はじめに
画像処理を理解する上で必要不可欠な用語をまとめました。
1. 画像の基本構造
ピクセル (Pixel)
- デジタル画像を構成する最小単位
- 1つのピクセルは色情報を持つ
- 画像の解像度は「縦×横のピクセル数」で表現
解像度 (Resolution)
- 画像の細かさを表す指標
- 例:1920×1080は横1920ピクセル、縦1080ピクセル
- DPI(Dots Per Inch):1インチあたりのドット数
ビット深度 (Bit Depth)
- 1ピクセルあたりの色情報量
- 8bit:256段階(0-255)の値を表現可能
- 24bitカラー:RGB各8bitで約1677万色を表現
2. 色空間
RGB
- Red(赤)、Green(緑)、Blue(青)の3原色
- 加法混色:光の三原色
- デジタルディスプレイでよく使用される
HSV/HSL
- Hue(色相)、Saturation(彩度)、Value/Lightness(明度)
- 人間の色の感覚に近い表現
- 画像編集やコンピュータビジョンでよく使用
グレースケール
- 白黒の濃淡のみで表現
- 0(黒)から255(白)の256段階
- 画像処理の前処理としてよく使用
3. 基本的な画像処理操作
二値化 (Binarization)
- グレースケール画像を白(1)と黒(0)の2値に変換
- 閾値を設定して判別
- 文字認識や物体検出の前処理として重要
フィルタリング
- 画像にフィルタを適用して特定の効果を得る処理
- 主な種類:
- ぼかし(平滑化)
- シャープネス強調
- ノイズ除去
- エッジ検出
ヒストグラム
- 画像の明るさや色の分布を表すグラフ
- 画像の特徴を把握するのに役立つ
- コントラスト調整などに使用
4. 画像の前処理テクニック
正規化 (Normalization)
- データの範囲を一定の区間(例:0-1)に変換
- 機械学習の前処理として重要
- 異なる画像間の比較を容易にする
リサイズ
- 画像のサイズを変更する処理
- 補間方法:
- 最近傍補間
- バイリニア補間
- バイキュービック補間
アフィン変換
- 画像の幾何学的変換
- 主な操作:
- 回転
- 拡大・縮小
- 平行移動
- せん断
5. 特徴抽出
エッジ検出
- 画像内の輪郭線を検出
- 代表的なアルゴリズム:
- Sobelフィルタ
- Cannyエッジ検出
- Laplacianフィルタ
コーナー検出
- 画像内の特徴的な点(コーナー)を検出
- 主なアルゴリズム:
- Harrisコーナー検出
- FAST
- SIFT/SURF
テクスチャ解析
- 画像の模様や質感を数値化
- 統計的特徴量の抽出
- パターン認識に利用
6. 実践的な応用例
ノイズ除去
- 画像に含まれる不要なノイズを軽減
- 手法:
- メディアンフィルタ
- ガウシアンフィルタ
- バイラテラルフィルタ
領域分割(セグメンテーション)
- 画像を意味のある領域に分割
- 手法:
- しきい値処理
- 領域成長法
- K-means法
物体検出
- 画像内から特定の物体を検出
- 主な手法:
- テンプレートマッチング
- HOG特徴量
- 深層学習(CNNなど)
7. 画像処理ライブラリ
OpenCV
- オープンソースの画像処理ライブラリ
- 多言語対応(C++, Python, Javaなど)
- 豊富な機能と高速な処理
PIL/Pillow (Python)
- Pythonの標準的な画像処理ライブラリ
- 基本的な画像操作に最適
- 扱いやすいAPI
scikit-image (Python)
- 科学技術計算向けの画像処理ライブラリ
- NumPyとの親和性が高い
- アルゴリズムの実装例として学習にも最適
まとめ
画像処理の基本用語について解説しました。これらの概念は、より高度な画像処理やコンピュータビジョンを学ぶ上での基礎となります。
初心者の方は、まずはこれらの基本概念をしっかりと理解し、実際にコードを書いて試してみることをお勧めします。特に、OpenCVやPILなどのライブラリを使って実践的に学習を進めると、理解が深まります。