"IBM Cloud Paks Advent Calendar 2021" 12日目です。
業務変革を推進するためのIBM Cloud Pak for Business Automationの一つの機能である、プロセス・マイニングの入門記事です。
こんな課題をお持ちの方は、プロセス・マイニングがお役にたてるかもしれません。
- 業務の自動化を推進しろと言われたが、何から手を付ければ良いのか分からない!?
- 経営層からRPAの導入指令が出ているが、どの業務に適用すれば良いんだ!?
- 現状業務のヒアリングを通じての業務棚卸しや、業務工数調査を行う余裕がない!!
プロセス・マイニングとは?
プロセス・マイニングとは、イベントログを使用して業務プロセスを分析する技術で、プロセス管理テクノロジーの一つです。 プロセス・マイニングと呼ばれる機能は大きく分けて以下3つ。
- 業務の可視化・分析
- 課題の提示
- 改善後の効果シミュレーション
プロセスマイニングを通じて現状の業務プロセスを可視化して分析を行い、ボトルネックの発見や、改善効果の高い業務の特定、RPAの導入や現状のフロー変更を行った場合どのくらいの効果が出るのかシミュレーションを行うことができます。注意したいのは、プロセス・マイニングは一度実施したらそこで終了するわけではなく、分析 → 施策 → 実行と継続的に改善活動を実施していくモニタリング・シミュレーションの基盤だという点です。
プロセス・マイニングを活用しない場合でも、業務変革、DXの推進には、自社の業務プロセスの分析がスタート地点であることは変わりません。業務可視化が出来ていないと、効果が低い箇所に注力して改善活動をしてしまったり、現場の方々から大反発を食らうような施策を取り入れてしまうケースもあります。そのため、業務可視化のためにプロセス・モデリングという手法が使われてきました。
プロセス・モデリングとプロセス・マイニングの違い
プロセス・モデリングは既存の業務ガイドや業務担当者へのヒアリング情報をもとに、手作業でビジネスプロセスを可視化していきます。普段の業務内容や工数をヒアリングしながら現状を可視化していくので、インタビュアーの主観的な意見が分析結果に反映されてしまいがちです。インタビュアーに偏りがあると、非常に例外的なケースや個人特有の課題が重要視されてしまう結果になります。
一方、プロセスマイニングは実際の業務ログを元に可視化していくため、非常に客観的な結果が期待できます。ヒアリングでは聞き出せないような細かい例外フローもログデータを元に視覚化することが出来、かつ全体の割合もデータから算出出来ます。非常にデータドリブンな業務変革が可能となります。
いろいろなプロセス・マイニングツール
以下のような、色々なプロセス・マイニングツールが市場に出回っています。Cloud PakのAdvent Calenderなので本日は言わずもがなIBM Process Miningを見ていきます。
|ツール名|特徴|
|:|:|
|IBM Process Mining (myInvenio)| 2021年にmyInvenio社をIBMが買収|
|Ark|日本産のProcessMiningツール|
|Celonis| 独企業、今の所シェアNo.1|
|Sygnavio| 非常に直感的に操作できる|
IBM Process Mining
IBM Process Miningを例に、具体的なプロセスマイニングを使用した業務可視化をご紹介します。
大きく以下の流れで操作を進めていきます。
注) 機械学習と同じで、分析するためのデータ準備が重要なのですが本記事では取り扱いません。
- ログデータのアップロード
- プロセスの視覚化
- プロセスモデルの調査
1. ログデータのアップロード
CSV または XES ファイル形式でログデータをアップロードします。アップロードが完了すると、項目名と一部データが表示されます。プロセスを視覚化するためには、以下の項目が必須となります。どんなログデータでも良いわけではなく、必要な項目をデータとして取得できるかがプロセスマイニング適用のポイントになります。
- プロセスID
- アクティビティー名
- 時刻データ
アップロードが完了した後は、分析時に使用するフィールドを持つ列をマッピングしていきます。
- システムデータ: プロセス ID, アクティビティー, 開始時間, 終了時間, リソース, 役割
- ビジネスデータ: カスタムフィールドとして追加可能。最大 100列まで
プロセスの可視化
プロセスIDやアクティビティに対応する列を選択していくだけでマッピング作業は完了です。後は「プロセスを可視化!」ボタンをクリックすれば、ログデータを元に業務可視化が実行されます。
プロセスモデルの調査
可視化が完了すると上図のようなモデル画面が開き、イベントデータから自動作成されたモデルを確認できます。
モデルは自動的に頻度分析結果が反映されています。1つ1つの箱がアクティビティーを示しており、濃い青の箱の方が頻度が多いことを示しています。また、アクティビティー間をつなぐ矢印が太くなるほど、繋がれたアクティビティー間の遷移が多いことを示しています。
最初に表示されるモデルは、全ての業務プロセスを表示していません。例外的なアクティビティー間の遷移といった、不必要な情報まで含めて表示してしまうとモデルが複雑になるためです。例外的なケースまで含めた詳細なモデルを表示したい場合は、左部メニュー内の**[モデル詳細]**をクリックします。
ここでアクティビティー、リレーションを表示する詳細度をパーセンテージで変更することが可能です。
ソーシャルネット
IBM Process Miningにはソーシャルネットという機能があります。
プロセス内で形成されるユーザーやグループ間の関係性をひと目で把握できます。
上手の例だと、ログデータ内に登場しているユーザーが、所属する部門によって異なる色で表現されています。また、実施した業務の内容によってクラスタリングされています。同じクラスター内に位置しているにも関わらず、異なる部門(色違いの円)のユーザーがいた場合は、本来の業務外のタスクが振られている可能性が示唆されます。
他にも機能たくさん
各業務を誰が、どのくらい実施したのかを表現するアクティビティーマップという機能や、業務の流れに潜むルールの発見、ToBeのシミュレーションや効果測定機能などたくさんの機能を持っています。少しずつ紹介していく予定です。
IBM Process Miningの機能
- モデル
- ダッシュボード
- BPMN/ルール発見
- アクティビティーマップ
- ソーシャルネット
- タスク・マイニング
まとめ
業務変革を進める1stステップは業務の可視化。プロセス・モデリングは主観的な要素が強い可視化方法である一方、プロセスマイニングはデータドリブンで客観的な可視化方法である。ProcessMiningツールは様々な企業が提供しているが、基本的な機能は以下の3つ。
- 業務の可視化・分析
- 課題の提示
- 改善後の効果シミュレーション
以上、IBM Cloud Paks Advent Calendar 2021" 12日目でした!