はじめに
2025年8月、私は Microsoft 認定資格【Microsoft Azure AI Fundamentals(AI-900)】に、わずか 11日間の学習期間で合格しました。
この試験は、基本的なAIの概念を理解しつつ、Microsoftが提供するAIサービスにも焦点を当てた内容になっています。
私自身の背景としては、AIのエンジニアや運用者ではなく、ChatGPTや社内のAIツールをユーザとして活用した経験がある初心者レベルですが、無事合格できました!
本記事では、私がどのよう学習を進め、試験に臨んだのかをまとめています。
これから受験を検討している方や、Micorosoft Azure AI を基礎から学びたい方の参考になれば幸いです。
AI-900 試験情報
試験概要
- AI-900は、「AIとは何か、Azureでどう使えるか」を体系的に学べる入門試験です。
- 合格スコアは、700点以上 (1,000点満点)
実際に勉強してみて感じたのは、Microsoft製品だけでなく、一般的なAIの仕組みや考え方 を入り口から勉強できたので、「ChatGPTなどをユーザーとして触ったことがあるけど、仕組みも理解してみたい」という初心者や「SF映画が好きなので、何か関連する分野を学んでみたい」という知的好奇心がある方にもおススメです。
試験申し込み
- 試験の申込は、こちらの公式ホームページから行います。
試験時間と問題数
- 試験時間:45〜60分程度
- 出題数:約40問(年度や受験回によって変動あり)
出題形式
- 選択式(単一選択・複数選択)
- ドラッグ&ドロップ形式の問題もあり
受験費用
- 税込み価格 13,398円 (単価:12,180円 + 消費税:1,218円)※2025年8月時点
受験費用が、1万円を超えるので「ちょっと高いな」と感じる方もいると思います。
ただ、実は裏技、と言っても公式に認められている方法を使い、正規価格の半額で受験をすることが出来ます。
割引情報
Microsoft Virtual Training Days という Microsoft公式の 無料オンライントレーニングイベント に参加することで、割引の適用対象となります。
私の場合は、「Microsoft Azure Virtual Training Day: AIの基礎」に参加し、特典として「Microsoft トレーニングデイ 50% 試験割引」が自動で適用されました。
※ 特にバウチャーコードを入力する必要はなく、試験申し込み時に自動で適用されました。
「トレーニング」という名前ですが、ウェビナー(オンラインセミナー)形式で、参加者のカメラとマイクは自動的にオフになっており、リラックスして受講できます。また、質問応答に関しては、チャットで対応しています。
なお、私は開始から10分ほど遅れて参加してしまいましたが、問題なく割引メールを受け取ることができました。ただし、途中参加や途中退出でも必ず特典が適用されるとは限りません。不安な方は、最初から最後まで参加するのがおすすめです。
注意点
以前、別のMicrosoft認定試験(SC-900)を受験した際、Gmailアドレスでトレーニングに登録しました。そのときは「イベント参加者向け認定試験割引」の案内メールを受け取れたものの、試験申し込み時には割引が適用されませんでした。
一方、今回AI-900のトレーニングに Microsoftアカウントのメールアドレスで登録 したところ、問題なく割引が適用されました。
そのため、割引を確実に適用したい方は、Microsoftのメールアドレスで登録しておくのが安心です。
下記は、トレーニング参加後に来たメールです。
トレーニング申し込み時と同様のメールアドレスで試験を申し込んだら、割引が適用されました。
受験会場
ピアソンVUE提携のテストセンター(CBT方式)で受験が可能です。
私は、「東京都CBT 渋谷さくら坂テストセンター」で受験しましたが、静かで、快適でとても集中しやすかったです。地下にあるため外の騒音も気になりませんでした。必要に応じて、ブースに設置してあるノイズキャンセリングヘッドフォンも利用できるので安心です。
スタッフの対応も丁寧で安心感があり、これまで2回利用しましたが、毎回快適に受験できているので今後も利用したい会場です。
試験結果
試験終了後、その場で画面に合否が表示され、スコアレポートも印刷できます。
また、結果はピアソンのマイページやMicrosoftの認定ページに、通常48時間以内 に反映されます。
試験対策の進め方
ここからは、私が実際に行った試験対策を紹介します。
「教材・ツール編(インプット、アウトプット)」「考え方編」「勉強期間」という3つの視点で整理しています。
1. インプット
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1. Microsoft 主催オンライントレーニングイベント
上記でも述べた、本試験に関連するトレーニングセミナーに参加しました。無料で参加でき、試験範囲を効率よく視聴できるため、短期間で全体像をつかむのに役立ちました。
Microsoft主催オンライントレーニングイベント一覧 -
2. 赤本(参考書、問題集)
市販のAI-900対策書籍、通称「赤本」を活用しました。
赤本は試験範囲の要点を体系的にまとめており、テキストとして読み進めるだけでなく、章末の問題演習と模擬問題集(2回分)を5回ほど繰り返し解くことで理解度の確認と知識の定着が図れました。
特に、試験で問われそうだと思われる重要箇所には、「ここがポイント」とまとまっているのですが、その説明が本当に分かりやすく、何度も何度も助けられました。
赤本 -
3. Udemy(講義動画)
UdemyでAI-900対策講座をセール期間中に購入しました。
「AIとは何ぞや」のような基礎から丁寧に解説されているので、初心者にはおススメです。
ただし、試験合格のためだけに言えば、必須ではないと感じています。理由は、- 小テストの解説で、「直感的にも解けると思いますが、正解はXXです」のような表現があり、「その直感的」を言語化して解説してほしいのに...と深堀が物足りない箇所があった
- 上記で挙げた 赤本の説明で十分理解できると感じたからです。
とはいえ、AI学習の入り口として知識を視覚的に補完するには有効なので、補助教材として視聴するのがおススメです。
AI-900短期合格&機械学習入門講座
2. アウトプット教材
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1.Udemy (模擬問題集)
AI-900対策用の模擬問題集をセール期間中に購入しました。
一問一答形式で、自分のペースで何度でも繰り返し取り組めるのが便利です。
動画解説はありませんが、概念や用語が丁寧に説明されている点が特徴です。
特に、ユースケースを想定した問題も豊富で、「このケースでは、回帰・分類・クラスタリングモデルのどれを使うべきですか」といった実践的な形式があり、単なる、知識暗記ではなく、実例ベースで考える練習ができたので、とても効果的だと感じました。
AI-900模擬問題集
3. 問題の解き方、工夫点
ここでは、私が勉強する際に個人的に意識していたポイントを紹介します。
※あくまでも私個人のやり方ですので、参考程度にご覧ください。
言葉の意味を、背景や実例と結び付けて覚えるようにしていました。
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例1.Custom Vision サービス
例えば、Custom Vision サービスに関して、問われているとします。その場合、概要だけでなく、「このサービスは具体的に何を実現するのか?」という実例をセットで思い浮かべてから問題を解くようにしていました。その結果、選択肢に根拠をもって回答できるようになり、効果的だと感じました。-
概要
「Custom」という単語が含まれている場合、文字通り「カスタマイズできる」という意味だと捉え、ユーザが用意した独自データをAIにトレーニングして画像分類ができる機能だと理解します。 -
実例
例えば、「花」や「植物」と一般分類される中で、「たんぽぽ」と識別させたい場合、Custom Visionサービスを使ってユーザーが用意した画像データをトレーニングすることで、「たんぽぽ」を識別できるカスタムモデルを作成できます。
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概要
補足ですが、SC-900でも「Custom Password」という禁止するパスワードを設定できる機能があります。Microsoft製品で、「Custom」という機能があれば、特定用途向けに独自設定できる機能だと認識するようにしています。
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例2.回帰、分類、クラスタリングモデルの違いの判断
例えば、「このユースケースの場合は、上記3つのどのモデルを使用するのが適切か」というような問題が問われているとします。その場合、まずそれぞれのモデルの特徴と具体例を整理してから問題に取り組むようにしていました。【教師あり学習】
- 回帰モデル:数値を予測 (例:株価、住宅価格などの具体的な数値)
- 分類モデル:カテゴリを予測 (例:株価の上下、住宅価格の上下、住宅ローンの返済可否など)
【教師なし学習】
- クラスタリングモデル:似ているデータを識別して、グループ化(例:購買データから購入者を頻度や傾向に分類)
このように事前にイメージしてから問題を解くことで、「株価の上下を予測したいのか」「将来の具体的な株価を知りたいのか」といった違いに応じて適切なモデルを選べるようになり、正確に問題を解くことにつながりました。
4. 勉強期間
11日間(2週間未満)の勉強期間でした。
- 最初の1週間は、赤本と、Udemyの講座の視聴を完了するなど、インプットに集中しました。
- 後半は、赤本の巻末の模試やUdemyの模試に取り組み、8割以上の得点をコンスタントに取得できるよう、繰り返しアウトプットに取り組みました。
所感
普段は、セキュリティ審査の業務を行っており、AIエンジニアなどのように開発や運用に携わっているわけではありませんが、今後は、AIセキュリティのような案件も増えると予想しています。
そのため、ユーザー目線で利用しているAIを「仕組みから理解しておくこと」は、AIとセキュリティの交差領域で強みを持てるきっかけになったと感じました。
また、余談ですが、普段ChatGPTを使っていると、まるでAIが感情や思考を持っているように感じることがあります。しかし実際には、入力を単語に分解して数値化し、確率的に最適な答え を返しているだけだと理解できたので、ユーザとしてのAI活用スキルが間接的に向上したと感じています。