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2つの封筒問題のパラドックス

Last updated at Posted at 2021-05-15

2つの封筒問題(金額変数版)

前提

  • 2つの封筒があり、それぞれにお金が入っている
  • 片方にはa円、もう片方にはb円入っている。
  • abは異なる正の整数であり、それ以外の情報はない。

事実

  • 1つの封筒を無作為に選んだとき、その封筒に入っている金額の期待値は、(a + b) / 2であり、もう一方の期待値も同じである。

問題

封筒を1つ無作為に選ぶ。その封筒には、aまたはbのお金が入っている。
さて、abに関する前提は同じである。したがって、abを交換しても前提は変わらない。

そこで、選んだ封筒の金額をaとしてみよう。このとき、この封筒の期待値はaであり、もう一方の期待値はbである。

abは異なるので、2つの封筒の期待値が異なることになる。これは、事実と合わない。この理由を説明せよ。

解答

選んだ封筒の金額を(たとえ、値が不明でも)固定した上で、期待値を(a + b) / 2と計算するのが間違いである。
(a + b) / 2という値は、「aを1/2の確率で、bを1/2の確率で選ぶ場合」の期待値である。
たとえ、aが不明でも「aを選んだ場合」の期待値とは同じではない。

発展

「(値を明示しなくても)金額を仮定すると期待値は変わる」ことに注意しよう。

下記のいわゆる「2つの封筒の問題」は、上記の問題に「abの比は2」などの条件を追加したものである。

この問題は、開封時に期待値は計算できない。また、未開封でも一方の金額を仮定すれば期待値は計算できない。考えてみよう。


2つの封筒問題(クリンゴン版)

金額の紙の入った2つの封筒があり、片方はもう片方の2倍の金額になっている。どちらかの封筒を選んで金額の分をもらうことができる。
無作為に1つの封筒を選び、封筒の中の紙を見ると金額はクリンゴン語で書いてあり理解できなかった(クリンゴン語はあとで翻訳してもらえる)。

このとき、交換した方が得だろうか?

解答

交換しても変わらない。

解説

読めないとはいえ金額の紙を見ているので、下記の「2つの封筒問題(金額仮定版)」のように錯覚しやすい。しかし、問題の構造は「2つの封筒問題(未開封版)」と同じである。したがって、交換しても変わらないのが正解となる。

以上

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