PaaS、SaaS、IaaS は、クラウドコンピューティングのサービスモデルを分類したものです。それぞれの特徴を説明します。
1. SaaS(Software as a Service)
ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス。
- ユーザーはインストールや管理をせずに、すぐに利用可能。
- アプリケーションの管理はクラウド提供者が行う。
- 例:
- Google Workspace(Gmail, Google Drive, Google Docs など)
- Microsoft 365(Word, Excel, Teams など)
- Dropbox(クラウドストレージ)
- Salesforce(CRM)
✓ メリット:
- すぐに使える(導入が簡単)。
- ソフトウェアの更新や管理が不要。
- どこからでもアクセス可能。
✗ デメリット:
- カスタマイズ性が低い。
- インターネット接続が必要。
- データがクラウド側にあるため、セキュリティリスクがある。
2. PaaS(Platform as a Service)
アプリケーション開発のためのプラットフォームを提供するサービス。
- 開発者はインフラ管理をせずに、アプリケーションの開発・実行が可能。
- 開発環境、データベース、ミドルウェアなどをクラウド側が提供。
- 例:
- Google App Engine(Google Cloud)
- AWS Elastic Beanstalk(Amazon Web Services)
- Microsoft Azure App Service
- Heroku
✓ メリット:
- サーバー管理不要で、開発に集中できる。
- 環境構築が不要で、スピーディーに開発できる。
- スケーラブルで、自動的にリソースを増減できる。
✗ デメリット:
- 提供される環境に依存するため、自由度が低い。
- 特定のクラウドベンダーにロックインされる可能性がある。
3. IaaS(Infrastructure as a Service)
仮想マシンやストレージ、ネットワークなどのインフラを提供するサービス。
- 物理サーバーを購入せずに、クラウド上でサーバーを作成・管理できる。
- OSやミドルウェアの設定・管理はユーザーが行う。
- 例:
- Amazon EC2(AWS)
- Google Compute Engine(GCP)
- Microsoft Azure Virtual Machines
- IBM Cloud
✓ メリット:
- 物理サーバーを購入せずに、柔軟にリソースを増減できる。
- 必要に応じてカスタマイズが可能。
- クラウド上で自由に環境を構築できる。
✗ デメリット:
- OSやソフトウェアの管理が必要。
- ネットワークやセキュリティ設定を自分で行う必要がある。
SaaS / PaaS / IaaS の違い(まとめ)
種類 | 提供内容 | ユーザーの管理範囲 | 例 |
---|---|---|---|
SaaS | ソフトウェア(アプリ) | なし(利用するだけ) | Gmail, Dropbox, Salesforce |
PaaS | 開発環境・プラットフォーム | アプリケーション開発のみ | Google App Engine, Heroku |
IaaS | 仮想マシン・インフラ | OS・ミドルウェア・アプリ管理 | AWS EC2, Azure VM |
どれを選ぶべきか?
- 手軽にソフトウェアを使いたい → SaaS
- アプリを開発・実行したいが、インフラ管理はしたくない → PaaS
- 自由にインフラを構築・管理したい → IaaS
どのサービスを選ぶかは、目的や技術レベルによって変わります。