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ジョブ管理ソフトウェア Rundeck の導入

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はじめに

Unix 系の OS には標準で cron という定期的にジョブ(コマンドやプログラム)を実行するための仕組みがあります。

処理するジョブが少ないうちは cron でどうにかなりますが、ジョブの数が増えてくると以下の様な問題が起こります。

  1. ジョブの数が多すぎて管理しきれない。
  2. 複数サーバでのジョブ管理が煩雑。
  3. ジョブ同士の依存関係の解決が困難。
  4. エラー時の監視機能が弱い。

Rundeck はこれらの問題を解決可能なツールです。Rundeck は次のような特徴があります。

  • Web UI と CLI によるジョブの管理
    • 複数サーバでのジョブ管理を一元化。
      • 大量のジョブの管理が行いやすい Web UI
      • cron と同じく CLI による管理も可能。
    • 実行時間指定の書式は cron ベースなので移行コストも低い。
  • ジョブの構造化
    • ジョブの階層構造の定義が可能。
    • 依存関係も定義可能。
  • エラー対応
    • ジョブ開始・正常終了・異常終了時にメールやWebHookで通知可能。

CI 用のツールである Jenkins で同様の仕組みを構築したことはありますが、 Jenkins 自体がかなり大規模なものであるため、ジョブ管理のみなら Rundeck の導入をおすすめします。

インストール方法

筆者の環境

今回は以下の環境を前提にして進めます。

機能 名称
マシン環境 Amazon Web Service (AWS) EC2 t2.medium インスタンス
OS Amazon Linux (2015.09)
Python Python 2.7.10
SMTP サーバ Gmail

インストール

以下の流れでインストールします。

  1. Java 実行環境(JDK)のインストール
  2. yum によるインストール
  3. 設定ファイルの変更
  4. セキュリティグループの変更
  5. 起動
  6. 起動後の初期設定

Java 実行環境(JDK)のインストール

まず以下のコマンドで Java 8 の JDK をインストールします。

$ sudo yum install -y java-1.8.0

以下のコマンドでインストールされている JDK の一覧が確認できます。

$ sudo alternatives --config java

2 プログラムがあり 'java' を提供します。

  選択       コマンド
-----------------------------------------------
*+ 1           /usr/lib/jvm/jre-1.7.0-openjdk.x86_64/bin/java
   2           /usr/lib/jvm/jre-1.8.0-openjdk.x86_64/bin/java

Enter を押して現在の選択 [+] を保持するか、選択番号を入力します:2

今回は古いバージョンが既にインストールされていたので2を入力し、最新バージョンに変更します。次のコマンドで現在選択されている Java のバージョンが確認できます。

$ java -version
openjdk version "1.8.0_77"
OpenJDK Runtime Environment (build 1.8.0_77-b03)
OpenJDK 64-Bit Server VM (build 25.77-b03, mixed mode)

yum によるインストール

以下のコマンド Rundeck のリポジトリを登録後、yum で Rundeck をインストールします。

$ sudo rpm -Uvh http://repo.rundeck.org/latest.rpm
$ sudo yum install -y rundeck

設定ファイルの変更

/etc/rundeck/rundeck-config.properties の以下の行をインストールしたサーバのIPアドレスもしくはホスト名に書き換えます。

編集前

grails.serverURL=http://localhost:4440  

編集後

grails.serverURL=http://XXX.XXX.XXX.XXX:4440  

セキュリティグループの変更

Inbound TCP 4440 へのアクセスを許可する必要があるため、AWS のコンソールより以下の設定を変更します。

   EC2
-> Security Groups
-> (対象のマシンの) セキュリティグループを選択
-> Inbound タブ を選択
-> Edit
-> Add Rule

ルールは次の通りに入力します。

  • Type: Custom TCP Rule
  • Protocol: TCP
  • Port Range: 4440
  • Source: Anywhere (必要に応じて特定のIPを指定する)

Save を選択してルールを保存します。

起動

以下のコマンドで Rundeck を起動します。

$ sudo service rundeckd start

設定ファイルで設定したURL (http://XXX.XXX.XXX.XXX:4440/) にアクセスすると、ログイン画面が確認できます。

デフォルトでは User / Password ともに admin でログインできます。

起動後の初期設定

管理者ユーザのパスワードを変更します。/etc/rundeck/realm.properties に次の形式で記述されています。

<username>:<password>[,<rolename> ...]

デフォルトだと平文で記述されていますが、セキュリティ上これは良くない状態なので、以下のコマンドで暗号化した文字列を作成します。今回はついでに初期パスワードから新しいパスワードに変更しています。

$ java -cp /var/lib/rundeck/bootstrap/jetty-all-7.6.0.v20120127.jar org.eclipse.jetty.util.security.Password admin [任意のパスワード]
[任意のパスワード]
OBF:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
MD5:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
CRYPT:XXXXXXXXXXXXX

出力された3つの文字列のうち一つを選択し、<password> の部分に記述します。以下のように admin ユーザーに関する行を書き換えます。

```/etc/rundeck/realm.properties`
admin:MD5:XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX,user,admin,architect,deploy,build


一度ログアウトし、再ログイン時に上記のパスワードを入力すると新しいパスワードでログイン可能になります。

また、エラー時にメールで通知の設定もここで行います。

デフォルトの `/etc/rundeck/rundeck-config.properties` だと一部設定が記述できないので、Groovy の設定ファイルに変更し以下の内容を追記します。

$ sudo mv /etc/rundeck/rundeck-config.properties /etc/rundeck/rundeck-config.properties.bk



```/etc/rundeck/rundeck-property.groovy
loglevel.default="INFO"
rdeck.base="/var/lib/rundeck"
rss.enabled=false
dataSource {
        dbCreate="update"
        url="jdbc:h2:file:/var/lib/rundeck/data/rundeckdb;MVCC=true;TRACE_LEVEL_FILE=4"
}

grails {
        serverURL="http://ホスト名:4440"
        mail {
                host="smtp.gmail.com"
                port = 465
                username="XXXXXX@gmail.com"
                password="XXXXXXX"
                props = ["mail.smtp.auth":"true",
                      "mail.smtp.socketFactory.port":"465",
                      "mail.smtp.socketFactory.class":"javax.net.ssl.SSLSocketFactory",
                      "mail.smtp.socketFactory.fallback":"false"]
        }
}

また、/etc/rundeck/profile を以下のように書き換えます。

...
        -Drundeck.config.location=/etc/rundeck/rundeck-config.properties \
...
...
        -Drundeck.config.location=/etc/rundeck/rundeck-property.groovy \
...

以下のコマンドでサービスを再起動します。

$ sudo service rundeckd restart

使い方

プロジェクトの作成

今回はサンプルとして sample-project というプロジェクトを作成します。New Project をクリックすると新規プロジェクト作成画面になります。

以下の項目を設定します。

  • Project Name
    • sample-project を入力。
  • Description
    • This is a sample project. を入力。

他は特に変更する必要なし。別マシンでジョブを実行したい場合は、Default Node ExecutorDefault Node File Copier で SSH や SCP に用いる認証鍵の設定する。

その後 Create をクリックしプロジェクトを作成。

新規ジョブの作成

以下のジョブを作成してみる。

  1. echo コマンドで画面に文字列を定期的に出力する
  2. 引数ありの Python スクリプトの実行
  3. 実行時にエラーになる Python スクリプトを実行しメール通知を行う

echo コマンドで画面に文字列を定期的に出力する

毎分 0 秒に Hello Job! を出力するジョブを作成してみる。Create New Job を選択し、以下の通りに入力する。

  • Job Name:
    • echo sample を入力。
  • Decription:
    • echo コマンドで画面に文字列を定期的に出力する。 を入力。
  • Workflow:
    • Node StepsLocal Command を選択。
      • Command に echo "Hello Job!" を入力。
      • Step Description に echo step を入力。
    • Save で保存。
  • Schedule to run repeatedly?:
    • crontab を選択し、0 * * * * ? * を入力。

他はデフォルトのままでよい。ページ下部の Create をクリック。これで毎分0秒に Hello Job! が出力される状態となった。実行結果は Activity for this Job -> recent -> (ジョブID) で確認できる。 Log Output を選択すると、 Hello Job! と出力されたのが確認できる。

動作確認が終了したら、定期実行を解除する。Action -> Edit this Job を選択し、Schedule to run repeatedly?No にして画面下部の Save をクリックする。これでジョブ詳細画面の Run Job Now をクリックしないかぎり再実行されなくなった。

引数ありの Python スクリプトの実行

文字列を1つ引数として受け取り、"こんにちは [入力した引数] さん!" を出力する Python スクリプトを実行するためのジョブを作成する。

ますサーバ内で以下のスクリプトを作成する。尚使用している Python はデフォルトの 2 系を前提としていますが、Python 3 を用いる場合は print("XXX") としてください。

$ sudo mkdir -p /work/arg_print
$ sudo chmod 777 /work
$ sudo chown rundeck /work/arg_print

以下のスクリプトを作成し、所有者を rundeck ユーザにします。

/work/arg_print/arg_print.py
#!/usr/bin/env python
#-*- coding:utf-8 -*-
import sys
print "こんにちは " + sys.argv[1] + " さん!"
$ sudo chown rundeck /work/arg_print/arg_print.py

次はジョブを作成します。Webのインターフェースから、プロジェクト内で Job Action -> New Job を選択します。

  • Job Name:
    • python arg sample を入力。
  • Decription:
    • "こんにちは [Name] さん!" を出力するジョブ。 を入力。
  • Options:
    • Add an option を選択。
      • Option Name: Name
      • Description: User name
      • Default Value: Admin
      • Required: Yes
    • 上記を入力後 Save をクリック。
  • Workflow:
    • Node StepsLocal Command を選択。
      • Command に python /work/arg_print/arg_print.py ${option.Name} を入力。
      • Step Description に arg print step を入力。
    • Save で保存。

他はデフォルトのままでよい。ページ下部の Create をクリック。Run Job Now をクリックすると、Name"Admin" が代入されて こんにちは Admin さん! が出力される。

ジョブの詳細ページで Name の項目をデフォルトの Admin から RUNDECK に変更し Run Job Now をクリックすると、Name"RUNDECK" が代入されて こんにちは RUNDECK さん! が出力される。

実行時にエラーになる Python スクリプトを実行しメール通知を行う

$ sudo mkdir -p /work/error_sample
$ sudo chown rundeck /work/error_sample

以下のスクリプトを作成し、所有者を rundeck ユーザにします。

/work/error_sample/error_sample.py
#!/usr/bin/env python
#-*- coding:utf-8 -*-
raise ValueError("sample")
$ sudo chown rundeck /work/error_sample/error_sample.py

次はジョブを作成します。Webのインターフェースから、プロジェクト内で Job Action -> New Job を選択します。

  • Job Name:
    • python error sample を入力。
  • Decription:
    • 例外処理時のメール送信テスト。 を入力。
  • Workflow:
    • Node StepsLocal Command を選択。
      • Command に python /work/error_sample/error_sample.py を入力。
      • Step Description に error step を入力。
    • Save で保存。
  • Send Notification?:
    • Yes
    • On Failure:
      • Send Email: 送信先のメールアドレスをカンマ区切りで指定。
      • Subject: Python error test
      • Attach output log: チェック状態にする。

ページ下部の Create をクリック。その後 Run Job Now をクリックするとジョブが実行され、エラー内容の通知が送信先のメールアドレスに送られます。

終わりに

今回は以下の項目については割愛しています。

  • 他サーバ上でのジョブ実行方法。
    • 秘密鍵を使った SSH の通信が通るよう設定し、秘密鍵ファイルを登録すれば可能になります。
  • 複数ジョブの連続実行
  • ジョブの繰り返し設定

ただしこれらの設定は直感的にGUIで設定可能です。
Rundeck を活用して、快適タスク管理生活をエンジョイしましょう。

参考文献

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