基本情報技術者試験(FE)では、ストレージの冗長化やデータ保護の技術として RAID が出題されることがあります。本記事では、RAIDの基本概念から各レベルの特徴まで、試験対策に役立つ知識をわかりやすく解説します。
1. RAIDとは?
RAID(Redundant Array of Independent/Inexpensive Disks:レイド) とは、複数のハードディスク(HDD)やSSDを組み合わせて、データの 耐障害性向上 や 高速化 を実現する技術です。
RAIDには複数の種類(RAIDレベル)があり、それぞれ異なる特性を持ちます。
2. 各RAIDレベルの特徴
RAIDレベル | 仕組み | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
RAID 0(ストライピング) | データを複数のディスクに分散して書き込む | 高速(読み書きが速い) | 冗長性なし(1台でも故障するとデータ消失) |
RAID 1(ミラーリング) | 同じデータを2台以上のディスクに書き込む | 高い耐障害性(1台が故障してもデータ保持) | 容量効率が悪い(50%) |
RAID 5(分散パリティ) | データとパリティ情報を分散して保存 | 耐障害性と容量効率のバランスが良い | 書き込み時の負荷が高い(最低3台必要) |
RAID 6(ダブルパリティ) | RAID 5 のパリティを2つにして耐障害性を向上 | 2台同時故障に対応可能 | 書き込み性能が低下(最低4台必要) |
RAID 10(RAID 1+0) | RAID 1(ミラー)とRAID 0(ストライプ)の組み合わせ | 高速+高耐障害性 | ディスクの使用効率が低い(最低4台) |
3. 試験対策のポイント
(1) RAID 0 は冗長性がない
RAIDと聞くと「データ保護」のイメージがありますが、RAID 0 は データ分散による高速化が目的であり、冗長性はない ことに注意。
(2) RAID 1 はミラーリング
RAID 1 は 同じデータを2台のディスクに書き込む 方式で、耐障害性が高いが、ディスク容量の半分しか使えない。
(3) RAID 5・RAID 6 のパリティに注目
- RAID 5 は1台の故障まで対応(最低3台必要)
- RAID 6 は2台の故障まで対応(最低4台必要)
(4) RAID 10 は RAID 1+0
RAID 10 は RAID 1(ミラーリング)と RAID 0(ストライピング)を組み合わせたもの で、高速かつ耐障害性が高いが、コストがかかる。
4. まとめ
- RAID 0 → 高速だが冗長性なし
- RAID 1 → ミラーリングで耐障害性◎
- RAID 5 → パリティ分散でバランス◎(1台故障OK)
- RAID 6 → RAID 5 の強化版(2台故障OK)
- RAID 10 → 高速+耐障害性◎(コスト高)
基本情報技術者試験では、「RAIDの種類と特徴」 を問う問題がよく出るので、表で整理して覚えましょう!
5. 例題(基本情報技術者試験)
問題:
RAID 5 の特徴として 誤っている ものはどれか?
- データとパリティ情報を分散して保存する
- 2台のディスクが同時に故障しても復旧可能
- 最低3台のディスクが必要である
- 1台のディスクが故障しても復旧可能
解答: 「2」(RAID 5 は 1台の故障 まで耐えられるが、2台同時の故障には耐えられない。)
RAIDの用語である「ストライピング」「ミラーリング」「分散パリティ」「ダブルパリティ」について、それぞれのイメージを解説します
1. ストライピング(Striping)
意味:
データを複数のディスクに分割して並列に書き込むことで、高速な読み書きを実現する技術。
特徴:
- 複数のディスクにデータを分散して書き込むため、読み書きの速度が向上する。
- RAID 0 で使われる技術であり、冗長性はない(1台のディスクが壊れるとデータが失われる)。
イメージ:
データ | ディスク1 | ディスク2 | ディスク3 |
---|---|---|---|
A | A1 | A2 | A3 |
B | B1 | B2 | B3 |
C | C1 | C2 | C3 |
➡ 分割したデータを各ディスクに分散して書き込む(RAID 0)
2. ミラーリング(Mirroring)
意味:
同じデータを2台以上のディスクに書き込むことで、データの耐障害性を向上させる技術。
特徴:
- RAID 1 で使われる技術。
- 1台のディスクが壊れても、もう1台に同じデータがあるため復旧可能。
- 書き込み速度は低下するが、読み取りは高速(どちらのディスクからでもデータを読み取れるため)。
- データ容量の効率が悪い(ディスク2台のうち、1台分しか使えない)。
イメージ:
データ | ディスク1 | ディスク2 |
---|---|---|
A | A | A |
B | B | B |
C | C | C |
➡ 同じデータを複数のディスクに保存する(RAID 1)
3. 分散パリティ(Distributed Parity)
意味:
データと一緒に「パリティ情報」を分散して保存することで、ディスクが1台故障しても復旧可能にする技術。
特徴:
- RAID 5 で使われる技術。
- 「パリティ(誤り訂正情報)」をディスクに分散して保存し、1台のディスクが故障しても残りのデータ+パリティ情報から復元可能。
- データの書き込み時にパリティ計算が必要なため、書き込み性能が低下する。
- 最低 3台以上のディスクが必要。
イメージ:
データ | ディスク1 | ディスク2 | ディスク3 |
---|---|---|---|
A | A1 | A2 | P(A) |
B | B1 | P(B) | B2 |
C | P(C) | C1 | C2 |
➡ 各ディスクにデータ+パリティを分散して保存(RAID 5)
4. ダブルパリティ(Double Parity)
意味:
「パリティ情報」を2つに増やし、2台のディスクが同時に故障しても復旧できるようにする技術。
特徴:
- RAID 6 で使われる技術。
- パリティを2つ持つため、2台同時にディスクが故障しても復元可能。
- RAID 5 に比べてさらに書き込み性能が低下(パリティ計算が増えるため)。
- 最低 4台以上のディスクが必要。
イメージ:
データ | ディスク1 | ディスク2 | ディスク3 | ディスク4 |
---|---|---|---|---|
A | A1 | A2 | P1(A) | P2(A) |
B | B1 | P1(B) | B2 | P2(B) |
C | P1(C) | C1 | C2 | P2(C) |
➡ パリティを2つに増やし、2台の故障に対応(RAID 6)
まとめ
技術名 | 使われるRAID | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
ストライピング | RAID 0, RAID 10 | データを分割して書き込み | 高速 | 耐障害性なし |
ミラーリング | RAID 1, RAID 10 | 同じデータを複数のディスクに保存 | 高耐障害性 | 容量効率が悪い |
分散パリティ | RAID 5 | データとパリティを分散保存 | 1台の故障までOK | 書き込み速度低下 |
ダブルパリティ | RAID 6 | パリティを2つ保存 | 2台の故障までOK | さらに書き込み速度低下 |
その他
ブロック単位 vs バイト単位・ビット単位
分散方式 | データの単位 | 使用RAID | 特徴 |
---|---|---|---|
ブロック単位 | 数KB~数MBのブロック | RAID 0, 5, 6 | 高速かつ効率的 |
バイト単位 | 1バイトごと | RAID 3 | パリティ専用ディスクあり(現在はほぼ使われない) |
ビット単位 | 1ビットごと | RAID 2 | ハミング符号でエラー訂正(実用性なし) |
現在は 「ブロック単位」 が主流で、RAID 5 や RAID 6 などに活用されています!