBERと指定して定義すると、エラーになります。
そこで、NUMBERというデータ・タイプの指定ができるようにするための機能が、Oracle互換機能の「NUMBERデータ・タイプの互換性」ということになります。
しかしこれはOracle互換のDb2のシステムで、新たにOracleと同じNUMBERというデータ・タイプが提供されるということではありません。
飽くまでも、NUMBERの指定をいずれかの既存のDb2の数値データ・タイプに置き換えてくれるということに過ぎないのです。
OracleでもANSI SQL型との互換性のため、INTEGERなどのデータ・タイプの指定ができるようになっていますが、これも内部的には相当するNUMBERの定義に置き換えているだけで、Db2でのNUMBER指定もそれと似たものと言えます。
##■NUMBERとDb2の数値データ・タイプとのマッピング
では、NUMBERはDb2のどのタイプと互換性があるのかということですが、NUMBERは10進精度のデータ・タイプであることを最初にご紹介しましたが、これがキーポイントとなります。
Db2で10進精度の数値データ・タイプは上の図のオレンジの点線枠で囲った
・DECIMAL または NUMERIC (NUMERICはDECIMALの同義語です)
・DECFLOAT(16)
・DECFLOAT(34)
の3種であり、NUMBERは精度と位取りの指定の仕方によって、次のようにマッピングされます。
つまり、精度と位取りの指定があれば、基本的には同じ精度と位取り指定のDECIMALにマッピングされるということです。
ただし、細かい点においては、いろいろ考慮すべき事項もあります。
次回以降はこの考慮すべき事項に関して、ご紹介していきたいと思います。
つづく
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当投稿は、Database migration to DB2-IBM Japan Community Wikiに掲載のブログを、Qiita用に書き直したものです。
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