本日は
TeXの世界で生きる指数, 対数, 三角関数たちからの嘆願書が届きました.
僕たちを使う時は \
を必ず前につけてね.
というのは指数, 対数, 三角関数には各々固有のTeXコマンドがあるからです:
関数 | bad | good | コマンド |
---|---|---|---|
サイン | $sinx$ | $\sin x$ | \sin x |
コサイン | $cosx$ | $\cos x$ | \cos x |
タンジェント | $tanx$ | $\tan x$ | \tan x |
対数 | $log$ | $\log x$ | \log x |
対数 | $ln$ | $\ln x$ | \ln x |
指数関数(exp) | $exp$ | $\exp x$ | \exp x |
数学の変数は基本的にはイタリック体でかきますが,略語から由来する複数の文字からなる数学記号はローマン体でかきます.
数学記号として
用いるアルファベットはイタリック体 (斜体, TEX では mathitalic 体) を使用する.
(中略)
略語に由来する複合数学記号では, mathroman 体を使用するのが慣例であり, 特別な配慮
が必要である.
数学の常識・非常識—由緒正しい TEX 入力法 より引用
例えば数列を $a_1,a_2,a_3,\dots$ と書くのが普通で
\mathrm{a}_1,\mathrm{a}_2,\mathrm{a}_3,\dots
と書くのはおかしい.Qiitaで数列を書く時はa_1,a_2,a_3
を間から$
で挟む事で $a_1,a_2,a_3,\dots$ とかける.せっかくこのような機能があるのにQiitaの記事で数列を a1,a2,a3 とベタで書くのはかっこ悪い.
また, 変数 $a$, $b$, $c$ の積は $abc$ と記述するため $\sin x$ を $sinx$ と書いてしまうと
$sinx$ は$s$,$i$,$n$そして$x$の積として読むことになり紛らわしい.この観点からも \
をつけて必ずコマンドを使うべきである.
その他方面からの嘆願書
最大公約数,次元,合同式を表す記号にも対応するコマンドがある:
記号 | bad | good | コマンド |
---|---|---|---|
最大公約数(gcd) | $gcd$ | $\gcd$ | \gcd x |
次元 (dim) | $dim$ | $\dim$ | \dim x |
合同式(a mod b) | $a\ mod\ b $ | $a \bmod b$ | a \bmod b |
合同式(mod p) | $(mod\ p) $ | $\pmod p$ | \pmod p |
$\gcd$ は greatest common divisor から由来するためローマン体にすべきである. | |||
ただ,今の環境だと\lcm がなぜか使えない・・・.LaTeX Question: \mathbb and lcmにあるように標準ではないようなので $\mathrm{lcm}$ は \mathrm{lcm} でごまかすしかない. |
(追記) \operatorname{lcm}
で $\operatorname{lcm}$ が使えます.
というわけで
一部例外を除いて高校,大学初年度の数学記号は対応するコマンドが用意されていますのでこの子たちをしっかりと使ってあげてください.例えば
などが参考になります.