AWS の高可用性 (High Availability, HA) の紹介
AWS は、信頼性の高いインフラと多様なサービスを活用し、高可用性を実現できるプラットフォームを提供しています。ここでは、AWS の高可用性を支える仕組みと関連サービスを紹介します。
高可用性の基本概念
高可用性とは、システムやアプリケーションが障害時でも稼働し続ける能力を指します。AWS は以下の要素を活用して高可用性を実現します。
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グローバルなインフラストラクチャ
- リージョン (Region): 地理的に分散されたデータセンターのグループ。
- アベイラビリティゾーン (AZ): 各リージョン内に独立したデータセンター群が複数存在。
- エッジロケーション: コンテンツ配信とレイテンシ削減のための分散ネットワーク。
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冗長性とフォールトトレランス
- データやアプリケーションを複数の AZ やリージョンに配置し、障害時にもシステムが継続可能。
AWS の高可用性を支える主要サービス
1. コンピューティング
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Amazon EC2 Auto Scaling
- 負荷に応じてインスタンスを自動でスケールイン/アウト。
- インスタンス障害時に自動で新しいインスタンスを起動。
- マルチ AZ 配置により冗長性を確保。
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Elastic Load Balancing (ELB)
- トラフィックを複数の EC2 インスタンスに分散。
- 健康チェックにより障害があるインスタンスを自動的に除外。
- クロス AZ ロードバランシングで高可用性を強化。
2. データストレージ
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Amazon S3
- 高耐久性 (99.999999999% の耐久性) を持つオブジェクトストレージ。
- データは複数の AZ に自動的に複製。
- バージョニングやレプリケーションでさらに冗長性を強化。
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Amazon RDS
- マルチ AZ 配置オプションにより、自動的にバックアップインスタンスにフェイルオーバー。
- 自動バックアップとポイントインタイムリカバリでデータ損失を防止。
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Amazon DynamoDB
- マルチリージョンレプリケーションで、データベースの高可用性を実現。
- サーバーレスな構造でダウンタイムを最小化。
3. ネットワーク
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Amazon Route 53
- 可用性の高い DNS サービス。
- 地域間ルーティングやフェイルオーバールーティングをサポート。
- ヘルスチェックにより障害のあるリソースを動的に回避。
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AWS Global Accelerator
- 複数リージョン間でアプリケーションの高可用性を提供。
- トラフィックを健康なエンドポイントに自動的にルーティング。
4. バックアップと復元
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AWS Backup
- 複数の AWS サービスにわたる統合バックアップソリューション。
- 自動スケジュールでバックアップを取得。
- バックアップの復元によりシステム停止リスクを軽減。
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Amazon EBS
- スナップショットを使用して永続的なバックアップを取得。
- EBS ボリュームは AZ 内で冗長化され、高可用性を確保。
5. サーバーレス
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AWS Lambda
- イベント駆動型でスケーラブルなアーキテクチャ。
- 障害が発生しても AWS がバックエンドを管理するため、ダウンタイムが発生しにくい。
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Amazon Aurora (Serverless)
- 自動スケーリング機能を備えた高性能なデータベース。
- マルチ AZ 配置でフォールトトレランスを強化。
高可用性アーキテクチャの設計例
マルチ AZ 設計
- EC2、RDS、ELB をマルチ AZ に配置し、障害時もサービスが継続可能。
マルチリージョン設計
- DynamoDB や S3 を利用して、データを複数リージョンにレプリケーション。
- Route 53 を活用して、ユーザーを最も近いリージョンへルーティング。
サーバーレス設計
- Lambda、API Gateway、DynamoDB を利用したサーバーレスアーキテクチャでダウンタイムを最小化。
高可用性のためのベストプラクティス
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マルチ AZ を有効化する
- 主要なサービスでマルチ AZ 配置を有効にする。
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自動化を活用する
- Auto Scaling やヘルスチェックで障害を検出し、復旧を自動化。
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バックアップを定期的に取得
- AWS Backup や EBS スナップショットでデータ保護を強化。
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監視とアラートの設定
- Amazon CloudWatch を使用してシステムの状態を常時監視。
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リージョン間レプリケーションを設計する
- 重要なデータやアプリケーションを複数のリージョンで冗長化。
AWS の高可用性機能を活用すれば、システムの信頼性と耐障害性を大幅に向上させることができます。設計時に冗長性や自動化の要素を組み込むことが成功の鍵です!