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筋の良いDXをつづける

DXの正体

digital transformationというキーワードをGoogle Trendsで調べてみました。以下図は全世界を対象とした10年間のトレンドです。この5年間、世界中の注目を集め続けています。これだけ右肩上がりに続くことはほとんどありません。みなさん大好きな、あの「鬼滅の刃」の情報も小さく表示しておきます。
これはバブルなのか、需要に基づくものなのか、政府主導なのか、民間主導なのかわかりません。しかし、IT企業、引いてはエンジニアにとっては強烈な追い風というのは間違いないでしょう。

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本当に追い風なのか

最近、以下のニュースを目にしました。

新型ランサムウェアに感染、95%のサーバが暗号化の被害(鉄建建設)
米IBMが分社化発表、クラウド事業に注力へ 創業109年目の大転換
「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」の公表について
金融機関の行政手続き、21年度に完全電子化 金融庁

たいていの変化は急に起きているわけではなく、徐々に進行しています。見えない深いところで意思やビジョンを持った誰かが進めていたものが、いつか表面化します。それを見た我々は想定外のことには驚きを示したり、想定内であれば自分の進んでいる方向性について「うんうん」と納得することでしょう。よって、これらを「追い風」「向かい風」と感じるかはその人の技術、知識、仕込み時期により違いがあるでしょう。
日々のニュースだけを追いかけているとDXというものの正体はいつまでも不明です。なんでもDXといえます。(たぶん、この考えは誰にとっても都合がよいでしょう)

筋の良いDXとは

しかし、玉石混交のなかで、よいDXとは何だと定義するなら、任天堂の宮本さんの名言にもある「アイデアとは、複数の問題を一気に解決するものだ」を実現するものでしょう。一つの問題をデジタルで置き換えるのは簡単です。はんこを廃止するなら電子署名に変えればいい。でも、本当にやりたいことは「はんこにより発生しているタイムロスや紙の無駄、長い承認フロー、情報の縦割りなど紙のフローにより制限されている機能の解放」ではないでしょうか。
IT企業やエンジニアにとっては得意中の得意な要件定義問題ですよね。でも、うまくいくことはあまりありません。それはなぜか。語りつくされた言葉ですが、「手段」と「目的」の取り違えです。手段は常に目的達成のために存在します。しかし、目的は常に誰かにとって手段であることが多いです。そのため、誰が決めた目的か?というのが、DXの評価には重要になります。
こういう考え方もあり、DXの文脈にはBI系のコンサルや、グローバルファームなど普段の日本のSIや基盤開発ではこれまで会うことのなかった職業の人と会うことになります。ただ、この流れは非常に危険です。

小さな成功の繰り返し

トップダウンのDXというのもあるでしょう。システム化の範囲も事業部、企業、サプライチェーン、業界、全世界などいろいろとあるため、何かをやろうとすると壮大なウォーターフォール事案になることもあります。それはDXという名前の穀潰しです。なぜか?DXというのは一言でいうなら、その時の最適なテクノロジーやサービススタックを採用して、複数の問題を一気に解決するものだからです。
DXのためのDXをやる必要ありませんし、毎年、年末の道路工事のような足回りを改善するだけのためにやるようなものでもありません。

変化するトレードオフ

バックエンド、Webフロントエンド、スマートフォンアプリ、クラウド、ブロックチェーン、エッジなど技術トレンドは移ろい、データは集中と分散を繰り返しながら、ITは進んでいます。
とりわけ、クラウド利用が大企業で本格化したこの5年の変化はすさまじいものがあると考えます。過去の常識はすでに大きく変化しています。例えば、以下を命題とした場合、真偽の判断は二分されるのではないでしょうか。

  • オンプレはクラウドより安全である
  • 強固な基盤はメインフレームが必要である
  • デジタル化しても結局はどこかで紙が必要となる

トレードオフの変化は当社においても、誰にとってもよい面、悪い面があります。オンプレとクラウド、集中と分散はこの判断に大きな影響を与えます。またサブスクリプションという新しい販売モデルも金融や商取引全体に大きなインパクトを与えています。DXというキーワードが浮上してきたこの5年でさえも、常識は変化しています。さきほど、挙げたDXとは「その時の最適なテクノロジーやサービススタックを採用して、複数の問題を一気に解決するもの」と定義しましたが、ここに「デジタル常識を持ったトレードオフの理解」を追加する必要があります。「前はできなかったけど、新しいデジタルの常識だとできる」という考えが必要になります。

DXはジャーニーであって手段でも目的でもない

結局世にいうDXは手段に言及することが多いです。RPA、ローコード、ノーコードであり、既存業務の単純置き換えです。しかし、改善に必要なことはいつの時代も以下を実現することです。(いささかエンタープライズに寄った話ですが。。)

業務コスト削減

  • 現在行っている作業をシステム化したらコストが下がるか?直接コスト低減
  • 現在かけている要員をシステム化することで別の作業にアサインできるか?生産性向上
  • 現在のオンプレをSaaSにもっていくことで、システム監査コストが削減できるか?バックオフィス費削減

取引コスト削減

  • システムを使用することで、中間搾取されるコストが下がるか?取引のレイヤー削減
  • システムを利用することで今払っている手数料を下げられるか?取引の切り替え

DXを技術の問題として考えすぎると、それは手段になります。必要なことはビジョン(なりたい姿)を決めて、目的を決める。それをロードマップに落とす。そして、小さく始める。成功体験を積む。それを糧に次のDXを行う。このサイクルを新しいデジタルの常識を理解し、最適なテクノロジーやサービススタックを採用して、複数の問題を一気に解決し続けていることがDXが進んでいる企業の真の状態といえます。

さいごに

会社

私の所属しているセゾン情報システムズははHULFT, DataSpiderなどデータ連携、ETLツールを開発、販売、サポートを行っているデータエンジニアリングカンパニーです。(SIerの顔もあります)

担当プロジェクト

2020年10月のイベントでも発表させていただいていますが、当社は現在プラットフォームサービスを開発しています。本サービスは米国、日本、中国のメンバーで絶賛開発中です。グローバル開発に興味がある方はぜひお声がけください。

現在は私は製品の開発、企画などに携わっています。PdMでもPjMでもPMMでもCPOでもありません。POでもないので、オーナーといえるかもしれません(サラリーマンですが)。製品をリリース、浸透させることをJDとしています。

レッツ DX!

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